第8話 レベルアップ
巨大隕石が地球に落下し、地球は急激に冷え人類は滅んだ。その数千年後――人類が遺したAIにより、女性型ヒューマノイド『スペースガール』が大量生産される。AIの開発者は人類の復活を望んでおり、その意思を継いだAI、そしてスペースガールは宇宙開発を進め、新たに人類が暮らせる世界の構築を進める。
だが人類が暮らすには宇宙は危険過ぎた……スペースガールと同じく宇宙環境に適応した謎の生命体『機世獣』。機世獣は如何なる惑星・コロニーにも出現し、人型生物を抹殺しようとする。この機世獣を滅ぼさない限り、人類安息の地は作れない。
果たしてスペースガールは機世獣を滅ぼすことができるのか。人類安息の地を作れるのか。そして人類復活のための2つの生体データ、『アダムの鍵』と『イヴの扉』は手に入るのか――というのがこの世界のストーリーである。
実際はみんな人類とかお構いなく、スペースガール同士でガンファイトに励んだり、スペースガール同士でコロニーを取り合ったりしているそうだ。人類の夜明けは遠いぜよ。
僕は僕で人類の復活とかそっちのけで狩りに励んでいるから何も言えない。
「困ったな。全然武装ドロップしないや。そもそも武装はドロップしないのかな?」
機械のワンちゃん、機械のクマさん、機械の蟲を倒したけど、ドロップしたのは弾薬、○○パーツ、修理キット、EN瓶(ENを補給するための瓶。見た目は完全に瓶ビール)ばかり。
レベルは8まで上がったけど、武装はまだ2つだけ。
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PN:シキ
LV:8
ROLE:スナイパー
TIP:17890
装甲:20
スラスター出力:40
スラスター容量:80×1.5(120)
精密性:80×1.55(124)
レーダー:100
ステルス性:60
EN容量:60
武装
スロット1:アーミーナイフ(ナイフ)
スロット2:M1911(ハンドガン)
スロット3:null
スロット4:null
スロット5:null
スロット6:null
スロット7:null
スロット8:null
拡張パーツ
スロット1:null
スロット2:null
スロット3:null
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レベルが上がるとステータスポイントが3貰える
ステータスポイントをステータスのどれかに振るとステータスが『1.05』倍になる。2つ振ると『1.1倍』、10振ると『1.5倍』になる。これがどういうことかと言うと、初期ステータスがめちゃくちゃ大事ということだ。たとえばスナイパーの初期装甲値は20なわけだけど、これにステータスポイントを20振ったとして40にしかならない。逆にレーダーに20振れば100→200になる。同じステータスポイントで80も上昇値に差が出るわけだ。
こうなると低ステータスにステータスポイントを振る意味がない。長所を伸ばし、短所は放置が正しいビルドだろう。
ステータスポイントはとりあえずスラスター容量と精密性に振った。スラスター容量は個人的に1番大事なステータスだ。これが高くなるだけで敵機から格段に距離を取りやすくなった。
精密性は簡単に言うと脳から肉体への指示の伝達を早めるステータスで、これが上がると手先の感覚が鋭くなり射撃が精密になる。それに反射速度も上がる。もちろん、攻撃力や防御力、機動力にはまったく関係ないステータスなのでいらない人にはいらないステータスかもしれない。けれどスナイパーは指先の感覚が命、僕が納得できる神経伝達レベルになるまでは上げるつもり。
あとレベルが上がるとスキルポイントが1つ貰える。
これは技能経験値を上げることができるポイント。技能は【射撃】、【連射】、【狙撃】、【刀剣】、【斧槍】、【槌弓】、【鞭爪】、【格闘】、【守衛】、【修理】、【改造】、【砲撃】、【脳波】、【飛行】、【操縦】、【索敵】の16種類ある。多い。
技能はS~Gのランクがあって、初期値はロールによって変わるようだ。スナイパーは射撃系の技能が総じて高く、近接系の技能は総じて低かった。技能は武装を使い込むことで上昇させることもできるみたいで、まったくスキルポイントを振っていないけどナイフを使っていたおかげで【刀剣】に少しだけ経験値が溜まっていた。この技能ランクが高くないと使えない武装とかが存在するそうだ。ステータスポイントもスキルポイントもレベルアップした時に振る必要はなく、溜めて溜めて後で一気に振り分けることも可能。
珍しいなと思ったのは既存のRPGではほとんど存在する特技とか魔法がなかったこと。『二連斬り』! とか、『さみだれ撃ち』! とか、『ファイアボール』! とかはない。僕はシステムに体を動かされる感覚が苦手だったので嬉しい仕様だ。酷いゲームだと戦闘時間の半分ぐらいシステムに動かされた。あれって何が楽しいんだろう。連続攻撃系の技とか最悪だったな。
ガイド・ガールがくれた説明書は本当に良い塩梅の情報量。攻略本や攻略サイト程の詳しい情報はなく、あくまで不自由しない程度の情報のみある。『おすすめステータス』とか『おすすめ攻略チャート』とか余計な情報は載ってない。手探り感を損なわずゲームプレイできる。
「あ」
そう、説明書には基本情報しか載ってない。
だからこういう突発的な敵機の出現は予測できない。
――『百咬の砂蟲“センティピード”』。
2つ名を持った機世獣が砂漠から飛び出してきた。
全長20mはあるムカデのような機世獣。鋭い刃先を持つメタルカラーの足が無数についており、口には砲口と牙がある。
「ボスモンスター、ってところだね」
出現条件はここいらの機世獣を一定数以上撃破することかな? それとも偶発的にエンカウントしたか。まぁどちらでもいい。
推奨レベル:15 推奨人数:2人と詳細に載っている。
僕はレベル8且つ1人だけど問題ない。
――撃ち殺す。
技能を上げると『○○系武装の重量-』や『○○系武装のステータスup』などのいわゆるパッシブスキルも入手できます。技能は指定の武装を使い込むことでランク上げ可能ですが上限があって、G→Bにするだけの経験値までしか稼げません。それ以上上げるならスキルポイントを注ぐしかないです。
技能をF→Eにすると『精密性+10』、技能をC→Bにすると『特定ステータス1.2倍』のスキルが全技能共通で手に入ります。なのでオールB以上を目指すのが良いですが、アホみたいな時間がかかります。それはもう、数千時間です。技能をオールB以上にしたプレイヤーは『マスタークラス』と呼ばれ、1つの指標として扱われます。