第3話②『海でナンパ!?』
夏休み最初の土曜日。
「茉鈴今日休みだよね〜っ!」
キラキラとした笑顔で茉鈴に問いかける。
「そうだよ。さすがに霧亜が夏休みだから休み取ったわ。今日から2泊3日で海行くんだもんね。」
「うん!あと雛瀬と千彩ももうすぐ来るからね〜!」
霧亜は、とても楽しそうな表情だ。既にカバンを用意し、うきうきで身支度を済ませている。
「むー!霧亜と2人きりがい〜い〜〜!」
子供のように駄々をこねる茉鈴。旅行ということで、あまり疲れを見せていない。
「駄々こねないの。」
「ぷく〜!」
茉鈴は可愛い顔を思いっきり膨らませた。
そんな茉鈴の顔を見て、霧亜はにこっと笑った。
「ま〜りんっ。」
茉鈴をぎゅっと抱きしめた。
「霧亜。あ〜、あったか〜っ。」
茉鈴も、霧亜と同じく幸せそうな表情。2人のスキンシップは激しく、こうして抱き合うことがしばしばあった。
「すんっ、はぁ〜。霧亜いい匂い〜。」
大きく息を吸い、霧亜の匂いを嗅ぐ茉鈴。
「まあ美容とかには気ぃ遣ってるからね〜。」
「香水とかは?」
「使わないよ、匂いキツいし。体臭が変にならないように気遣ってるだけ。」
「そっか。ん〜、すんっすん……んはぁ〜〜!霧亜〜っ!」
むにゅっ!
「ひぁんッ!」
「霧亜のおっぱい〜!」
むにゅむにゅむにゅむにゅっ!
服越しに霧亜の乳首を的確に刺激する茉鈴。
「ひあッ!ちょ、そこ触るなぁっ……んっ!」
「霧亜ってかわいいんだけど、なんかえっちな反応するよね〜。」
ピンポーン!
2人が抱き合っていると、インターホンが鳴った。
ガチャ。
霧亜が扉を開けると、雛瀬と千彩が部屋の入口前に立っていた。
「あ、2人とも来てくれたね!じゃあ行こっか!茉鈴〜っ!カバン持ってきて〜!」
「うん、待ってて。」
茉鈴が、荷物をたくさん入れた自分のカバンを持ってきた。
「わぁ〜!旅館だ〜っ!」
とある旅館の前で、大はしゃぎな霧亜。余程楽しみだったのか、無邪気に喜んでいる。
そんな様子を見てくすっと笑う茉鈴、千彩、雛瀬の3人。
「みんな!はやく、はやく、は、や、く!」
ぴょんぴょんと飛び跳ね、必死に手招きする霧亜。
「はいはーい。」
茉鈴が返事をし、3人は霧亜のもとへ。
「そういえば霧亜、どんな水着買ったの?」
茉鈴が、興味津々といった感じで霧亜に聞いた。
「ふぇっ!?えと……秘密…………」
「なんでそんな恥ずかしがってるの〜。」
「だ、だって水着だもん……」
「かーわい。」
「ん……」
そんな2人のやりとりを見ていた千彩。
(2人、仲良いな……幼馴染だから……)
ズキンッ──
胸に痛みを感じる千彩であった。
チェックインをし、部屋へ。
「わはは〜い!」
他に誰もいないため、霧亜は部屋でゴロッと仰向けに転がった。
「霧亜〜っ!」
茉鈴は部屋の隅にカバンを置き、霧亜に駆け寄った。
霧亜は起き上がり、カバンから何かを取り出した。それは黄緑色を基調としていて、濃いピンクに黒い線が入ったレバーのようなものがついていた。それに加え、黄緑色のそれに差し込めそうなアイテムがいくつかと、黄緑色のそれにつけそうな黒いベルト。
霧亜はしばらくそのおもちゃで遊んでいた。
「霧亜のお気にはその黄色いヤツ?」
「そ〜!」
雛瀬の問いかけに、ニッコニコで答える霧亜。
更衣室で着替え中。霧亜たち以外にも何人か人がいた。
「え、霧亜の水着ビキニじゃん!超エロっ!わたしたちみんな守り入ってるのに〜!」
雛瀬が霧亜の水着を見て言った。
「あれ、でも茉鈴……それけっこうせめてない?ビキニじゃん!」
霧亜が見た方向。茉鈴が着替えた水着は、霧亜と同じくビキニだった。
「そうだよ〜。にしても霧亜おっぱいでかいね〜!」
もみっ!
「ひあッ!」
「むへへ〜。霧亜のおっぱい揉むのちょ〜幸せ〜。疲れが吹っ飛ぶわ〜。」
「ちょ茉鈴っ……他にも人いるのにっ……」
まだ運動していないにも関わらず、息が荒くなっていく霧亜。
それを見ていた女性客たち。
「うわでっか……」
「なんかおっぱい揉み合ってる……」
「エッロ……」
そんな感想を口々に漏らす。
綺麗な海。波の音が聞こえ、たくさんの人たちが来ていた。海で泳ぐ者、砂浜で遊ぶ者、日陰でくつろぐ者など。
「うーーみーーーーっ!!」
よほど楽しみにしていたようで、大はしゃぎの霧亜。
「もー茉鈴てば!あんなとこでおっぱい揉まないでよ〜!」
「ごめ〜ん。仕事疲れってことで許して〜。」
もみっ。
「も〜。仕方ないなぁ〜〜。っひぁっ!ちょ、そこはやりすぎっ……そこはさわるなぁっ……!んあっ!」
「だって、可愛いんだもん……」
「茉鈴じゃなかったら怒ってたところだからね〜?」
「む〜。はぁい。」
頬をぷくっと膨らませ、むくれる茉鈴であった。
「にしても、いっぱい人来てるね〜!」
霧亜があたりを見渡した。その目は、いつものようにキラキラ。
「ねね、ビーチバレーしよ!ビーチバレーしよ〜!!」
霧亜がビーチボールを膨らませながら、3人に向かって言った。
「いいね、チームどうする?」
「「「霧亜と一緒!」」」
霧亜の問いかけに3人の答えが見事にハモった。
「え……そうなの?えへへ……」
全員が自分と一緒のチームになりたいということを知り、嬉しそうに照れる霧亜。
「じゃ、じゃあ3通りの組み合わせで全部やろ?」
霧亜の提案。それに賛同した3人。
まずは霧亜と茉鈴のチーム。
「えーいっ!」
「あ、霧亜そっち!パス!」
「おっけ!ちょあっ!!」
砂に足を取られ、霧亜は思いっきりこけてしまった。
ばふっ!
うつ伏せに倒れ、胸がむにゅっと潰れた。砂が柔らかかったため、そこまでダメージにはなっていなかった。
「エッロ……」
「でかっ……」
「ヤバっ…………エロすぎ……」
それを見ていた男女たちが、霧亜の巨乳を見て思わず声を漏らした。
海に来た人たちにチラチラと見られている霧亜。
「なんかわたしたち見られてるね?」
「あたしたちというより霧亜じゃない?ほら、こんなにおっぱいでかいし……」
茉鈴が霧亜の胸の突起をつんとつついた。
「ひあんッ!あッ……はぁっ、はぁ…………っ!もうっ……変な声出ちゃうからさぁ、触んないでよッ……」
変な声を出してしまい、恥ずかしそうに顔を押さえる霧亜。
「怒らないからってやりすぎだよ茉鈴……もう。周りに見られてて恥ずかしかったんだから……」
ソフトクリーム屋でソフトクリームを買ってそれを舐めている霧亜たち。
「んま〜っ!」
霧亜はおいしそうにそれを舐めている。冷たかったのか、頬を手で押さえてぷるぷる震えた。
霧亜が舐めているのはメロン味。
「霧亜、霧亜。ちょっと来て。」
茉鈴が霧亜を呼びかけた。
「ねね、ひとくちちょうだいっ。」
ちろっ。
茉鈴が舌を出し、霧亜のソフトクリームを舐めた。
「ん〜、うんまぁ。メロン味ってこんななんだ!」
「あ、ねえ。あたしも…………舐めていい?」
「ああ千彩。いいよ〜!」
千彩も霧亜のソフトクリームを舐めた。
「美味しいね、霧亜のソフトクリーム……」
「わたし作ったんじゃないけどね、あははっ。」
そんな会話をしていたその時。
柄の悪い男3人が、霧亜たちに近づいてきた。
「ねえそこのキミ、俺らと遊ばな〜い?」
「いいことしてあげるから来ようよ〜?」
典型的なナンパだった。霧亜たちから見て明らかに、下心しかない男たちだった。
「な、なんですか?やめてください……」
霧亜が男たちに向かって言うが、
「この2人超かわいいよな?おっぱいでかいし、姉妹か?」
「俺こっちがいい!」
そんなことはお構いなしだった。
「いやっ!!」
茉鈴が腕を捕まれ、連れ去られようとしていた。
海水浴に来た人たちが、徐々にこの騒ぎに気づいて霧亜たちの方に向く。しかし、助けに来る人はいない。
「やめ……やめてください!」
茉鈴の抵抗。
「やめろ!!」
ガシッ!
突然、ナンパ男の腕を掴んだ見知らぬ女性。茉鈴から男たちを引き剥がし、
「せぁっ!」
ボスンッ!
柔道の要領で投げ飛ばした。
よく見ると、その女性の筋肉はたくましかった。
「いてて……ちっ、逃げるぞ!」
男たちは退散していった。
近くの居酒屋で昼ごはんを食べてから旅館に戻ってきた。トイレに来た霧亜。
すると、そこには霧亜を助けてくれた女がいた。他には誰もいないようだった。
「あ、あの。さっきはありがとうございます……!」
霧亜は女に駆け寄り、礼を言った。
「どういたしまして。にしてもあなた、ざいぶんとナイスバディね?」
「あ、ありがとうございます……」
女に褒められ、霧亜は少し照れた。
「よく見たら……いやよく見なくても顔も美人すぎるし、よく告白とかされるんじゃない?」
「ま、まあそうですけど……ていうかこれなんの話ですか……ちょ、顔近くないですか……?」
女が、霧亜に顔を近づけてきた。
ちゅっ。
「ふぇ……!?」
霧亜は、いきなり女に口づけをされた。
「ちょ、どうしたんですか……!?」
「ちょっと、あなたのこと好きになっちゃったみたい。」
それは黄緑色を基調としていて、濃いピンクに黒い線が入ったレバーのようなものがついていた。
はい、アレですね。