表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
【第一巻発売中】スナイパー・イズ・ボッチ ~一人黙々とプレイヤースナイプを楽しんでいたらレイドボスになっていた件について~  作者: 空松蓮司@3シリーズ書籍化
代理戦争編

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

205/275

第204話 ラビリンスvsPPP

「それは違う……恋敵は君だぁ! なぜなら主人公は私なのだから!」

「馬鹿を言うな。この世界! この人類史の主人公はこの私だ! つまり、恋敵はお前だぁ!!」


 あのぉ、もう少しわかりやすい日本語でお願いします。


「くくく……! 君は愉快な友人がいっぱい居るねぇ」

「ロゼッタさん、面白がってないでなんとかしてください。あの人、敵国の王ですよ」


 ラビちゃんとピーさんの顔つきが変わる。

 コミカルな空気からシリアスな空気へと移行する。


「……面白い。お前が主人公だと言うのなら、素養(きらめき)を見せてみろ」


 ピーさんは両拳を握り、構える。あの構えは――


「ボクシング……?」

「へぇ。肉弾戦か。それなら……」


 ラビちゃんもサバットの構えを取る。ボクシングの構えに似ているものの、重心が違う。ピーさんは両足に体重を乗せているが、ラビちゃんは軸足に体重を集中させている。蹴りを選択肢に入れているか、そうでないかの違いだ。


「と、止めないと!」

「もう少しいいじゃないか。彼女のボクシングを無料で生で見られる機会なんてないよ?」

「?」


 それってどういう――


「いっくよ~!」


 ラビちゃんは接近し、連続上段蹴りを繰り出す。


(速い! それにキレも凄い。前に見た時よりもさらに体術が向上している!)


 しかし、ラビちゃんの攻撃は1撃も当たらない。ピーさんは膝を使って上半身を浮き沈みさせ、全て躱す。あの技術って確か、ダッキングとかウィービングって言うんだっけ?


「ならこれでどう!」


 ラビちゃんは下段へ蹴りを出す。


(うまい。ボクシングは足に対する攻撃には慣れていないはず!)


 ボクシングにとっては急所のはずの、下段への攻撃。なのに、ピーさんは待っていたと言わんばかりに笑った。

 ピーさんは軽やかなバックステップで蹴りを躱し、着地と同時に床を踏み砕いて突進する。


「!?」


 突進からの速射(ジャブ)

 ピーさんの左拳がラビちゃんの頬を掠める。


(ここからでも(かろ)うじてでしか見えない速度。ラビちゃんの距離じゃほとんど見えていないんじゃ……)


 ピーさんのジャブの連発。あの逃げ上手なラビちゃんが回避ではなく防御を選択し、拳を腕で受ける。

 だがそれも限界がきて、ガードが崩れる。ラビちゃんは堪らず、後ろへ飛んだ。ピーさんはラビちゃんの動きを読んでいたのか、ラビちゃんが後ろへ飛ぶと同時に大きく前にステップを踏んだ。


 今まで封印されていたピーさんの右拳が、後ろへ引かれる。


(ストレート! 来る!)


 ピーさんの右ストレート。ラビちゃんは腕をクロスさせて完璧に防御する。でも、


「ぐっ!?」


 ガードごと押し込まれ、体を浮かされる。


「つぅ……!」

「……やるなぁ! 口先だけではない。良い読みと反射だ」


 あのラビちゃんがほとんど一方的に……!?


「強い……」

「そりゃそうさ。PPPはリアルで女子ボクシングライト級世界チャンピオンだからね」

「え!? そうなんですか!?」

「そうだよ。有名な話さ。1度もKOをくらったことはなく、勝った試合は全てKO勝ち。挑発してきたミドル級の男子ボクサーを喧嘩で負かした逸話もある」


 うっわぁ……。


「その鋭いパンチと尊大な性格から、付いたあだ名は『QUEEN(クイーン) BEE(ビー)』。女王蜂さ。ま! 女王蜂ってあんまり刺さないらしいけどね」

「最後で台無しです……」


「世界チャンプとか知ったこと無いよ……」


 ラビちゃんの目が鋭く光る。


「やられたらやり返さないと……!」


 ラビちゃんの負けず嫌いの心が前面に出る。


「いい気概だ。来い。遊んでやる」


 2人は向かい合い、また拳を握る。

 2人がダッシュした刹那、僕は間に割り込み、右手のG-AGEをピーさんに、左手のスタークをラビちゃんに向け、止める。



「……いい加減にしてください。試合前ですよ」



 僕が言うと、2人は握った拳を解いた。


「そうだったな。興が乗り過ぎた。まさかシキ以外にもここまで面白いメスがいたとはな」


 ピーさんは搬入口へ足を向ける。


「シキよ」


 ピーさんは背中を向けたまま、


「我々が優勝したら、我がコロニーに移住しろ。そうすれば、お前も惑星攻略に参加させてやる」


 そ、そう来たか。

 実際そうなったとしたら、僕は――


「待っているぞ」


 ピーさんは堂々とした歩き姿で格納庫から去っていった。


「相変わらずだね」


 ロゼッタさんはそう言ってジャケットのポケットに手を入れた。


「会ったことがあるのですか?」

「前に彼女から武器を買ったことがある。欲望は至ってシンプル。しかし欲望を叶えるための手間は一切惜しまず、豊富な手段を駆使してくる。人を見る目もあるし、戦術眼も本物だ。ただ根本がアホだけど」


 間違いなく、月上さんや千尋ちゃんと同じ、常人とはかけ離れた場所にいる人だ。


「さぁさぁ! 気を取り直して作業に戻りたまえ~」


 ピーさんの存在に圧倒されていた技師さんたちに、ロゼッタさんは発破をかける。


「とんだ邪魔が入ったけど、本来の目的に戻ろうか」

「あ、そうでした。アレを見に来たんでしたね」


 僕はロゼッタさんについていき、とある新兵器の前で立ち止まる。


「おぉ~! これが……」

「そう。次の作戦の肝さ。最高の嫌がらせだろ? それでいて費用はぜ~んぜんかからない」


 コレ……いいなぁ。


「あの、ロゼッタさん。これって武装に落とし込めたりできないですか?」

「ん? ああ、できるよ。というか前に作ったことがある。欲しいかい?」

「はい! あ、対価は払います」

「対価ね。それじゃ、オフ――」

「それは断ります」

「……それなら、吾輩の武装構成を一緒に考えてくれないか? 少し(いじ)りたくてね」

「わかりました! あと、材料費もちゃんと払います」

「マメだねぇ~」


 ロゼッタさんと共に武装の調整を終えた後、僕はロゼッタさんに頂いたリストバンドを嵌めた。転送位置を指定するリストバンドだ。


 次の試合、僕はメインシップスタートではない。サブシップ・アスター1の格納庫からスタートだ。


「ふぅ」


 余った時間、1人、メインシップのレストルームで意識を休ませる。


「そろそろだねぇ♪」

「うわぁ!?」


 上からラビちゃんの声が聞こえた。

 天井を見上げると、なぜか天井に隙間ができていて、その隙間からラビちゃんは顔を出していた。


「入り口から来なよ……」

「よっと」


 ラビちゃんは僕の前に降り立つ。


「どっちが活躍できるか、勝負だね」

「にっしし! 負けないよ~、シキちゃん♪」


 僕とラビちゃんは手を合わせる。


「最強コンビ再結成♪」

「この前も一緒のチームになったけど……」

「アレは別枠。邪魔者もいたしね」

「あはは……」

「また暴れようね。シキちゃん!」


 ラビちゃんは可愛らしくウィンクする。


「うん!」


 僕は笑顔で返事する。

 幼い日の思い出が蘇る。ラビちゃんと一緒に、駆け回った日々を思い出す。またあの時と同じように、ラビちゃんと一緒に遊べる。それがたまらなく嬉しい。


 青い雷が僕らの全身に走る。体の感覚が無くなっていく。


 景色が一変する。


『ステージ名・砂漠1。戦闘開始します』

明けましておめでとうございます。

今年も『スナイパー・イズ・ボッチ』をよろしくお願いします。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
スナイパー・イズ・ボッチ 第1巻予約受付中!(2026/02/20発売)

https://img1.mitemin.net/4i/vj/iftb8atv92wt14ila4g2e7v4k3cl_v9j_dn_gj_a2fa.png

スピンオフ『シスター・イズ・バーサーカー』もよろしくお願いします。 ツギクルバナー
― 新着の感想 ―
まさかのタイトル持ちリアルボクシングチャンプwwww 近接するとリアルスキルで、遠距離だとあのえげつない攻撃と防御があると⋯⋯() 強すぎですね。 ただし少なくとも外面はリアルとゲームに差がなく、性格…
あの自信はマジ物の経験値があったんか!?単なるゲームのロールのテンションじゃなくて素ってのが唖然と言うかなんというべきか
現実でも猛者だったんだ…そりゃ自信に満ち溢れてる訳だ。単純な性格だけではなかった(笑)
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ