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【書籍化決定】スナイパー・イズ・ボッチ ~一人黙々とプレイヤースナイプを楽しんでいたらレイドボスになっていた件について~  作者: 空松蓮司@3シリーズ書籍化
C級ランクマッチ編

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第20話 チャチャさん登場

 デリート後、僕はカプセルベッドの中に転送された。


(ま、負けた……)


 くううぅぅぅやしいいいいいぃぃぃ!!

 出だし屋上でジッとし過ぎた。それが敗因だ。うぅ、もうっ! 自分に腹立つ!


(ここ……)


 カプセルベッドから出ると、指令室? みたいな所に出た。

 5つ大きな液晶画面があって、その内の2つにシーナさんとニコさんがそれぞれ映っている。そして――液晶画面の前には電子キーボードを打っているスペースガールの姿がある。


「よっほーい。直接会うのは初めてだにぇ」


 ボサボサの茶髪を掻きながら、彼女は振り返る。


「あなたは……」

「メカニック担当のチャチャさんだよぉ~。よろぴくぅ!」


 チャチャさんは指をピースにして額に当てる。


「ちなここはオペレーター室ね。ランクマッチで負けたスペースガールはそのチームのオペレーター室に転送されるんだ。デスペナとかはないから安心してっちょ」


 口には棒付きの飴玉、ダボダボの作業服を着ていて、手には分厚い軍手をしている。目はクリッとしていて、猫のような愛嬌を感じる顔。かわいい。


「あぁ、うぅ……はじめまして……チャチャさん……」


 僕は申し訳なさから肩を落とす。


「んあ。なに落ち込んでるの?」

「だ、だって僕、即落ちしてしまって……」


 チャチャさんは液晶の方に向き直り、


「アレは仕方ないね~。初っ端から『紅蓮の翼』2人に突っかかれたらシーナっちやニコっちでも同じだったよ」


 いや、問題はそれ以前の部分だ。1対2という状況を作ってしまったのが問題なんだ。


『チャチャさんの言う通りです。気にしないでください』


 オペレーター室にシーナさんの声が響く。


『あそこまでシキさんが粘ってくれたのに、先に合流された私達に責任はあります』

『こっちが先に揃ってたら結果は逆だった。アンタに非はないわ。マジで』


「そそ。むしろチャチャさんはシキっちょを褒めたいよぉ~。レベル差あるアタッカー相手にあれだけ接近戦できるなんてビックリ」


 や、やさしさが痛い……こんなお世辞を言わせてしまうなんて!

 せめて応援しないとな……。


「……今の状況は、どんな感じでしょうか……」

「集合地点を変えて合流を目指している所。暫くは戦闘はないかな」


『チャチャさん。戦闘が起きるまではシキさんに解説などしてあげてください』


「りょーかい~」


 チャチャさんは椅子を回し、僕の方を向く。


「何か聞きたいことある?」

「……え、えっとですね……」


 面と向かって話すの、辛いな。

 で、でも、せっかくの善意無下にしたくない。頑張れ僕……。


「ちゃちゃ、ちゃちゃ……!」

「おもちゃの?」

「ちゃちゃちゃ、ではなく!」


 落ち着けぇ……! 1対1だぞ。月上さんとはちゃんと話せたじゃないか。深呼吸!!


「ちゃ、チャチャさんが思う僕の失敗、敗因を教えてください」

「別にシキっちょは負けてないと思うけどね」

「そ、それでも、完璧な立ち回りができたとは思えません」

「うーん、そこまで言うならチャチャさんなりの視点でお答えしましょう。まず第1の敗因は屋上に長く居過ぎたこと。これはシキっちょもわかってるよね?」

「は、はい」


 自滅を考えて屋上に留まってしまった。そのせいで最悪の展開を作ってしまった。


「でも1番の失敗は戦闘開始前にステルス強化のマントを羽織らなかったことかな」

「あ! ……すっかり忘れてました」

「きっとクレナイんに真っ先に突っかかれたのはクレナイんのレーダーにシキっちょが映っちゃったからだよ。クレナイんはアタッカーだからレーダー性能は低い。ちゃんとマントを羽織ってればレーダーには映らなかったね」


 そっか。戦闘開始前にあのマントを羽織っていればステルス性が1.5倍になって見つからずに済んだんだ。


「でもね~、そもそもシキっちょは初めてのランクマッチなんだし、こんなセオリーわからなくて当たり前。時間が無いとはいえマントを羽織るよう指示を出さなかったチャチャさんに問題がある。すんまそん」

「い、いえ! そんなことないです!」


 なんにせよ、スタートで僕がボーっとしていた事実に変わりない。ちゃんと集中していればマントのことにだって気づいていたはずだ。


「挙げられる敗因はその2つぐらい。正直屋上でサシになった時点で詰んでたかな。でも近づかれてからの戦術は全部完璧! チャチャさんの想像の遥か上だったね~」

「ありがとうございます……」


 甘く見ていたわけじゃないけど、レーダー系のステータスは大切だな……レーダーで優位に立たれるだけで多対1の状況が簡単に出来てしまう。


「あ、あと、もしよろしければクレナイさんが装備していたあの翼について教えて欲しいんですけど……」

「ウィングだね。スラスターを強化する武装だよ。スラスター出力とスラスター容量が大体倍ぐらいになる」

「え!? めちゃくちゃチートじゃないですかソレ!」

「でも難点も結構あるんちょ。まず1つに右翼・左翼でそれぞれ武装枠を1つ使う。次にEN消費が激しいからEN容量にステ振りしないとダメ。3つ目にウィング起動中はステルス性が0になる。みんなのレーダーに丸映りってわけ。4つ、ウィングは自動修復はしないから1度壊されるとその試合中は復活しない。片翼破壊されるだけで性能が死ぬってこ~と」


 武装枠2つ圧迫されるのはきついな。今回の戦いでシールドピースは必須ってわかったし、ウィングとシールドだけで4つ枠を埋められてしまうのはきつい。ステルス性が消えるのなら、スナイパーとは相性も悪い。


「シンプルに強く見えるけど意外にクセつよなのだ。現に同じアタッカーでもニコっちは装備してないよ。あ、ちょうど戦闘が始まるね」


 ニコさんのレーダーに1機映る。だけど、レーダーに映っていないだけで他にも何機かいそうだ。足音が聞こえる。


「あっちゃ~。合流前にどっかのチームに捕まったか」

『ニコさん、もうすぐ私も着きます。無理はせずに――』

『ふん。こんな雑魚共1人で十分よ!』


 ニコさんはサーベル端末を2個取り出し、それぞれの手に装備して――逆手持ちにする。


「め、珍しい構えですね」

「逆手持ちねぇ、合理的じゃないけど、ホントに普通に持つよりこっちのがニコっち強いんのよねぇ」


 逆手持ち……カッコいい。


『さっ! 暴れるわよ!』

機動力特化はスナイパーなどの射程武器持ちの天敵なので、ウィング型アタッカーは人気です。シキはスナイパーとウィングは相性が悪いと感じていましたが、ウィング型スナイパーで強い人もいます。相手から距離をとりながら戦えますし、ノーマルアタッカーと機動力で勝負できますからね。むしろシキのような狙撃以外のステータスも高いタイプはウィングと相性良い気がするけど、使うかどうかは僕にもわからない。

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第1話の発見即スナイプのキリングマシーン・シキちゃんを考えると、ちょっとあり得ないぐらい温い立ち回りでしたからねー ダストミラージュ使ってないのも、屋上なんて目立つところで下をのぞき込んだりしてるのも…
こんばんは。 >ウイング型スナイパー まぁ日本一有名な東郷さんも、腰を落ち着けて放つ長距離スナイプ以外(接近戦になってしまった場合など)だとわりかし『即決即断の機動力重視』なムーブしますからね。速さ…
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