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風斬る夜に  作者: 縦院 ゆい
夏休み
12/21

風斬り

 戸が開き、強い風の合間に光の刃が飛んできて、触手を切り裂いた。

「無事か! 瑠璃ちゃん!」

 天青のお父さんが来てくれた。

「私は大丈夫です。でも、天青が……」

『コノ体ノ親玉ガ来タカ。面倒ダナ』

 天青が刀でお父さんを切る。

 ガキィィン!

 刀と刀がぶつかり合い、風が強く渦巻いた。

 お父さんの左手には札が挟まれていた。

「秘術『風斬り』」

 お父さんの刀に風が集まる。

 天青は刀を一旦引き、そしてもう一度斬りかかる。

 私には、天青のお父さんの刀の軌道は見えなかった。

 音は無かった。

 天青の刀はお父さんの肩の上で止まっていた。お父さんの刀はすでに振り終わっている。

 風が吹く。


 カランッ


 天青の刀身が床の上に落ちた。

 お父さんは天青の胸に札を当てる。

斬術(せんじゅつ)『邪気払い』」

 白い光が札から放たれ、天青を包む。

『クソッ。ヤハリ人間ノ体ハ使エヌ』

 黒い何かが天青から離れた。天青はぐったりとお父さんに寄りかかる。

「瑠璃ちゃん、天青と隅にいて」

 私は言われた通りに奥の隅に行く。

 黒い何かがはっきりとしてくる。もやもやとしたものは薄汚れた包帯や触手になる。二つの目がギラギラと光っていた。

『ヤハリ我ニハコノ方ガヨイ』

 触手が勢いよくお父さんに伸ばされた。

「秘術『風斬り』」

 速い。

 腕が目にも止まらぬ速さで振るわれる。

 全ての触手が一瞬にして黒い霧となり、消えた。

 その名の通り、風をも斬るほどの速さ。全てのものを斬ることができる。

 これが『風斬り』。

『クソッ……』

「斬術『邪気浄化』」

 刀が札を斬る。

 白い光が札から溢れる。

『グアァァァ……!』

 包帯男は光に包まれ消えていった。

 部屋の中に静寂が訪れた。

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