第29話 ボッチ・ファイア!!
相手は3人共ウィングと中距離射程武器とサーベルを装備している。高機動バランサー、って感じかな。
3人ならばギリギリ緊張に耐えられる。ベストの状態とまではいかないけど、体はちゃんと動く。
「ゴールデントライアングル起動!」
「了解姉ちゃん!」
「了解」
3人はマントを解除し、ウィングを起動させて僕から距離を取る。
僕をトライアングルの中心に置いて、ウィングの機動力で適切な距離を保ちつつ火力を集中する気かな。
「「「三角砲火!!!」」」
僕はレーザー反射の結晶とシールドピースを盾にしつつ包囲射撃を捌く。手に持ったアサルトライフルで手近の敵を狙うけどシールドピースで簡単に防がれてしまう。
(良い連携だ。近すぎず離れすぎず、上手く僕をトライアングルの中心に据え続けている。遮蔽物が無かったら負けてたかも)
それに、
(結晶による弾丸の反射角も把握している。結晶に隠れても跳弾で狙ってくる)
だけど跳弾はそこまで達者ではない。1バウンドは操れるみたいだけど、2バウンド目からはまさに当てずっぽう。
僕は結晶の柱の陰に入る。目の前には結晶の上り坂があり、前後をカバーできる。
「……跳弾じゃ負けないよ」
僕は柱の陰から正面の結晶体の坂に向かってレーザー弾を連射する。レーザー弾は結晶の坂を反射し、敵機に迫る。
ターゲットはベータさん。1バウンドした弾丸はベータさん周辺の4つの結晶柱に当たり更にバウンド。レーザー弾は柱から柱へ、あるいは柱から地面へまたバウンドし、四方八方からベータさんに迫る。
3度の跳弾を利用した1人包囲射撃、反応し切れまい。
「ベータ!」「ベータ姉!」
「防ぎ切れない!!」
ベータさんの頭部と脚部に弾丸がヒット。しかし耐久値は20ぐらいしか削れていない。でも、
(足は止まった)
僕は柱の陰から飛び出す。するとベータさんをカバーしようと残りの2人が銃を向けてきたので、2人の周辺の結晶体に向かってレーザー弾をばら撒く。レーザー弾はバウンドを繰り返し、2人の銃を持つ手にヒットする。
「なん、だよコイツ……!」
「跳弾で正確に手もとを……!」
アサルトライフルの跳弾でベータさんのウィングを破壊し動きをさらに制限。機動力を奪われたベータさんがシールドピースで防御を固めた刹那、
(ここ!!)
右手でG-AGEを抜き弾丸を発射。弾丸はベータさんのシールドピースを割り、胸部を穿つ。
「シールドを……貫通!?」
ベータさんを消失。すると僕のチップが4万増えた。
(PKすると相手のチップが手に入るんだ。デスペナルティがチップ半損だということを踏まえると、恐らく倒した相手の所持チップの半分を奪える)
なるほど。色々合点がいった。
(ここはお金を落とす機世獣がいっぱいいる。それゆえに盗賊がいっぱいいるんだ。お金を稼いだ初心者プレイヤーを狩り、効率的にチップを集める盗賊団が。だからシーナさんは僕に忠告したんだ。『レーダーに頼るな』と、『場合によっては表記以上の難易度になる』と)
基本、どのゲームもダンジョンの難易度なんてそこにいるモンスターやトラップから算出されるもの。他プレイヤーのことは考慮しない。
「アンタよくも!!」
冷静さを失ったアルファさんがサーベル片手に突っ込んでくる。直進だ。僕はアルファさんの横薙ぎを屈んで回避し、G-AGEを口に咥えてアサルトライフルを両手持ちで連射。アルファさんは弾丸を避けたつもりになるが、乱反射したレーザー弾に捕まり、全身の耐久値を削られ右のウィングは破損。地に落ちる。
「あ、あり得ない。ウチらがこの反射結晶に慣れるまでどれだけの……!!」
時間を掛けて1バウンドまでしか操れないのなら……跳弾を武器とするべきでは無かった。下手に跳弾を使うから、僕にこの結晶体の反射角度を教えてしまったんだ。
今はもう、4バウンドまで計算できる。
僕はG-AGEをアルファさんの顎下に突きつける。
「――金を置いて消えてください」
「っ!?」
G-AGEを発砲。顎ごと頭を吹き飛ばす。
アルファさんデリート。所持チップが7万増えた。
「あと1匹……」
【読者の皆様へ】
この小説を読んで、わずかでも
「面白い!」
「続きが気になる!」
「もっと頑張ってほしい!」
と思われましたらブックマークとページ下部の【★★★★★】を押して応援してくださるとうれしいです! ポイント一つ一つが執筆モチベーションに繋がります!
よろしくお願いしますっ!!




