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第17話 バトルロイヤル

 梓羽ちゃんの作ってくれたカレーライスを食べる。

 美味い……疲れた心をすっと癒してくれる。


「梓羽ちゃんは良いお嫁さんになるねっ!」

「お姉ちゃんはダメダメなお嫁さんになるだろうね」


 この妹、お年頃なのか最近棘があるぜ。そういうところも可愛いけど。


「そういえば私があげたゲームはどう? 楽しい?」

「うん! すっごく楽しい! もうずっとやっていたいぐらいだよ~」

「ふーん。友達はできた?」

「あ、えーっと、友達というか、フレンドは一応、1人……だけ」


 僕は手に持ったスプーンをテーブルに落とす。


「どうしたの?」

「あ、あわわ……!」


 わ、忘れていた。

 現実時間で10時に、シーナさんと待ち合わせしていたことを!! 現在時刻、12時50分!!


「ごめん! カレー、ラップしといて!」

「あ、うん。わかった」


 急いでトイレを済ませ、再びログインする。


「やっばい! 場所、どこだっけ!」


 新着メッセージが3件来ている。どれもシーナさんからだ。


『ログインしてますよね? 時間になってもお姿が見えませんが、どうかしましたか?』

『どこにいますか? 至急、返信お願いします』

『仕方ありません。39時に『スペース・ステーション ch.ex1』に来てください』


 39時にはまだ間に合う!


「えっと、えっと……!」


 スペース・ステーションのchの切り替えは簡単だ。スペース・ステーション内でシステム画面からch切り替えをするだけ。chを切り替えると景色が変わり、『スペース・ステーション ch.ex1』のロビーに転移できた。


 現在38時55分、ギリギリだ。


「ここは……」


 通常のスペース・ステーションと違う。東京ドームみたいにだだっ広い空間の酒場。そこに大量の人がいる。そこら中に電磁スクリーンがあり、スクリーンには銃撃戦をするスペースガールや何やらスポーツをするスペースガールが映っている。観戦酒場、とでも呼ぼうか。


「シキさん!」


 スペースガールが走り寄ってくる。

 水色のセミロングヘアー、僕より頭1つ分小さい背丈、この子は……、


「ごはっ!? ししし、シーナさん……!」


 シーナさん、それに前一緒にいたニコさんとガイド・ガールもいる。


(うわぁ……すでにグループが出来ている人たちと話すシチュエーション、1番苦手なやつ……!)

「すみません。説明している時間が無いのでメッセージボックスに詳細を送ります」

「しょうさい?」


 新着メッセージが届く。


『2047年 7月 第4期 C級ランクマッチ


~ルール~

・チームメンバー:バトルメンバー3人+オペレーター1人(上限)

・参加チーム数:33チーム

・参加資格:チームランクC以上

・レベル上限:30(レベル31以上は一時的にレベルダウン措置を行う)

・レアリティ制限:レアリティ7(レアリティ8以上の武装は自動的に性能ダウン)

・フィールド面積:半径28.5km

・フィールド:ランダム

・転送位置:ランダム

・武装8 拡張パーツ有り 他アイテム使用不可

・15分毎にフィールド縮小』


 これは……。


「バトルロイヤル……ですね」


 100人ぐらいで1つの島で撃ち合うゲームは良くある。きっと、これも同じような感じだと思う。


「はい。それに私とここに居るニコ、そしてシキさんで参加します」

「そうですか……はいぃ!? ななな、なんですかソレ!」


 チーム戦とか、絶対に無理!


「なんでも言うことを聞くって言いましたよね? この試合に参加することが私からあなたへの『要望』です」

「はわわわわわわ……!」

「後5分で試合が始まります。これを」


 シーナさんは無理やり僕の右手首にリストバンドを付ける。リストバンドには『エントリー№20ましゅまろスマイル』と書いてある。


「これがチームの証です」

「……そ、そのぉ……どうしてもこれに出ないとダメですか……?」

「ダメです」


 こ、この子、口調こそ丁寧だけど圧が凄い……。


「はぁ、こんなの連れて行くぐらいなら2人の方がいいでしょ」


 ニコさんはピンクカラーの前髪をいじりながら、


「レベル11よコイツ。19レベル分のディスアドバンテージとかシャレになんないわよ」


 ニコさん! そう、その調子で説得してください!


「いえ、少なくとも盾や囮にはなります」

「それもそうね」


 ニコさぁん!?


『ねぇねぇ、とりあえず武装を確認したらどうかな?』


 ガイド・ガールが喋る。


「えっと、この子は……?」

「ウチらのメカニック兼オペレーターのチャチャよ。これは遠隔で動かしているだけで本体は別の場所で待機している」

『試合が始まったら通信でサポートするから、よろしくねシキっちょ』

「は、はい……」


 シキっちょ……?


「ニコさんとチャチャさんのフレンドコードも送ったので登録してください。フレンドにならないと通信はできませんからね」


 通信……じゃあ、試合が始まったら終わるまでこの3人と会話ラインができるってことか。きっちぃ……。


「あっと、そうだ武装! 見せて」

「うぅ……はぁい」


 僕は武装の一覧を3人に見せる。


「げっ! ……超絶初心者」

「シールドピースを2セットお渡しします。それとスナイパーライフルを」

「あああ、ありがとうございます……」


 シーナさんから武装が譲渡される。僕は譲渡された武装を装備する。


 武装

 スロット1:アーミーナイフ(ナイフ)

 スロット2:M1911 G-AGE (ハンドガン)

 スロット3:ダストミラージュ(特殊外套)

 スロット4:SCH-100+(サーベル)

 スロット5:PT-8(シールドピース)

 スロット6:PT-8(シールドピース)

 スロット7:RS-11+FullCustom (スナイパーライフル)

 スロット8:RS-11+FullCustom (スナイパーライフル)


 

(スナイパーライフルとシールドピース……久しぶりの邂逅だ……!)

「しかし、おかしいですね……初期武装にアーミーナイフもM1911もない。これ以外の武装はお持ちでないのですか?」

「は、はい。すみません」

「謝る必要はありません。でもそうなると、アーミーナイフとM1911だけでセンティピードを? まさか……」

「そんなことどうでもいいわよ! M1911とナイフは外しなさい。実銃・実剣なんて通用しないからっ!」

「え!? で、でもぉ……」


 じ、G-AGEはきっと役に立つはず……。


「何よ?」


 首を傾げるピンク髪ガール。

 この子、威圧感すごい……正直、に、苦手なタイプかもぉ……!


「は、外します!」


 M1911とアーミーナイフを武装から解除する。


「代わりにこれ入れときなさい」

「これ……なんですか?」

「ダガー付きハンドガン」


・GW-7×2


(ゴールデンウィーク……?)


 ビリ。と体に痺れが走る。


「え」


 同時に、足下から脳天まで青い雷が走った。  

 痛くはない。だけど体の感覚が無くなっていく。


「転送が始まった! ちょっとシーナ、呆けている場合じゃないわよ!」

「そうですね。シキさん、転送したらまずは近くの建物に入ってください。いいですね?」

「りょ、了解であります」


 まぁたった1回ぐらいなら、何とかなるか。

 どうやら転送はチーム単位じゃ無さそうだし、適当に落ちるのもありかな。


『転送完了しました』


 システム音声が聞こえる。

 景色が一変し、僕は酒場から廃ビルの屋上に転移していた。

 廃れた近未来的な街並みが眼前に映る。


『ステージ名・廃都市12。戦闘開始します』

fullCustomはその名の通りカスタム容量を使い切った武器に付きます。

ニコはシキにG-AGEを外させましたが、G-AGEを知らない人間からしたら当然の対応です(擁護)。

『スペース・ステーション ch.ex』はでっかいドームで、そのドームでは色々な競技の観戦ができます。他にも選手の控室などもドームにあります。

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― 新着の感想 ―
このシーナとか言うやつに好印象を抱ける日は来なさそうですね…(諦め)
ようやくのスナイパースタイルですね Lv19分のディスアドバンテージがどう影響するか、Lv.11のステータスから単純に考えてスラスター容量と精密性が4割減って感じかな? このゲームはステータスよりもプ…
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