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【書籍化決定】スナイパー・イズ・ボッチ ~一人黙々とプレイヤースナイプを楽しんでいたらレイドボスになっていた件について~  作者: 空松蓮司@3シリーズ書籍化
C級ランクマッチ編

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第46話 不可避の1撃

 状況を確認。

 僕とシーナさんの前にはツバサさんが居る。そして遥か後方、ドーム状の建物の上にはレンさんが居る。


 まず対処すべきは……、


「……」

「……」


 僕とシーナさんは1度のアイコンタクトで意思疎通。シーナさんはレンさんを確保するためにツバサさんに背を向け走り出す。


「あれぇ? シキちゃんが残るんだ」


 2人でツバサさんを相手するという選択肢はない。絶好の位置に居るスナイパーを放置するなんてあり得ない。1人がツバサさんを足止めし、1人がレンさんを仕留める。当然の判断だ。


 次にどちらが残るかの問題。

 シーナさんは六花とレールガンを失った。右腕も消失。一方で僕はシールドピース半損のみで残りは無傷だ。さすがに僕の方がツバサさんの相手ができる。それに僕にはまだツバサさんを倒せる秘密兵器、G-AGEがある。言葉を交わさずとも残るべきがどちらかは明白。


(ここで仕留める)


 僕は充電モードに入ったサーベルをデータ化し収納。アサルトライフルを手に持ち連射する。


「さぁ、楽しい楽しい戦い(コンサート)の始まりだ♪」


 ツバサさんは大盾で僕の攻撃を受けつつ、指で虚空をなぞる。


(アレはアイテムポーチを操作しているのか)


 傷ついていたアイギスがどんどん修復されていく。マップで拾った修理キットを使っているんだ。


(正面突破は無理かな。やっぱり狙うなら、G-AGEの1撃)


 さっき初見のサーベルを躱されたからなぁ、G-AGEも視線を集めた状態で撃つのは危険だ。


(僕がM1911を抜いたら確実に警戒する。このランクマッチで実弾銃を使うことの異常さをツバサさんは無視しない。弾丸に触れるような真似をツバサさんはしない。この人は警戒心が強いタイプだ)


 相手が修理キットを使って、守りに入っている間に戦術を練る。

 まず必要な条件の確認。


 1、ツバサさんの足を止める。

 2、ツバサさんに守りに入らせる。

 3、ツバサさんの視線を遮る。あるいは別の物に視線を誘導する。

 

(1と2は簡単。問題は3だ)


 思考2秒。


(よし、思いついた)


 僕はアサルトライフルで火力を集中しながらすぐ近くにある喫茶店に扉から入る。

 ツバサさんは盾を1枚持ち、そのまま突進。喫茶店の壁を突き破ってくる。


(明らかな誘いに乗ってきた。僕から離れるリスクより、僕の誘いに乗るリスクを取ったか)


 正直、追いかけてこない方が楽ではあった。


(バレットピース)


 バレットピース3基を天井の方向へ送り、アサルトライフルで適当に窓やテーブルを撃つ。窓やテーブルを撃つことに意味は無い。けれど、ツバサさんはこういう無意味な行動にも意味を探すタイプ。注意が分散する。


(ツバサさんの過去の戦闘データを見て思った。ツバサさんは性格こそ僕とは違うけど、戦術の考え方は似ている気がする。だから、嫌がることもわかる)


 ツバサさんが僕の無意味の意味を考えている間に、バレットピースは天井を撃って天井を破壊。瓦礫がツバサさんの頭上に向けて落下する。


(バレットピース射出!)


 残しておいた3基のバレットピースを適当に散らせる。このバレットピースはただの陽動。撃たせず、エネルギーの限り飛ばせる。


 ツバサさんはアイギスを2枚頭上に設置、傘代わりにする。そして念のためか、正面・後方・左右を4枚の盾で念入りにガード。空いた隙間はシールドピースでカバーする。


「何をするかと思ったら、2流の戦術だね。ツバサのアイギスは全方位ガードできる」

(ツバサさんはこの瓦礫による攻撃が僕の策だと勘違いする。僕の本当の狙いは――)


 僕とツバサさんの間に、瓦礫が(かぶ)さる。

 僕も、ツバサさんも、瓦礫によって互いの姿が見えなくなる。だけど僕はツバサさんの位置をレーダーで正確に把握している。


――この瞬間を待っていた。


 僕が欲しかったのはこの瓦礫。この目隠し。

 腰のホルダーから素早くG-AGEを抜き、撃つ。早撃ち。G-AGEの銃声はアサルトライフルの銃声と天井落下による雑音でカバーできているはず。


(パーフェクト……!)


「!?」


 G-AGEの1撃は瓦礫を貫き、アイギスを貫き、そして――

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>(パーフェクト……!) 止めを刺すまで勝利を確信してはいけない、天才は想像の斜め上を行くから
>アイギスを貫き、そして―― 歯で噛んで止めるに1票
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