第1話
僕が実際体験した話を小説化してみました。
あれは2000年4月高校3年になって間もなくでした。僕は春の風に吹かれながら放課後の町を特にあてもなく自転車をこいでいた。町の交差点で信号待ちをしていたら後ろから女性の声がした。
「あの・・・。すみません」
振り替えるとそこに20代半ばくらいの若い女性が立っていた。僕は答えた。
「ん?どうかしたの?」
「若葉病院はどうやって行けば良いのですか?上京してきたばかりで道に迷っちゃって」
と聞いてきた。僕は特にやることもなく暇だったので
「あ、若葉病院ならここからだとわかりずらいから案内しますよ。」
と答えた。 自転車を降りて二人で肩を並べて病院の方向に歩きはじめたが、長い沈黙が続いた。このままではまずいと思い僕は口を開いた。
「若葉病院に行くってどこか悪いんですか?」
「いえ、来週から若葉病院で働くんです。」
「え!?看護婦さんなの!?」
「ええ、でも高知から出てきたばかりでまだこっちに友達もいないし勤務前に道を調べようと思ったら迷っちゃって」
そんな会話をしながら歩いていたら病院の前に着いた。
「ここが若葉病院だよ。これからどうするの?」
「道案内、ありがとう。出勤は来週だから病院までの道も覚えたし、ブラブラ散歩しようかなと思って。あの・・・もし時間があるなら道案内のお礼にお茶でも一緒にいかがですか?」
「ええ、良いですよ。あの、名前聞いても良いですか?あ、僕は瀧澤真と言います」
「真さん。私は井上梨紗って言います。年は26歳で真さんより年上だけど梨紗って呼んで。」
自己紹介もそこそこに喫茶店に入りお互いの趣味や生活の話をして時間は流れて別れる時間になった。
「今日はどうもありがとう。すごく楽しかった。また会ってもらえないかな?色々な場所に案内してほしいの。」
「うん、もちろん良いよ。」
こうしてこの日は連絡先を交換して別れた。これが僕と梨紗の出会いだった。




