表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
【書籍化決定】スナイパー・イズ・ボッチ ~一人黙々とプレイヤースナイプを楽しんでいたらレイドボスになっていた件について~  作者: 空松蓮司@3シリーズ書籍化
C級ランクマッチ編

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

47/182

第47話 カクレオニ



――2分前。



 時間はシキとシーナが別行動を始めた瞬間まで遡る。

 シーナはレンを抑えるためスラスターを全開で回していた。


(レンさんは隠れるのが上手い。すでに狙撃地点から離れ、身を隠しているはず)


 レンが狙撃をした場所、ドーム状の建物(アミューズメント施設)の屋上にシーナは辿り着く。

 すでにレンの姿は無く、周囲を見回しても一切の痕跡がない。


(……こちらの位置は把握しているはず。それでも私を撃ってくるような真似はしないだろう)


 完全に警戒しているシーナを狙撃することは難しい。完璧なポジションで撃てても成功率は30%程。外せば位置がバレる。そんな博打に賭けるより、身を隠してプレッシャーをかけた方が確実で効果的だ。


 レンの判断は正しい。()()()()()()()()()()()


熱探知鏡(サーマルビジョン)


 シーナはゴーグルを掛ける。

 サーマルビジョン……温度の違いを色で見分けるゴーグル。シーナの10個目の武装だ。端的にその性能を説明するならば、熱い所は赤系統の色で見え、冷たい所は青系統の色で見える。

 煙幕の中でも体温などの熱源を探知し攻撃することが可能で、視界の悪い場所では重宝される武装だ。

 シーナはサーマルビジョンでレンがいたはずの屋根を見る。そこにはオレンジ色(やや熱い温度)の足跡が残っていた。


「間違いなく、レンさんの足跡」


 スペースガールは機械という設定の為か人に比べて体温が非常に高い。それゆえにスペースガールが踏みつけた場所には僅かな温度の上昇が見える。スラスターで飛べば連続した足跡は無くなるが、着地した地点には摩擦熱とスラスターの散布熱でより濃く高温が残る。サーマルビジョンはその温度の違いを見分けられる。優秀な武装ではあるが、当然景色は見づらくなるため運転中には使えない。


 シーナはサーマルビジョンを頼りにレンの追跡を開始。足跡を追いかける。

 足跡は舗装されていない土のエリア、『Buggy Run(バギー・ラン)』というアクティビティエリアに入る。


(大量のバギーがある。けれど使うわけが無い。エンジン音で位置がバレる上にバギーは遅い。スラスターで移動した方が静かに速く動ける)


 背の高い草むら・木々があり、バギーのコース以外の場所は視界が悪く潜伏に向く。隠れて狙撃するのが狙いか。


 否。そうではない。とシーナは判断する。


(土の地面――)


 レンの狙いは明白。


(地雷)


 シーナは正面30m地点の地面をハンドガンで撃ち、地雷を起爆させる。


(常に太陽に熱せられていた地面は熱くなっている。だけど掘り起こされた地面は僅かに温度が下がる。地雷は無意味ですよ)


 太陽によって強く熱せられた地表を返すための欠点だ。

 他にも木々を利用したワイヤートラップや落とし穴なども仕掛けられていたが、全て看破し適切に排除する。

 このマップは太陽が輝き過ぎていた。ワイヤーも土も高温をもつほどに。


「見つけた」


 距離300m、ようやくレンの背中をシーナは捉えた。



 --- 



 シーナから離れて300m地点。レンは『やってらんねぇ!』という顔をしていた。


「……なんじゃアイツ! なんでトラップの位置全部わかるんじゃ!」


 シーナから狙撃が飛んでくる。レンはシールドピースで狙撃を防ぐ。


(走りながらでこの精度! スナイパー顔負けの狙撃センス!!)


 負けじと撃ち返すが、シーナは容易く躱し、距離を詰めてくる。


(この距離のライフルを躱すとは。舌を巻く回避能力)


 距離50。シーナはフルオートのハンドガンで激しくレンを追撃する。


(速射も上手いのう! 躱し切れん!!)


 レンは黒のアタッシュケースを出す。


「トラップキット!」


 トラップキットはENを消費することでアタッシュケース内にワイヤー・リモコン爆弾・グレネード・地雷・ドリル・接着剤を生成することができる武装だ。


 レンはアタッシュケースから野球ボール程のサイズの黒い鉄球を大量に取り出し、ばら撒く。その後でアタッシュケースの中からリモコンを取り出す。


(リモコン爆弾。その鉄球は全て、ワシの手元にあるリモコンのボタンを押すと共に炸裂する!!)


 シーナは足を止め、左手に持っていたハンドガンを空に投げる。その後でサーベル端末を腰ポーチから抜いた。


「高出力モード」


 シーナはサーベルを伸ばして、1秒の内に全ての鉄球を斬り裂いた。

 鉄球は爆発し、両者の間に煙の幕を張る。レンはシーナを視認できないが、シーナは体温でレンを視認できる。


「……剣術まで達者とはな。さすがは、ツバサのチームメイトだっただけあるのう」


 空中に投げられていたハンドガンをキャッチし、シーナは早撃ちを披露。12の弾丸がレンの体に穴を作る。

 右腕の無い状態で、シーナはレンを圧倒してみせた。


「しかし、レールガン無しではツバサには勝てまい」

「……」

「この勝負、ワシらの勝ちじゃ」


 レンは脱落する。

 これで紅蓮の翼はあと1人。


(もう私にツバサさんのC:Aegisを攻略する(すべ)はない)


 シキを失った時点で敗北必至と考えていいだろう。


「シキさん……!」


 シキからの通信は無く、ニコやチャチャからの声も無い。

 こういった状況になった時、チャチャたちにはシキの方をサポートするように言ってある。それでも、この静けさは不気味だった。


 オペレートしなくちゃいけないチャチャたちが、固唾を飲むような事態がいま、もう1つの戦場では起こっていた。

【読者の皆様へ】

この小説を読んで、わずかでも

「面白い!」

「続きが気になる!」

「もっと頑張ってほしい!」

と思われましたらブックマークとページ下部の【★★★★★】を押して応援してくださるとうれしいです! ポイント一つ一つが執筆モチベーションに繋がります! 

よろしくお願いしますっ!!

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
ツギクルバナー スピンオフ『シスター・イズ・バーサーカー』もよろしくお願いします。
― 新着の感想 ―
ハンドガンはオートの12発?リボルバーの12発? 夢が広がる
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ