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【書籍化決定】スナイパー・イズ・ボッチ ~一人黙々とプレイヤースナイプを楽しんでいたらレイドボスになっていた件について~  作者: 空松蓮司@3シリーズ書籍化
代理戦争編

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189/202

第188話 …………………………………ぇえ?

 僕は全力でカムイさんを止める。


「ダメです! 戻りましょ! ね! 下手に他チームからマークされること無いですって!」


 勝率が下がるようなことはしたくない!


「少しでも強い奴と戦いたい。貴様も同じクチだろう!」

「で、でも、カムイさんのやり方は間違ってます! これじゃヒールになりますよ! ヒール! あ・く・や・く!!」

「悪役上等! 雲外蒼天(うんがいそうてん)!! むしろ燃えるなぁ!!!」

「うううううぅぅぅ……! なんでこんな人入れたの六仙さぁん!!!」

「いい加減……しつこいぞ!!!」


 体が、宙に浮いた。

 反応できない程の早業で、僕は背負い投げを喰らった。


(さすがは格ゲーマー……)


 なんて感想してる場合じゃなかった。

 壁に空いた穴に、僕はホールインワン……見事に入ってしまう。


「あ、すまん」

「え」


 僕は……戦艦の外に、投げ出された。


「いやああああああああああああっっっ!!!!!????」


 まだだ!

 僕は戦艦から離れてすぐライトウィングを展開。スラスターを全開にし、戦艦に向かって飛ぶ。


 戦艦はゆったり飛行している。全然、追いつける!


『シュウリ、シュウリ、シュウリ』

『ナオス、ナオス、ナオス』


「んなぁ!?」


 空いた穴の付近に、大量の球形小型機が現れる。

 恐らく自動的に戦艦を修理する小型機だ。小型機は大量のアームを出し、アームに装備された銃からピンク色のガムのようなものを噴射。穴はあっという間にピンクのガムに塞がれた。


「うそ!? うそぉ!!?」


 僕はガムの壁を掴もうとするが、壁はツルッツルで掴めない。


「ジャマスンナ、ジャマスンナ」

「スンナ、スンナ」

「ハイジョ、ハイジョ」


 と、小型機が僕に銃を向けてきた。

 避けようにも、体勢が悪いし小型機の数が多すぎて……!?


「ちょっとぉ……勘弁してくださぁい!!!」


 小型機はピンク色のガムを噴射。僕は両手にガムを喰らい、両手をガムで固められる。接着剤で満ちたバケツに、両手を浸したような感じだ。両手がくっついているし、ガッチガチで、表面はツルツルで何も持てない・掴めない手になってしまった。


「まずい……まぁずいぃ!!! ――うわぁ!?」


 逃げようとスラスターを吹かしたら小型機と衝突し、バランスを崩した。そしてそのまま――落下する。


「にゃああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああっっっっっ!!!!!!??????」


 落ちる――落下ダメージ――死!?

 戦艦の中でセーブしたっけ? してない! 死んだらどこに戻る!? コロニー!? ステーション!? どっちみち、第一回戦に間に合わなくなる!


(スラスターを調節して使って、なんとか落下の勢いを殺す!)


 くうぅ……高過ぎる! 落下速度が一定ラインを超えたら終わりだ!!

 早い段階から少しずつ噴射して、勢いを殺し、体の向きを直す!! 背中を地面側に向ける!!!


(さっきスラスターを使い過ぎた! 落下地点までズラすことはできない!! 手が使えないからアイテムポーチを開けないっ! スラスターを回復できないっ!!!)


 今はとにかく生存を考えよう。

 ちょっとずつ……ちょっとずつスラスターを使って体勢を直す。勢いを殺す!


「わわわわわわ!!?」


 無我夢中。落下ダメージを殺す事のみに集中。

 地面まであと50m、30――20――10!!!


(ここ!!)


 全力でスラスターを稼働させる。落下の勢いが死に、一瞬だけ空中で静止する。


(スラスター使い尽くした。けど、この高さなら死ぬことはない! 後は華麗に着――)


 落下地点を見て、僕は目を剥いた。


「人がいる!?」

「え? ――うわぁ!? なんだぁ!!?」


 僕はなんとか空中で体を捻る。体勢は崩れるが、落下地点をずらすことに成功。激突は避けられる。

 でも体勢は滅茶苦茶なので、もちろん華麗な着地なんてできず。


「むぎゃあ!?」


 顔面から落ちた。


「……あいたたたた」


 僕はうつ伏せの状態から体を起こし、座り姿勢になる。


「って、仮想空間だから痛みは無いんだけ――ど」


 一瞬、天国に居るのかと錯覚した。

 数えきれない量の照明が、僕の視界を支配する。目が眩むが、すぐに光に慣れる。そして僕は見る……無限にも思える人を。人の目を。僕は見る。
















「………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………ぇえ?」
















 天国なんかじゃない。ここは地獄だ。


「ぱぱぱぱぱぱぱぱぱぱぱぱぱぱぱぱぱぱぱぱぱぱぱぱぱっ…………!?」


 もしも、これが現実だったなら、僕は100%漏らしていただろう。


「えーっと、飛び入り参加? パフォーマンスってやつ? 大歓迎大歓迎!!」


 司会者の――えっと、そうだ。いるかさんだ。いるかさんが、僕にマイクを向ける。


「どうぞ! 意気込みを!」

「え? ええ???」

「ん? どっかで見たことあるなぁ~……あ! そうじゃん、グリーンアイスを倒した子じゃん!! ってことは所属はオケアノスかぁ! いいねいいね!」


 いるかさんが僕の背中を何度も叩く。おかげで、少しだけ意識に神経が通った。


「は、はの、これは間違いで……!」

「ほら! いいよ言っちゃって! 言いたいことあるんでしょ! ……ここだけの話、あのバトルを見てからちょっぴりファンなんだよねぇ。盛り上げるからさ、かましちゃってよ♪」

「か、かますって、なにを……?」

「なにって、この大会で何をするつもりなのか、それをガツーン! ってね!」


 何をするつもり……?


――『私も流したい』

――『やるからには全部勝ちます』

――『迷いは消えた?』

――『あの人を倒してでも、我を通す覚悟はできた』

――『あそこに飛び降り、完勝宣言をかます』


 頭の中を、色んな人の言葉が巡る。ぐっちゃぐちゃに混ざり合う。

 感覚的に、なにか言わないとこの場が収まらないと感じた僕は、頭に浮かんだ言葉を何も思索せず口にした。





「ぜ……ぜんいん、撃ち抜き、ます…………」





 自分の言葉を、自分の耳で聞いて、しでかしたことを理解する。

 けど、時すでに遅し。

 数秒の静寂の後、観客は大いに盛り上がった。盛り上がってしまった。


「うおおおおおおおおおっ!!! 言ったなお前!!!」

「オケアノス最高! 期待してるよ!!!」

「火緋色金舐めてっとぶっ飛ばすぞぉ!!!!!」

「目立ちたがり屋がよぉ!!!」

「よく言ったね! アンタみたいなの好きだよーっ!!」

「もっと言えぇ!!!」


「あはははははっ! さいっこうのパフォーマンスありがとーっ!」


 あばばばばば……! た、大変なことにぃ!!?


「やれやれ」


 ワイバーンが僕の傍に降りてくる。乗っているのは六仙さんだ。


「何をやってるんだい君は……」

「り、六仙さぁん……!」

「ほら帰るよ」

「た、たてましぇん……!」

「えぇ~……」


 六仙さんにお姫様抱っこされ、ワイバーンで戦艦まで帰った僕であった。

【読者の皆様へ】

この小説を読んで、わずかでも

「面白い!」

「続きが気になる!」

「もっと頑張ってほしい!」

と思われましたらブックマークとページ下部の【★★★★★】を押して応援してくださるとうれしいです! ポイント一つ一つが執筆モチベーションに繋がります! 

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― 新着の感想 ―
やったね!スナイパーなのに抜群に目立っちゃってるよ(笑)
うーん、ピタゴ○ススイッチ…エンタメの星に好かれてますよ
酷い貰い事故を見た() カムイさんがマイクアピールをするのは戦略的だけど、スナイパーが目立ってどうするねんというね() 顔面落下だから周囲も『飛び入り』と言うより『テンション上がった結果うっかり落下…
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