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【2/20第一巻発売】スナイパー・イズ・ボッチ ~一人黙々とプレイヤースナイプを楽しんでいたらレイドボスになっていた件について~  作者: 空松蓮司@3シリーズ書籍化
代理戦争編

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第197話 ラストスパート



――スピカ・セーラス、メインブリッジ。



「アスター1を下げろ! メインシップを盾にしていい! 相手の狙いはサブシップだ! 艦内のスペースガールは整備士共々出ろ! アスター1を守り切れ!!」


 カムイは慣れないながらも指示を出し続けていた。

 指示を出すと宣言していたシキも、実際には目の前の敵の対処に精一杯で指示を出せず。仕方なく、カムイは艦長の役割を1人で実行していた。


 カムイの指揮は及第点レベルだ。決して高い指揮能力は持ち合わせていない。それでも戦線をもたすことができたのは彼女が『必死』だったからだ。彼女の必死さにブリッジメンバーが応え、サポートした。テロリスト紛いのやり方で指揮系統を奪取されたものの、カムイの勝利に向かう心に彼女(クルー)たちは呼応した。


 格ゲーマーとして、プロの世界で戦ってきたカムイは勝利への飢えが強い。しかもここまで本ゲーム内ではシキ、チャチャ、ツバサに惨敗している。チーム戦とはいえ、ここにきてまた敗北するわけにはいかない。彼女の勝利への欲求は不器用ながらもこの部隊を動かしていた。


 カムイは小さく笑う。


「……命令ゆえに仕方なく参加したが、得るものはあったよ六仙」


 モニターの先で、戦艦が湖に着水する。


「アスター1墜落! もう自力で動けません!」

「浮上はできるのか?」

「は、はい! なんとか! でも水面に浮くのがやっとです!」

「……いや、むしろ逆にいくか。――アスター1を沈めろ! 湖に隠せ!!」


 沈めた所で相手は熱源をロックして当ててくる。それでも、外気に晒すよりは狙いを乱せる。


「敵メインシップ来ました!」


 カムイは立ち上がる。


「リーダー役はここまでだ。我の戦場はここではない」


 カムイは艦長席から降りる。


「カムイ! どこに行く!」

「後は副長、あなたに任せる」


 カムイはブリッジの壁をぶち破り、外に出る。

 カムイは雷の翼でアスター1の上空に行き、アスター1の追撃に来たスペースガール達を両手の波動で焼却する。


「カムイだ……!」

「スピカで指揮を執ってたんじゃ……!?」


 アスター1上空にはすでに30機以上のオケアノス兵が飛んでいる。


「聞けい! 皆の衆! 最早あの戦艦の主砲を避けることはできん!! 我らが壁となり、アスター1を守るのだ!!!」


 カムイが声を張り上げる。

 敵メインシップ、稲荷宝船は主砲にエネルギーを充填する。


「壁になれ! シールドピースを展開せよ!! ここを守り切れば、必ずや奴が勝利を掴む!」


 カムイの指示に従い、30数名のスペースガールは敵メインシップに体を向け、無数のシールドピースを展開した。



――試合終了まで、残り10秒。



 稲荷宝船主砲から、強力な粒子収束弾(メガレーザー)が発せられる。同時に、遥か遠方からバリアブルキャノンのレーザーが放たれた。2本の光の線はすれ違い、互いに敵のサブシップを狙う。


 オケアノス兵は粒子収束弾(メガレーザー)に立ち向かう。



「「「「「うわあああああああああああああああああああああっっっ!!!!!」」」」」



 雄たけびと悲鳴が混じり合い、戦場に鳴り響く。

 スペースガール達は壁となり、そしてあっという間にレーザーに吞み込まれ、撃ち払われた。



波動焼却砲(ブラストエンド)!!!」



 最後の関門、カムイが両手の波動を全開にし、エネルギー波を受け止める。


「ぬ、ぐ、ぐっ……!!!!」


 仲間のおかげ威力は減衰したものの、やはり、単騎ではとても支えきれない質量だ。


(防ぐ必要はない! 残りの全ての力を使って、この質量を流す! 直撃さえ(まぬが)れることができれば……!!!)


 カムイは呼吸を整え、ベストなタイミングで力を振り絞る。


「こ……こ……だああああああああああああああああっっっ!!!」


 カムイは最後の力で波動を傘のように広げ、粒子収束弾(メガレーザー)を受け流すことに成功する。同時にカムイは全身を焼かれ、消滅した。

 逸らされた粒子収束弾(メガレーザー)はアスター1に当たるも芯は捉えず、艦の左側面を焼き払われるだけで済んだ。あと1分もすればアスター1は崩壊するが、制限時間まではもつだろう。


 そして――先ほど遠方から放たれたレーザーは見事狐俱里のサブシップ動力部を捉え、その後間もなくサブシップは爆破した。



 残り0秒。試合終了。



 オケアノス――メインシップ1隻 サブシップ2隻

 狐倶里――メインシップ1隻 サブシップ1隻


 勝者、オケアノス。

 

 これにて、第一回戦終幕。

狐倶里の敗因:サブシップの動力部を全部同じ場所にしていたこと。

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― 新着の感想 ―
というかこれ絶対、試合終了後にアスター1と壁の大役を果たしきった方々のテンションがおかしくなるレベルで振り切れるタイプの勝利でしょう(それこそメインシップの乗組員を置いてきぼりにするレベルで(彼らの方…
文字通り捨て身の貢献。これで幸先の良いスタートを決めれたのは大きい。
規格が一緒なのは軍という組織として理解出来るため、そこを狙えるシキという相手が悪かった。 あとは後始末か、今回は3人だったから、シキが言わなくとも軍事裁判できるけど、いなかったらねえ
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