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【書籍化決定】スナイパー・イズ・ボッチ ~一人黙々とプレイヤースナイプを楽しんでいたらレイドボスになっていた件について~  作者: 空松蓮司@3シリーズ書籍化
代理戦争編

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192/202

第191話 ハブられ3人組

「まさかいらっしゃるとは……」

「くくく。まったく、なんと面白い巡り合わせか」

「あ~りゃりゃ。シキっちょはともかく、カムイっちも一緒かぁ」


 なんと、この牢屋に飛ばされたのは僕とカムイさんだけでなく、メカニックのチャチャさんもだった。

 そういえばチャチャさんって正式な軍人ではなく、あくまで技術協力者って立場だったっけ。きっとここへ来た経緯は僕らとそう違いないだろう。一応聞いてみるかな。


「チャチャさんもミフネさんに?」

「そだよ~。『軍属でない者はいらん!』ってね。もう~、今日はスケジュールきつい中わざわざ来たのにさぁ~」


 チャチャさんは肩を竦め、気怠そうに座り込んだ。


「お疲れみたいですね……」

「なにをしていた?」

「午前中にね、U20チームマッチトーナメントの選考会があったのだ。ましゅまろスマイルも参加するからさ、オペレーターと言えども行くしか無かった。怠かったぁ」

「U20!? は、初耳ですね」

「ってことは、シキっちょは出ないんだ」

「は、はい。もう選考会が終わってるなら物理的に出られないですね」


 それにチームメイトもいないし。


「こんなの次からはぜ~ったい参加しないっと。U20もランクマッチも忙しいし」

「あはは……」

「頭下げられたから来たのにこんなのってないよねぇ~。さすがのチャチャさんもプンプン丸だよ!」


 チャチャさんは頬を膨らませ、可愛らしく怒りを主張する。


「それで、どうする? ミフネの言う通り、ここで指を咥えて待機しているか?」

「そうですね……どうしましょう」

「とりま外の様子を見ようよ。待ってて」


 チャチャさんはスペース・ウォッチを起動させ、電磁キーボードを展開する。チャチャさんがキーボードに色々と打ち込むと、電磁スクリーンが7つ程展開した。それぞれに別の場所の映像が映し出される。


「これは……」

「直前まで整備には参加してたからね~。コソッと戦艦とかワイバーンにカメラを仕込んでいたわけよ。これで前線の様子も戦艦周りの様子も見えるよん」

「今は待機……でいいのだな?」


 カムイさんは僕に指示を乞う。

 本当に言う通りに動いてくれるようだ。


「カムイさんはどうしたいのですか?」

「その質問を待っていた。知っているかシキ。この真上5階層上には、ブリッジがある」

「それが……どうしました?」

「我の武装なら10秒もかからず、ブリッジまで突撃できる」


 まさか、この人……。


「我らでこの戦艦をジャックしよう。バトルシップ・ジャックだ。ブリッジさえ押さえれば何とかなる」


 お、恐ろしいことを考える人だ……。


「うっはぁ! おもろいわぁソレ」


 野蛮ではあるけど、選択肢の1つとして悪くないか。


「でも、指揮系統は少なくない時間麻痺するねん」

「そうですね……ひとまずは戦局を見守りましょう。もしも僕ら抜きで勝てるのなら、それでいいです」


 でも、


「もしも、敗色濃厚になったら……」


 手段は選んでられない。


「チャチャさん。この艦に搭載された戦術兵器(TW)のデータはありますか?」

「あるよん。送っとく」

「お願いします」


 さて、戦局はどう動くか。



 --- 



 オケアノスメインシップ・スピカ・セーラス。

 ブリッジにて、ミフネは指示を出す。


「索敵班配置急げ! マップの情報はまだか!? アスター1は東に、アスター2は西に飛べ! スピカの前後はアスター3とアスター4で守らせる!」

「ミフネ隊長! 近くに巨大な水場があります!」

「湖か……!」


 ミフネはモニターに映し出された巨大湖を見て、ニヤリと笑う。


「面積水深十分……よし。この勝負はもらった。――左旋回45度! 湖に艦を沈める! ……さすれば、相手はメインシップに手を出せなくなる。我々はキングを守れるのだ」


 ミフネは手を振り、更に指示を出す。


「スピカに戦闘員は30残せばいい! 残りはアスターに送れ! アスター3とアスター4は潜水時に本艦から離脱し、森の上に陣を作れ!」


 指示を出し終えたミフネは艦長席に座る。


(ククク……最高の出だしだな。この代理戦争で活躍すれば更に六仙の支持を受け、レアアイテムと多額のチップを入手できる。いや……新惑星に同行できれば新アイテムも大量に入手できるぞ。このままトッププレイヤーになって、配信業でも始めれば現実でもゲームでも金儲けができる。称賛も、金も、全部手に入る……!)


 欲しいのはひたすらに実利。

 しかし地位を向上させることが目的ならば、むしろ有力なプレイヤーは囲うべきだ。利益を最優先するならば、シキやカムイはどんな形でも起用するべきである。そうしないのは、彼女の心の内に利益よりも優先する何かがあるからだ。


「そういえば……隊長。六仙様より預けられた特A戦闘員2名はどちらへ?」


 副長が問う。


「奴らは私の管轄下にない。居場所は知らん」


 ミフネは口元を歪ませる。


「……プロゲーマーに凄腕メカニック、それに英雄様か。ああいう奴らを日陰に沈めるのは……堪らないねぇ……!」


 栄光を浴びる者を奈落へ叩き落す。

 それが、ミフネにとって最高で最大の『快感』。

 この世界で栄光を浴びるのは自分だけでいいという、酷く自己中心的な願望が彼女の原動力だ。


「ミフネ様! 着水ポイントです!」

「よし! ――潜水開始!!!」


 スピカ・セーラスは湖へと身を隠す。


「……よし。この水深でストップだ。後は地上が――」

「敵部隊接近!」

「来たか。どうせ索敵目的の小隊だろう? 数は」

「数130! 湖を囲まれています!!」

「なに!?」


 ミフネは立ち上がる。


「130だと!? ……メインシップとサブシップを動かすのに80人は必要だ。残りの220分の130をここで投入だと!? 早すぎる!!! しかも奴らは――」


 モニターに大量のワイバーン乗りスペースガールが映る。

 スペースガールは全員獣耳&巫女服。あの恰好こそ、狐倶里軍の証。さらに彼女達は火花のような赤いエネルギーを纏っていた。


「敵部隊、火花を……狐火(きつねび)を纏っております!!!」

「ステータスバフを掛ける狐倶里のΩアーツか……!」


 火花を纏ったスペースガールはワイバーンを操り、同じくワイバーンを操るオケアノス兵を倒していく。

 兵士の技量は互角。装備も互角。ならば勝負を分けるのはステータスと陣形だ。そのステータスと陣形で負けているオケアノス兵は当然の如く押されていく。


「ダメです! 地上部隊、手も足も出ません!」

「隊長! 本艦を浮上させましょう! 本艦の援護無しでは戦線がもちません!」

「馬鹿を言うな! それでは私のやったことが失策みたいではないか!」


 ミフネは唇を噛む。


「相手のサブシップは出てきてないんだ! アスター3とアスター4を軸に陣形を立て直せ! 東西に散らしたアスター1と2も呼び戻せ! 包囲網を外から叩かせろ!!!」


 オケアノスのやっていることは言ってしまえば籠城戦だ。

 時間は稼げるかもしれない。だが攻勢には出られず、ジワジワと削られていくのみ。


「なにをしている!? 迅速に動け!! 手遅れになったらお前らのせいだぞ!!!」


 相手の手のひらの上で、ただ丸まることしかできない。

【読者の皆様へ】

この小説を読んで、わずかでも

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― 新着の感想 ―
無能指揮官のRPだと思ったらガチだったでござる
更新お疲れ様です。 うわぁ…こいつぁ比較対象のフォー○准将が優秀な指揮官に見えてしまうレベルの無能ですぜ旦那!(嘲笑) いやマジでなんでこんなアンポンタンを今まで採用してたんですかねぇ?こっちの陣営…
清々しい欲求と裏目で失笑を禁じ得ないw とりあえず見物を満喫は早々に切り替えないと直ぐに決しそう
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