第38話 倒せるイメージ
「確かにシキさんがツバサさんを狙撃するのが1番手っ取り早いですが……」
「無理よ無理!」
ニコさんはきっぱりと言う。
「アイギスで死角のカバーをしているから、背後から狙撃してもガードされちゃうのよね~ん。かと言って、正面から狙撃してもツバサっちには反応されちゃう」
「わ、わかってます。えっと、今まで言ってなかったんですけど、僕……」
僕はM1911G-AGEを出す。
「面白い武器を持ってまして……」
テーブルにG-AGEを置き、みんなに見せる。
「この旧世紀銃が何だっての?」
「この銃は対象の装甲を無視してダメージを与えることができます。なので、どれだけ強固な盾も突破できます!」
「「「なっ!?」」」
僕はG-AGEの情報規制を解き、説明文を他のスペースガールからも見えるようにする。3人はG-AGEの説明を見て、それぞれ驚いた。
「アンタねぇ……!」
ニコさんは僕の頬っぺたをつねる。
「なんでこんな大切な事、今まで言わなかったのよ~!!」
「ふ、ふみまへん!」
言う勇気とタイミングがありませんでした!
「詳しい性能を聞いてもよろしいですか?」
「は、はい!」
検証し、知り得たG-AGEの詳細を説明する。するとまずチャチャさんが、
「おんもしろーい! スペースガールの急所を撃てば確殺とか、超面白いじゃん! 実弾銃ってところがさらにそそるねーん!」
「でもこのゲームってかなり実弾銃のこと扱いづらくしてるから、当てるのむずいわよ」
「いえ。実弾銃が弱いからこそ使えます。実弾銃の攻撃を警戒する相手はそういません。なんせ弱いのですから。シキさんの腕なら無警戒の相手に外すことも無い」
シーナさんは僕の目を見て、
「これはまさにツバサさんのようなガードナーの天敵ですよ。使えます」
僕は目を逸らし、
「その、ツバサさんについてですけど、あの盾ってなんなのですか? 性能が明らかに他の武装と一線を画しているような……」
ツバサさんと戦うにあたって詳細な情報が欲しい。
「そういえば詳しく解説したことはありませんでしたね」
シーナさんはリモコンを操作し、女神を模したような人型巨大ロボットの画像を出す。
「彼女のメインウエポンである6枚の大盾、アレの名は『アイギス』と言います。彼女はアイギス6枚をまとめてComboAegis、略してC:Aegisと呼んでます。自在に動き、銃を搭載していて、先端からはレーザーの刃が出る」
改めて聞いても強すぎる。それを6つ同時に運用できるのだからやばい。
「強力な性能なのは当然です。なぜなら入手方法がかなり難しいですからね。いま画像で出しているロボット、このロボットの名がアイギスで、アイギスのレアドロップが同じ名を持つ大盾アイギスなのです。推奨レベル100以上、且つ、落とす確率は0.5%。さらにアイギスは非常に装甲が硬く、∞アーツでもない限り絶対に討伐に10分は掛かる」
「それを6つも……」
「彼女は2時間、たった10回の討伐で6枚の盾を集めたそうですよ」
「えぇ!?」
「純粋に運が良いんです。私も身近で見ていて思いました。この人は神にも人にも愛されていると。ガードナーとしての才能だけでなく、近接も中距離戦闘もセンスがありました。唯一、長距離狙撃だけは苦手でしたね」
す、すべてにおいて僕と真逆だ……。
僕は運が無くて、人に愛されてなくて、それでいて長距離射撃は得意。
「でもC:Aegisのレアリティは10。つまり、私の六花やレールガンと同じくランクマッチでは性能制限が掛かります。金の惑星で見たような速度は出せませんし、それぞれの攻撃の威力も下がります。装甲値にしても、ツバサさんのレベルが下がるので守護神の恩恵は大幅ダウン、シールドとシールドピースの装甲値は大幅に減少します。どっちみち真正面からの突破は難しいですが、そこまで理不尽な性能では無いです」
加えてアイギスは1枚で武装枠を1枠使うらしい。6枚で6枠。ウエポンプラスを装備していなければC:Aegis+シールドピース2枠で武装枠が埋まる。手札の種類は少ない。
「理不尽よ! 私は1度相手したことあるからわかる。まさに鉄壁、倒せるイメージが湧かなかったわ」
「で、でも……!」
僕は勇気を出して言う。
「ぼ、僕は……倒せるイメージ、あります」
僕が言うと、シーナさんは微笑んだ。
「わかりました。できる限りツバサさんにはシキさんをぶつけられるようにします」
シーナさんはスクリーンの映像を変える。
「さて、話を進めます。紅蓮の翼以外にも2チーム、警戒すべきチームがいます。1つは全員がボマーの『ファンキー・ボンバー・ガールズ』、略してファンボン」
「アイツらうざいのよね……」
「彼女たちはレーダーで敵を発見すると、全員でそのエリア一帯を爆撃してきます。適当に」
アホっぽいけど、実際やられたらどうしようもないかもなぁ。
「それぞれの肩に9連式ロケットランチャーを積み、全員で一気に射出してきます。9×2×3、54発のロケットが飛んでくる」
「レーザー式じゃないのなら、弾に限りがあるのでは?」
「実弾を使う武器の弾薬は武器種に限らず999個まで持ち込みが可能。息切れを待つのは得策ではないですね。ただ再装填には時間がかかります」
「それなら……!」
「でも彼女たちはもう2枠9連式ランチャーを入れているので、すぐさま換装し、第2射を撃ってきます」
つまりさらに×2で……連続で108発のロケット弾が飛んでくるってことぉ!?
「1度捕まったら最悪ね。あのロケットは半径6m以内に入ったスペースガールを追尾してくるから、適当撃ちでも避けきれない」
「ファンボンならツバサさんのガードすらも無理やり崩せるでしょう」
「その2チームが食い合ってくれたら最高ね」
そうだろうか。
紅蓮の翼とファンボンが相打ち……それはなんというか、つまらない展開だなぁ。と思う僕が変なのだろうか。
「次に怖いのがスカウター2機とスナイパー1機編成の『令和くの一』。このチームはスナイパーはレーダーにガン振りし、スカウターはステルス性にガン振り。スナイパーのレーダーで敵を索敵して、スカウターで暗殺する。レーダー能力の高いスナイパーでも、少しでも他のステータスに振っていると彼女たちは見つけられない」
「……僕のレーダーにも映らないでしょうね」
「対策としてはバックアイを装備すること。背後が見えれば対応できるでしょう」
僕はボッチレーダーに頼るとしよう。
「概要はこんなものですね。何か質問などはございますか?」
ない。誰も手を挙げない。
これまでの打ち合わせで大体の擦り合わせはできてるしね。
「では解散とします――が、シキさんは1度チャチャさんのメンテナンスを受けておいてください」
「あ、そういえばシキっちょはまだメンテ受けたことなかったね」
メンテ?
「こっち来な~。軽くしてあげる」
【読者の皆様へ】
この小説を読んで、わずかでも
「面白い!」
「続きが気になる!」
「もっと頑張ってほしい!」
と思われましたらブックマークとページ下部の【★★★★★】を押して応援してくださるとうれしいです! ポイント一つ一つが執筆モチベーションに繋がります!
よろしくお願いしますっ!!




