第25話 楽しいお買い物 後編
今回ショップで買う物は決めている。
シールドピースだ。これは間違いなく必須級の武装。シールドピースを買ってチップが余ったら銃火器を買おうと思う。
ピース系武装が並んでいる売り場に行く。
シールドピースも多種あって、基本となるPT-8(50基)を始めとして、ピース数が50→30個に減る代わりに1つ1つの装甲値が増えるPT-9や1つ1つのピースの大きさが倍になり数が25まで減ったPT-3というのもある。
他にも面白いピース系武装があった。
PBE-1(バレットピース)。なんと射撃ができるピースだそうだ。たったの6基だけど、脳波で操ることができレーザーを放ってくれる。ほ、欲しい……。
「値段……10万チップ……」
とても手を出せるものじゃない。RPGで良くあるよね、最初の方の街でその時点じゃ絶対手の出せない程高いアイテムが売ってること。しかも性能が凄く良いっていうね。そういうの大好き。後々の楽しみになる。
「いつか……いつか買いに来るから……!」
逆にシールドピースは安い。PT-8はたったの6000チップだ。初期装備の選択肢にあったものはどれも8000チップは超えないみたいだね。
シールドピース2セット買って、残り9000ちょっと。
後はスナイパーライフルだなぁ。
(ふんふんふーん♪ ライフル選びは楽しいな~)
威力を重視するか射程を重視するか、あるいは弾速を重視するか。
(対機世獣を考えるとスナイパーライフルは後回しの方がいいかな?)
多分対機世獣ならアサルトライフルが時間効率的に良いと思うんだよね。そっちにするか。
(アサルトライフル……あった)
アサルトライフルね~。大抵どのゲームでも安定して強く、高い技術が無くとも扱える銃だ。『お手軽強武器』って感じだね。
基本的にフルオート。1秒に10発ぐらい撃てる。その分大抵のゲームでは1発1発の威力は抑えられる。現実のアサルトライフルの問題点は反動と銃声と弾詰まりで、めちゃくちゃ暴れるしめちゃくちゃうるさいしめちゃくちゃ繊細。現実ではその反動と銃声のせいでパニック状態になり、4発目以降はあらぬ方向へ飛んでしまうことが多い。だけどゲームだとこれらのマイナス要素が抑えられることが多いから欠点がほとんどなくなるんだよね。射程も300~500mぐらいはあるし。
(バースト式もあるんだ)
バースト式は1アクションで一気に2発とか3発とか弾丸を放つシステムのこと。一気に3発放つ銃を三連バーストとかって呼ぶ。
確かアサルトライフルだと4発目以降が無駄になることが多いから、それなら3発で切る三連射式にしよう……ってな感じで三連バーストを開発し始めたんだよね。しかし僕には無用の長物。僕ぐらいの熟練者になれば通常のフルオート式で3連止め(指切り)できるからね!
(フルオート式、中距離用だから射程は中ぐらいでOK。銃声も追尾もいらない。弾速と威力に振ってある奴がいいな。ん? 実弾銃では弾数だった部分がEN貯蔵量に変わっている)
EN貯蔵量……レーザー系武装は武器毎にENが設定されていて、それを使い切るか意図的に電源をオフにするとリロードタイムに入り、本機のENを吸い取ってENを回復する。
リロードは致命的な隙だからなぁ。アサルトライフルはEN消費量多いだろうし、多めに取っておいた方が良さそう。
「これがいいな。ARR-2」
有効射程は300mと少し物足りないが他のステータスは要望通りの一品だ。特に威力と弾速が高い。
値段も8000。ちょうどいい。購入っと。
(買い物たのし~! この限られた財で最良を探す作業が最高に楽しいよ~!)
人さえいなければ最高のゲームだね。なんて冗談冗談……。
武装を埋めつつシップ・ドックに移動。
宇宙船に乗り込んで行き先に頭を悩ませる。
(とりあえずお金……お金が要る。稼ぎやすい場所はあるだろうか)
説明書にも金策については何も書かれていない。当然か。
フレンドリストを開いてみる。現在ログインしているのは……シーナさんか。チャチャさんが1番話しやすいけど、シーナさんも親切だし……通信ならそこまで緊張もしないはず。
シーナさんに通信して金策法を聞いてみよう。
フレンドリストからシーナさんを選択して、通信……。
『はい。シーナです。どうなされました?』
「ああああの……もしもし…………その、いまお時間大丈夫でしょうか?」
『はい。問題ないです』
と言う割には凄まじい発砲音と破壊音が通信先から聞こえる。
「なんか、音が凄いんですけど」
『大丈夫です。もうガラクタになりました』
(ガラクタ!? なにをガラクタにしたの!?)
『? どうしました?』
「い、いえ! その……実はお金が欲しくてですね。初心者でもできる金策とかありますか?」
『そうですね……わかりやすく稼ぐには金の惑星に行くのが1番でしょう。名前に金の付く惑星の機世獣はドロップでチップを多く落とします』
「な、なるほど」
『推奨レベルは25で、シキさんとのレベル差はありますが、シキさんなら問題ないでしょう。ただ……』
「ただ……?」
『どこまで言っていいのやら。シキさんはネタバレとかは嫌いですよね?』
「は、はい」
『……わかりました。ではそのプレイ方針を尊重しつつ忠告します。まず、金の惑星は場合によって表記以上の難易度になります。常に油断せず、状況把握を怠らないでください』
ふむ? 夜になると機世獣が強化されるとか、そういうシステムがあるのかな。
『あと、レーダーに頼らないように』
レーダーに?
つまり、ステルス戦闘を行う機世獣が居るってことかな。
『あ、それと宇宙船はデータ化してポーチに収納できるので、惑星に着いたらすぐ収納することをおすすめします』
(え!? そんなことできたの!? そ、それを知っていたなら……あの悲劇は回避できたのにっ!)
地味に凄く大切な情報!
「ああ、ありがとうございますシーナさん! 早速金の惑星に行ってきます!」
『はい。金の惑星は危険性が高い分、リターンも大きいです。良い旅になることを祈ります』
通信が切れる。
怖い所もあるけど、やっぱりいい人だなシーナさん。
行き先を『金の惑星 難易度☆☆☆』に設定し、いざ出発。
「……金の惑星、一体どんなところだろう。楽しみだ……!!」
宇宙船は宇宙へ飛び立つ。
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