第30話 包囲網
(ガンマさんは……)
いない。逃げられた。
「!?」
レーダーにプレイヤーアイコン多数。数11!
「しまった。仲間を呼ばれた……!」
1対11、これはまずい。そんな人数に囲まれたら……緊張して動けなくなる!
逃げよう。さすがに無理だ。
(距離! 距離! 距離があれば多人数相手でも緊張しないっ! 距離さえあれば倒せる!!)
アイコンの速度は速く、どんどん距離を詰められる。
「……だだだ、ダメだ! スラスターに差があり過ぎる!」
逃走中、着信が入った。相手は――シーナさんだ。
僕は着信に出る。
『すみませんシキさん、少し胸騒ぎがして――』
「ししし、シーナさん! やば、やばいです! 助けてくださいっ!」
『……どうしました? 冷静に、状況の説明を』
「い、いま、盗賊団に追われています! 勝てる人数じゃないです!」
『いま座標に向かいます。ステーションにいるのでそう時間はかかりません。後4分ほど耐えてください』
4分!? 長い……けど、
「わかりました!」
僕はそこで通話を切る。
時間……時間……どう稼ぐ?
「止まれ!」
正面、背後、左右に敵機が集う。
11機。みんな似た武装だ。全員漏れなくウィングを装備している。
敵集団の中にはガンマさんの姿が見える。やっぱりガンマさんが呼んできたんだ……。
こ……ここまでか。
「あわわわわ……!」
か、体が動かない。
「おいおい、子犬みたいにプルプル震えてんぞ。こんな奴にウチのトップツーがやられたのかよ」
「つか、レベル低っ! 20って……」
「ギルマスやるからどんだけ凄い奴だと思ったら、雑魚じゃん」
「油断しないで」
ガンマさんが集団の前に出てくる。
「コイツは危険だ。射撃技術半端ないし、妙な実弾銃を持っている」
「わかったよ。けどさ、簡単にキルしちゃもったいない」
「金取られてるからね。リスキルするよ」
僕は背後から抱きかかえられ、身動きを封じられる。
金頭巾のスペースガールが僕の目の前にカプセルベッドを出す。
(ま、まさか……!?)
ベッドを設置した理由はわかる。
「このカプセルベッドを開きな。そうすりゃアンタのリスポーン地点はここに設定される」
「復活する度にぶっ殺してやるよ」
「盗られた金! 根こそぎドロップしてもらうぞ!」
元はと言えば誰かから奪ったお金だろうに……!
(体が動かない……! 緊張で、完全に固まってる……!)
だ、誰か……助け――
「死になぁ!!」
敵の銃口が僕に向けられた、その時、
「やめたまえ君たち!」
その声は、僕の後方にある金結晶の柱の上から聞こえた。全員が、柱の上を見る。
「誰だ!!」
「世界一可愛い女の子……その名も!」
ツインテールの、超可愛いスペースガール……。
「ツバサ、さん……?」
「そうツバサちゃんで~~~す!! いやぁ、やっと追いついたよシキちゃん!」
ツバサさんの姿をハッキリと認識した金兵党の面々は、表情に焦りを見せた。
「神灰ツバサ……!?」
「元A級チーム、『ユグドラシル』のガードナー……!!」
A級チーム、ってトップランクのチーム、ってことだよね?
じゃあ、相当強いってこと……?
「さぁってモブの諸君、そろそろステージから退場してくれるかなぁ?」
ツバサさんの周囲に、6枚の大盾が出現する。
「――君たちの出番は終わりだよ」
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