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おニャン子プロジェクト

作者: 沢木 翔

先日、車を運転していたらラジオから昔懐かしいおニャン子クラブの「セーラー服を脱がさないで」が流れてきた。


冒頭部分の歌詞の”セーラー服を脱がさないで”は記憶にある軽快なメロディだが、よく聴いてみたら歌詞全体がトンデモナくきわどい。

ちなみに一番の歌詞を書きだすと以下の通り。


セーラー服を脱がさないで

今はダメよ 我慢なさって

セーラー服を脱がさないで

嫌よダメよ こんなところじゃ


女の子は いつでも

‟MI-MI-DO-SHI-MA”

お勉強してるのよAh-毎日


友達より早く

エッチをしたいけど

キスから先に進めない

臆病すぎるの


週刊誌みたいな

エッチをしたいけど

全てをあげてしまうのは

もったいないから…

あげない



どうです。相当ですよね。


残念ながら私自身は中学高校は男子校に通っていたこともあって、セーラー服には触れたこともなければ

「今はダメよ 我慢なさって」等と甘く拒絶されるような場面に至る経験もない。


今の時代では、コンプラ一発アウトになるんじゃないかと思うこの曲は1985年の発売だった。

1985年はプラザ合意のあった年で、バブル経済が始まる直前の昭和の末期。

私はその年の秋に30歳になり、結婚をしたばかりで営業の仕事にも慣れて結構多忙を極めていた。


当時は石油業界やプラントメーカーを担当する営業部に所属していたが、その頃、全社的に「新規の取引先を開拓しよう」という号令がかかっていて、

未取引企業であれば担当業界にかかわらずアテンドしても良い事になっていた。

歴史のある大手企業は大体において既に取引があるか、ない場合でもそれなりの経緯のある先ばかりなので、対象先はどうしても若い企業が多くなる。

部内では2つのチームが編成され、チームごとに作戦を立てて毎週一日を「未取引デー」としてそれぞれターゲット先を訪問していた。


私が所属していたチームはターゲット先を「食い物系」に絞って、新興の持ち帰り寿司やタコ焼きのチェーン本部などを訪問した。

訪問先で取引話をする相手も普段の重厚長大企業に勤める中年オヤジとは違って、新興企業だけに若手が多く、女性社員も男性と同等の権限を与えられていて感心した記憶がある。


別のチームは学校法人をターゲットにして、東京・神奈川・千葉・埼玉にある私立高校の未取引先をリストアップしていた。

ただ、意外に対象先が多かったので、女子校に絞ってアテンドすることにした。

チームメンバー全員が男だったので、「白昼堂々と女子校に入ってみたい」というのがその理由で、彼らはこれを「おニャン子プロジェクト」と命名した。


そして、後日部内で開催された「未取引開拓決起大会」ではなんとチームメンバー全員がセーラー服を着て「セーラー服を脱がさないで」の曲に乗って踊り狂った。


結果は彼らチームの圧勝。

謙遜して「幸運でした」と勝者の弁を語るそばから、「女子校に入ると甘酸っぱい匂いが漂ってきて、鼻血が出そうになった」「仕事で先方を訪問する日が待ち遠しかったのは初めてだった」とか「勝因はここぞというタイミングで他部署のイケメンに頼んで同行してもらい、理事長のオバサマをヨイショしたこと」等と言う。

やっぱり普段の重厚長大な取引先と違って、軽薄短小な動機のもとに行う仕事は面白かったようだ。

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