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【第一巻発売中】スナイパー・イズ・ボッチ ~一人黙々とプレイヤースナイプを楽しんでいたらレイドボスになっていた件について~  作者: 空松蓮司@3シリーズ書籍化
代理戦争編

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第206話 ツギハギチーム

 敵メインシップ先端から砲身が顔を出す。


 タイミングが大事だ。


 ベストなタイミングは主砲を撃つ寸前、相手が砲撃を通すためにフレアフィールドを消した瞬間だ。それより早く撃つとフレアフィールドに弾かれてしまう。それより後だと主砲の1撃を許してしまう。


 ただ、その瞬間を狙うのはリスキー過ぎる。視界の悪さ、敵スペースガール等の障害物の存在。これらの要素をクリアしつつ、ベストタイミングまで求めると流石に確率が落ちる。


 撃っている途中でいい。あっちがメガレーザーを撃っている間に、1撃で仕留める。申し訳ないけど、特攻しているサブシップは見捨てる。


「くる……!」


 相手が主砲を放った。

 その0.1秒後に、僕も撃つ。僕の居るサブシップの高度は敵メインシップに合わせている。角度は問題なし。弾は直進し、数体のスペースガールを貫いた後、敵メインシップ主砲に着弾。敵メインシップの主砲を根元から溶解する。


「寸分狂いなし」


 主砲の破壊に成功。しかしアスター3もメガレーザーに撃墜され、爆散した。


 アスター3の爆発の余波は凄まじく、1番近くにいた敵メインシップを怯ませることに成功する。


「よし、後は……」

『突撃~~~~~っっっ!!!』


 今度はスピカ・セーラスが突撃を始める。

 サブシップに続いてメインシップの突撃。息つく間を与えず、ロゼッタさんは奇策を連打する。


 スピカ・セーラスの戦艦としてのステータスはかなり高く、今の荒れた戦場なら突っ切れるタフネスを持っている。怖いのは敵メインシップの主砲だったけど、それは僕が潰したから問題なし。


「囮艦で主砲を引っ張り出して、僕が主砲を狙撃して破壊。相手の攻撃力が下がったところでメインシップの突撃。シビアな作戦だと思っていたけど、ロゼッタさんの思い通りに事は進んでいる。あの人、やっぱり凄い……」


 スピカ・セーラスは全速力で進む。だけど目的は敵戦艦を撃墜することではなく、敵戦艦と()()()()()()だ。接近すること、と言い換えてもいい。


 全ての武装を使って敵陣をこじ開け、進んでいく。敵の反撃をほとんど回避しているのが恐ろしい。


(イヴさんの仕業だなぁ。ほんっと、あの人の操舵は何度見ても意味がわからない……)


 アスター1とアスター4も地を這って前進し、敵艦隊を下から砲撃して援護する。

 敵艦隊は地上からの攻撃に一切反応できていない。


「そっか。空が騒がしい分、地上への警戒が緩んでいたんだ。その隙を狙って……」


 僕の居るアスター2だけはその場に残る。僕は引き続きレイ・オブ・サンクション改で敵メインシップを狙い撃ちにする。もちろん、フレアフィールドやシールドピースに防がれるが、確実にその両方の残量を奪っている。銃身が焼き切れたら換装し、新たなレイ・オブ・サンクション改で撃つ。


 これが本当の『戦術』か。艦隊の戦力は大差無いはずなのに、こっちが一方的に攻めている。


『主砲! 撃てェ!』


 スピカ・セーラスが主砲を撃ち、敵メインシップがシールドピースとフレアフィールドでそれを防ぐ。

 度重なる攻撃を受け、ついに敵メインシップはフレアフィールドを解いた。スピカ・セーラスの攻撃を弾くため、僕の狙撃やサブシップの総攻撃を弾くため、高出力で展開し続けた結果オーバーヒートしたかEN不足になったんだ。


 スピカ・セーラスは全身からミサイルを発射する。敵メインシップはミサイルの攻撃を捌き切れずくらってしまう。致命傷には程遠いが、敵メインシップの装甲に幾つかの穴ができる。


「……全ての条件クリア」


 スピカ・セーラスはソルニャー風船を撒きながら敵メインシップとすれ違う。下を走っていたサブシップ2隻もソルニャー風船を撒き散らしつつ、敵メインシップの下を通過する。いま、敵艦隊は大量のソルニャー風船に囲まれている。


 わざわざ接近して、やったことはそれだけ。


 そのままスピカ・セーラスとアスター1&アスター4は戦線を離脱。逃げていく。1隻残された僕の居るアスター2と、戦場に残ったスペースガール達は敵主力の激しい攻撃に遭う。


 こっちはサブシップ1隻+60人規模のスペースガール部隊。

 相手はメインシップ1隻+サブシップ4隻+主戦力たるスペースガール達……全戦力を投入している。


 勝てるはずも無いので撤退を始める。けどもちろん逃がしてはもらえないだろう。いずれやられる。


「さてと……」


 僕は格納庫に戻り、ワイバーンに乗って出撃。スタークとアステリズムの狙撃で味方陣営を援護する。


(敵前線を(くじ)いて、サブシップも1隻ぐらいは持っていきたいね)


 いま僕がやっていることは次善の策というか、保険というか。


 恐らく……99%、必要のない無駄なこと。


 勝負はもうついている。



 --- 



 ――VIPルームA。



「見てにゃ見てにゃ♪ あれ、あれソルニャーにゃ! ソルニャーにゃ!!」


 大量のソルニャー風船をモニター越しに確認し、小躍りするソルニャー。


「やかましい。一体誰だ? この毛むくじゃらをVIPルームに入れたとは……」


 部屋には六仙とPPPとマザーとソルニャーがいる。

 ソルニャーは不機嫌そうに腕を組むPPPの頬を両手で包み込む。意外にもPPPは抵抗せず、ソルニャーに揉みくちゃにされている。


「キュート! ソー、キュート!!!」


 マザーはソルニャーに抱き着き、目をハートにさせる。


「がわいいっ! がわい過ぎるぅ!!!」


 濁声でマザーは言う。ソルニャーは首を傾げ、なぜかタップダンスを踊り始めた。

 騒がしい2人を他所に、PPPは六仙に語り掛ける。


「一見、知の無い特攻に見えるが……なにかあるな」

「さぁ、どうだろうね」


 PPPは一滴の焦りを瞳に宿し、六仙に問う。


「それよりなんだ……今の変態飛行は。誰がメインシップを動かしている?」


 艦隊戦の経験が豊富なPPPはスピカ・セーラスの操舵に驚いていた。

 操舵手は多く見てきた。舌を巻く者も多く居た。だがアレは……格が違う。


「それは秘密さ」

「主殿にゃ!」

「ソルニャー。君は黙って踊ってなさい」


 PPPは席を立つ。


「展開は読めた。もうここに用はない」

「流石の君も、相手がフリーパーチとなると自軍が心配のようだね」

「心配? 馬鹿を言うな。アカボシもツバサもシーナも出てこない以上、負けは無い。苦戦は強いられるだろうがな。私はただクイーンとして、勝利した配下を労う準備をしたいだけだ」


 PPPが扉の前に立つと、扉はひとりでに開いた。


「自軍が心配なのはお前の方だろうが。ツギハギの軍隊……お前の理想とするものとはかけ離れているはずだ」

「……」

「ミフネの造反は痛手だろう? あくまで頭は軍隊で固め、手足に特殊戦力を固める。それが当初の予定だったはずだ。それが最も効果的に戦力を発揮できる形だった。だが軍人であるミフネが失脚し、部外者であるシキが活躍したことで軍内部の統率は乱れた。今はこけおどしでなんとか出来ていても、強い個が集まり、尚且つ高い統率力を持つ我が軍は倒せない」


 六仙はPPPの発言の一部に疑問を抱くが、敢えて指摘せずに流す。

 PPPは不敵に笑い、場を去る。

 六仙は視線をモニターに戻し、微笑んだ。


「……シキ君、ラビ君、ロゼッタ君、イヴ君。たとえ軍全体の統率力は並でも、この4人が完璧に連携できれば問題ないさ」

【読者の皆様へ】

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スピンオフ『シスター・イズ・バーサーカー』もよろしくお願いします。 ツギクルバナー
― 新着の感想 ―
そもそもの問題として、オケアノスにおいては別に部外者が目立っても軍人が肩身が狭い思いをしそうにないと言うか、元々まともな方々は真面目で事なかれ主義が強めな上に、一番キツイところをエースが全力で補ってく…
あの風船が総仕上げなのかな?あちらも建て直し中でも挑発や錯乱以外に何かあるかと疑うんだろうけど
ソルニャーが一番楽しそうなテンションで場に君臨してそうwww
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