未曾有の危機
「ライゼル、準備はできたか?」「はい、いつでも再生可能です。」「ではまずこの映像を見てくれ。」カメラに記録された映像をモニターで映す。「これは…」まだ量産化されていない人造人型兵器ゼノリオンが見た事も無い怪物と戦っている場面が映されていた。画面が切り替わり今度は戦闘中に突然艦隊とゼノリオンが次々に地上に墜落し爆発している場面になり、次に切り替わった場面は大樹を中心に森が結晶に覆われ、霧が発生した後、巨大な人型の影が見えたのを最後に映像が途切れた。「…今見せた映像は研究所でタイムマシンの実験の際、装置の中から発見されたものだ。」「私の見た未来と一致しております。」マリスヨハンの発した言葉にライゼル達は驚く。「これはこれから起こる事なのか?」「だとしても俺たちだけでは対処するのは難しいぞ。」「加工された映像じゃないか?」ギーツは疑問を投げかける。「加工の形跡はありませんでした。」アレンが魔法の痕跡を含め加工された映像で無い事を困った表情で語る。「我々はこれからどうすればいい?」「ゼノリオンの量産を早める事に決定した。それと怪物が出現したと思われる場所に行ってもらい、可能ならば目覚める前に討伐可能かを調べてほしい。」「俺が行こう、」「ワシも同行するかの。」「じゃ、俺とライゼルはお前たちとは別の場所に向かってみるぜ」アレクセル、ゲンゼン、シュライグ、ライゼルは映像に映された場所を参考に出現場所に向かう事を王に伝える。「もう一つ見てもらいたい映像がある。」「まだ怪物がいるのか?」「タイムマシンの中の映像が記録されたものだ。これを見てほしい。」再生された映像には4人の男女が話し合っている場面を映した様子だった。「おい……こんな奴らがいたのか⁉︎」「どうすりゃ助かるんだよ…⁉︎タイムマシンが完成してもあいつら倒せんのかよ⁉︎」「……それでもやっぱり俺はこの望みに賭けたい。この映像をあの研究員も見たはずだ。それでもここに来る者達に希望を託そうとしたんだ。」「ルシードと言ったか。俺たちの行動が無意味に終わるかもしれない。それでもやるっていうのか?仮に成功しても俺たちの存在が無かった事になるかもしれないんだぞ⁉︎」「もっと良い未来になるかもしれない。その世界でまたあんた達に会えると俺は思っている。」ライアーは覚悟を決めたような目でこちらを見る。「……わかった。俺もそんな気がしてきた。…なら、始めよう。」「……これは、未来にいる人間のようだな…」「彼らは過去へこの映像を送り、私達に希望を託そうとしました。自分達が消える可能性があったにもかかわらず。」「彼ら想いを無駄にするつもりは無い。我々は今すぐ行動を起こさなければならない。頼む!力を貸してほしい。」12王星達はそれぞれ自分達の出来る事を始め、王も同盟国と連絡をとり、この映像を見せた後、協力してくれるよう要請した。