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プロローグ

SF要素を含まないリアリティのある物語です。

最初は若干暗めの作風となっております。

プロローグ


ジリジリと鳴る目覚まし時計を合図に今日も俺の一日がスタートする。

しかし俺は時計の懸命な叫びを無視して、そのまま布団を頭に被る。

朝のだらけタイムに入っている間に俺のことを紹介しよう。

俺は佐々木 孝章、統京の私立沙港高校に通う高校3年生だ。

家族構成は、病気で死んだ父親と母親と妹で今は3人家族。

部活は帰宅部、人前で言える趣味と言うものもなく、成績も体育以外下の下、沙港大学に行けるか心配である。

勿論彼女いない暦=年齢と言う悲しい数式が成り立ってしまう。

典型的な負け組みの部類に入る高校生だろう。

これ以上にないくらい自虐の自己紹介をした所で、2回目の目覚ましが鳴ったので

仕方なく俺は布団から出る事にして、布団ではなく気だるさを被ってそのまま洗面所に向かった。


こんな男の洗面シーンや生着替えシーンなど聞きたくもないだろう。

俺は1行の空白に洗面と着替えを済ませ朝食を取る。

前に座っているのは俺の顔を見るだけで不機嫌な面をするうざいが現実にはこんな種類しかいない妹だ。

中学のクラスメイトで妹萌えだの、どうして俺には妹がいないと叫ぶ馬鹿がいたが。

兄に尽くす妹や、照れ隠しで距離を置いたり罵ってくる妹なんて現実では絶滅危惧種で。

特にうちの妹は中学でちょっとした事で喧嘩が多くなり。

嫌われた上に、タイミング悪く俺以外留守中の時、妹が帰ってきた所で自慰行為を目撃されてからは。

もう口すら聞かない関係になっている、これは俺が一方的に悪いのかもしれないが。

朝だけ顔を合わすが会話をしたのが何時以来かもう覚えていない。

食事中に下の方向の話をするのは厳禁かもしれないが。

俺の趣味と言える趣味はAV鑑賞、たまにエロゲー等をする、世の中では変態と呼ばれる生物だろう。

勿論見た量は、恐らくそのDVDで家が建てられるレベルだと俺は思っている。

そのおかげで一部では一目置かれても、異性からは非難しかされないので自慢にもならない。

「ごちそうさま、それじゃあ行って来ます。」

朝食を作ってすぐ母親は出かけて、妹は口を開かない家にその声だけが響く。

俺はそれに対しての返事を求めているわけでもなく、ただ儀式的にその言葉を呟くだけだった。


家を出て何時もの四範川駅に着く。

駅と言う雑木林で人が今日も虫の様に数千人蠢いている。

そして電車と言う虫かごに詰められて入っていく。

俺は人ごみを見るのが大嫌いだ。

「おお!孝章じゃん、直接会うの久しぶりだな!」

後ろから肩を叩かれ、久々に幼馴染と出会う。

幼馴染と言っても、巨乳で天然だったり、しっかりものでおせっかい焼きと言う属性は持っていない、まして女ですらない。

今日もアホ毛と言うか寝癖と言うか分からない髪を立たせた、男の幼馴染である。

「よう!相変わらずだな本堂!その寝癖、どうにかしろよ!」

「寝癖じゃなくて、アホ毛だ!」

こいつは本堂 祐樹、あいつは下の名前を呼んでくるが俺はあいつを祐樹と呼んだ事はない。

幼馴染なので昔は毎日のように遊んでいたが今はネットでたまに会話する程度で。

今日みたいに駅で会う偶然はほとんどなかったりする。

学校も別なので、遊びの約束を入れない限り直接会う事はまずないだろう。

「聞いてくれようちの妹が(ry」

「孝章は相変わらず、妹に嫌われてるな」

「うるせーよ、あいつが糞なのもあるし世の中の妹なんてこんなもんだぞ」

「えー、妹に自慰行為見せた奴がその台詞言うか、と言うかそんな姿見られてよく生きてるよな~」

「何を言ってんだ!エロってのは人類が生み出した秘宝だぞ!!!」

「いや君の見せるエロは秘宝じゃなくて汚物だと思うよ」

俺が馬鹿な事を言ってあいつが半分煽りながら突っ込む、それが俺たちのやりとりだ。

俺はあいつと他愛もない話をしばらくして学校に向かうため虫かごに嫌々乗っていく。

本堂は反対方向なので、これも中々会わない理由の一つである。


これで今の俺の状況は分かったと思う。

普通のゲームや小説ならこの状況から事態が好転していき。

急に美少女が現れたり、妹が特別な反応を見せたりして

無事好きな女の子と結ばれるなり、充実した生活が送れる様になるのがセオリーだろう。

しかし、現実と言うものをそう甘くはない。

ましてやこの状況から事態が悪化するなど俺は想像すらしていなかった。


1時間目の国語は寝る授業、2時間目の社会は惰眠を貪る授業、3時間目の数学は消しゴムで遊ぶ授業。

4時間目は体育で今年最後の水泳を楽しみ俺は、授業が早く終わったため少し早めの昼休みを向かえ昼食を取る。

と言っても購買で買ってきた菓子パンが一つあるだけだ。

俺は昼飯をさっさと食べようと思い、パンの袋を開けた瞬間だった。

「下着泥棒よ!」

凄い勢いで扉が開いた、風圧で近くの机のプリントが1枚ふわりと飛んでいき、

わいわい騒いでいた教室に沈黙が訪れる。

彼女の名前は、二ノ宮 真衣

父親は会社の社長らしくカップ麺で大もうけして巨万の富を築いた男だそうだ。

母親はPTA会長で典型的なクレーマーで、学校の不祥事と言う飯が大好きなようだ。

話によると、水泳の時間で二ノ宮の下着が盗まれたそうだが。

何故盗んだ人間は二ノ宮を選んだかが分からない。

相手はバックに巨大なラスボス並みの強さを誇る大人達がいて。

この二ノ宮もブスではないがそこまで可愛いわけでもない。

俺ならもっと別の人間を狙うんだがな.....。

「持ち物検査よ!お母様から許可を頂いたわ!男子は水泳が終わるのが10分速かったて聞いたし、貴方たちの中に犯人がいるに決まっている!」

PTA会長直々に言うなら断り様もないし、もし違反物を持っていても。

二ノ宮の権限で見逃すと言ってるし、隠す事は自分が犯人ですと言っているようなものだ。

今日は何も持ってきていないし、順番が来たら素直に持ち物を晒す事にした。

「ちょっと!!」

持ち物を晒すと行き成り、二ノ宮の顔がなまはげの様な顔になり。

「これどういう事!」

行き成り怒り出して俺のバッグを指差すので確認すると。

そこには筆記用具しか入っていないほとんど空っぽのバッグに

白色のレースの下着が異様な存在感を醸し出していた。

「言い訳は職員室でしなさい!現行犯としてこのまま職員室に連れて行くわ」

俺は何が起こったか分からなかった。

教室はやっぱりあいつかな、あいつならやりかねないなどの声が小さく響いていた。

頭が真っ白のまま、俺はあいつに痛いほどに手をがっしり捕まれ連行された。


こうして、俺は普段の素行も良くない成績も悪い男だったので。

だれも弁護はせず、背後の圧力のせいか高校を退学させられた。

俺じゃないと何度も担任に言ったが、聞く耳を持ってくれなかった。


負け組み佐々木孝章が、これ以上堕ちる事はもうない

奈落の底に引きずり下ろされた最低最悪の一日であった。


1話へ続く。

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