第一話 幼い頃の出来事
「ここ、どこ……?」
お祭りに来ていたのに、知らないうちに森の中に迷いこんじゃった。
「おとうさん、おかあさん、どこなの?」
歩き回ってみるけど、まわりには誰一人いない。大きな木ばっかり。
真っ暗で、唯一の明かりは月の光だけ。
突然、足に何かが引っ掛かって転んでしまった。
膝が痛い。だから、泣いてしまった。
「だいじょうぶ?」
後ろから、声がした。
振り向くと、そこには男の子がいた。
「ぼくの家はすぐそこだから。歩ける?」
そして手をさしだしてくれた。
その手をとり、男の子のいう通り森を抜け、道に出た。
そこから少し歩く。
たどり着いたのは古びた神社。
「お父さん、女の子が、怪我してる」
奥の方から箱を持った男の人がきた。そして、けがを手当てしてくれた。
「ぼくは風斬 天青。君は?」
「るり。泉 瑠璃」
泣きべそをかきながら答える。
「お祭りにいっていたの?」
天青君のお父さんがきく。
あたしはうなずく。
「分かった。そこまで送っていこう」
そして、小さなペンダントを手渡された。
「これは、お守りだよ。よければ、持っていきなさい。」
水晶玉の中に、七色の光が入っていてとても綺麗だった。
車に乗ってしばらくすると、もといた祭りのところについた。そして、おとうさんとおかあさんを見つけた。
「おとうさん、おかあさん!」
あたしはかけよる。そして、天青君とお父さんにお礼を言おうと後ろを向いたけど……
二人とも、いなかった。