一世風靡
一人のCADデザイナーが日本を一世風靡した。そんな凄腕デザイナーを放っておけない記者たちは…
レポート用紙を下に投げ、怒る記者の神崎と動揺するカメラマンの今井。
「行っちゃった!!せっかく受けてくれたのに、これじゃあ記事に書けないじゃない!!」
「しょうがないですよ。相手は高科大佐。22で若くしてCADデザイナーのTop。しかも僕なんかとは違って…かなりのイケメン!!」「高額納税者に100位入りした御曹司で一躍有名人!今まで何も注目なんてされていなかった地味な仕事NO1のCADデザイナーを一世風靡!!将来は父親の建築会社、エージェントの社長間違い無しだもんね…だからあんなふて腐った性格になるのよ!!!!」
レポート用紙をばら蒔く記者をなだめる今井。
「落ち着いてください!!神崎先輩!!はぁ…少し座ってください!!」
椅子に座り、だいぶ落ち着いたかと思ったその時…
「良いこと考えたわ!!」
「急に立ち上がらないで下さいよ!!」急に立ち上がった神崎の振動で今井のテーブルのコーヒーがこぼれそうになった。
「あいつ、一発仕事もできないような状況にさせてやるのよ!!」
“出た…先輩のイヤな性格…”
しかしそれだけは口に出せない今井。
「…いいことって?」
「うちもまぁお父さんが建築会社やってるんだけど…なんせ使えないCADデザイナーが新入りでいるのよ。」
「ふんふん。あの神崎建設ですよね?」
「うちのお父さん、人だけは良いからリストラなんて…とか言って。だから人事異動よ!!エージェントに!!」「でも先輩!!エージェントの採用試験は難し…」
「簡単!!エージェントの高科社長の奥さんと仲が最近いいし…優秀な新入りですよーなんて言って人事異動させれば…ふふ。」
いやな予感がすると思いつつも今井はそれを止めず呆れていた。
しかし、のちにこの出来事が全てのものを動かすことになるとは誰も思わなかった。