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【書籍化決定】スナイパー・イズ・ボッチ ~一人黙々とプレイヤースナイプを楽しんでいたらレイドボスになっていた件について~  作者: 空松蓮司@3シリーズ書籍化
スナイパーズレスト編

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第175話 代理戦争

「行ったかな……」


 ピーさんが飛び去って行くのを見て、僕は遺跡の中から出る。


「まだまだ底を見せていない感じだった。対抗できる武装さえあればなぁ……!」


 あれだけ強い人と戦える機会はそう無いからね。凄く残念で、申し訳ない気持ちだ。あの人はきっと、今の戦いで満足はできなかっただろう。


「ん?」


 時計型端末(スペースウォッチ)が鳴り出した。電話だ。時計の側面のボタンを押し、電話に出る。端末からウィンドウが浮かび上がり、ウィンドウに人の顔が映し出される。


『やぁシキ君』


 青髪の麗人、六仙さんだ。


「六仙さん? どうしました?」

『君に話したいことがあってね。マザーベースの総統室に来てくれないかな?』


 ちょうどいい。

 ピーさんはコロニーの王だと言っていた。六仙さんならあの人のこと、何か知ってるかもしれない。


「わかりました。今から向かいます」

『待ってるよ』


 通信が切れる。

 僕は宇宙船を実体化させ、永華の惑星から出た。


 --- 



「来たか」


 軍警本部マザーベース・総統室。

 六仙さんとネスさん、あとチャチャさんが僕を迎える。


「……な、なにか、真面目な話みたいですね……」


 どことなく場の空気が重い。


「別に重い話じゃないっけどねぇ~」

「そうですね。むしろ朗報の類です」

「朗報かどうかはまだ微妙かな。全て無に帰す可能性もある」


「???」


 い、一体どんな話をされるんだ……?


「実はねシキ君。我々オケアノス軍はコロニー崩しより前、そうだな……時期としては君がC級ランクマッチに参加していた頃から、あるプロジェクトを動かしていたんだ」

「プロジェクト……?」

「――プロジェクト名『インフェニティ・トラベル』。大量の宇宙戦艦を投入し、ひたすらに無限の宇宙を旅した。目的は……新惑星の発見」


 そういえば以前、ロゼッタさんの宣戦布告の前にネスさんがこんなことを言っていた。


――『いえ。少し別の件で出払っていまして、戦艦と呼べるレベルの宇宙船は無いんです』


 このプロジェクトのために宇宙戦艦を使っていたのかな。


「長旅の結果……当たりを引いた。新たな惑星、未踏の宙域を見つけたんだ」


 ゾク、と好奇心が湧く。


 新しい惑星……つまり、まだ誰も、知らない惑星……! 


 RPGを楽しめる者なら誰だって、未開の地に憧れるはず。僕もそのクチだ。これだけの人口がいるゲームで、誰も知らない惑星……一体そこになにがあるのか、気になってしょうがない。


「ひとまず『アンノウン・プラネット』と呼ぼうか。大きさはオケアノスの倍はあり、かなりの量の知的生命体……NPCを発見できた。これは凄いことでね。小規模・中規模の未知の惑星が見つかることは多々あるが、ここまで大規模の惑星が見つかることはほとんどない。間違いなく、『特異点』と呼ばれる部類だ」

「特異点?」


 首を傾げる僕に、チャチャさんが説明してくれる。


「既存の惑星に無い武装や素材が大量にある惑星のことだよん。もしかしたら、まったく新しいゲーム要素もあるかもしれない。そうだねぇ、DLC (ダウンロードコンテンツ)的な? いや、どちらかと言うと裏ステージ……? 別に追加されたわけじゃないからね。あったけど、プレイヤー側が見つけられなかっただけだし……」

「未知のアイテムが大量にある惑星、と認識して頂ければ十分です」


 とにかく、ゲーム全体に大きく影響を与える惑星ってわけだ。


「この惑星を支配した際の利益は半端じゃない。チャチャ君が言った通り、まだ誰も知らない武装・アイテムが大量にあるだろうからさ。独占できればウッハウハだよ」

「す、すごくいい話じゃないですか。朗報でしかないと思いますけど……」

「いや、ただね。難しいことが幾つかあるんだ。これまでも当然、どこかの組織が宇宙を開拓し、新しい惑星を見つけ、どこかの組織が惑星を占領してきたわけだが……発見した組織と占領した組織が別、なんてことは珍しくない」

「あぁ……」


 なんとなく察した。


「取り合いになるんですね」

「そうなんだよ。莫大な資源だからね。なりふり構わずコロニー間で取り合いさ。見つけた人間が誰かなんて関係ない。現実世界でも、もし新しい大陸がポンと現れたら戦争で取り合うだろう? 同じことさ」


 六仙さんは「やれやれ」と呆れる。


「新しい惑星を支配するってのは簡単じゃない。機世獣のレベルはかなり高いし、特殊なストーリーが用意されてるし、セーブは禁止されてるし、遠いしですんごく戦力が必要なんだよ。それこそコロニーの精鋭全投入しないといけないぐらいにね。でも、ここで戦力を投入してしまうと当然」

「ガラ空きになったコロニーを他のコロニーに奪取されます」


 ネスさんが淡々と言い切る。


「そういうこと。だから新しい惑星の攻略にかかる際には必ず他コロニーとの不可侵条約を締結しないとならない。一時的にね」

「なるほど……」

「だけどさぁ、『新しい惑星を攻略するのでウチに攻めないでください』と言った所で頷くコロニーは無いわけだ。コソコソと攻略するのも無理だし、どうしようかなぁって考えてる内に他のコロニーに新惑星のことがバレて、王様同士の緊急会議が開かれた。会議で話し合った結果、結局『取り合いしようぜ』ってことになっちゃった」

「せ、戦争ですか。コロニー同士で」


 コロニー間の戦争だ。オケアノス大戦を遥かに超える規模なんだろうなぁ。


「ああ、戦争だ。しかし方法は僕が決めた。全兵力を使って、ルール無用のぶつかり合いをするのは不毛だ。誰も望まない。だから僕は、ゲーム形式での決着を求めた」

「ゲーム……?」

「新しい惑星の攻略権を賭けたゲームだよ。お互いに300の駒を出し合い、競わせる。その名も――『コロニー代理戦争』」


 その時、空気が変わったのを感じた。

 新しい物語の扉が開く音が、耳に響いた。


「それぞれのコロニーがコロニーの居住者から300人を選抜し、競わせる。集団戦というやつだ。精鋭軍vs精鋭軍だね。コロニーの猛者たちが集うよ。ランクマッチに顔を出さない猛者も出てくる」


 六仙さんは頬を緩ませる。


「もちろん、参加するだろう。シキ君」


 僕はフッと笑い、


「お断りします!」

スナイパーズレスト編 完


今回は短編の連打でした。次回からまた長編『コロニー代理戦争編』に入ります。

そしてストック切れ&リアル多忙のため、1か月程休載します。再開日は活動報告にて伝えるので、気になる方はユーザー登録してください。


もう1つ告知として、10月25日13時よりファンタジア文庫放送局が放送されます! 第2部のgirlsline1周年大特集にて、1%ぐらいの確率で本作が触れられるかもしれません(多分ないと思うけど。触れられたとしても数秒かな?)。気になる方はぜひチェック! もし触れられたら拍手してください笑


次章もぜひお楽しみにっ!

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― 新着の感想 ―
きっと副賞とかで求められそう(何処ぞからとは言わずもながら)
コロニー代理戦争…… 「みぃなさんお待ちかねぇ~! コロニーファイト、レディ~~~ゴォッ!!」(笑)
今は強化中でそれどころじゃない上に、シキは支配云々にはまったく興味が無さそうですしね。 ただ、今は自己強化には余念がないから、「ちょっとラビちゃん釈放してくれませんか。ちょっくら個人単位で宇宙船で当…
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