表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
【書籍化決定】スナイパー・イズ・ボッチ ~一人黙々とプレイヤースナイプを楽しんでいたらレイドボスになっていた件について~  作者: 空松蓮司@3シリーズ書籍化
スナイパーズレスト編

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

161/202

第160話 紅蓮の翼・新人面接ナウ その3

 クレナイは実翼のウィングを、カムイは雷翼のウィングを起動させて衝突する。

 クレナイの大剣(インフェルノ)とカムイの右手の波動がぶつかり合う。


「オラァ!!!」

「ぬおおおおおっっ!!!」


 互いに1歩も後退せず、己の武器を押し付け続ける。

 大剣の纏う赤いエネルギーとカムイの黒い波動が混じり、弾け、赤黒い余波をフィールドに飛び散らせる。フィールドに次々と荒い破壊の跡が刻まれていく。


「インフェルノの1撃を受け止めるとはな!!」


 クレナイが1歩前に出る。カムイが1歩後退する。

 僅か、ほんの僅かだがインフェルノの破壊力が上回っている。


「ロゼッタから譲り受けたこの『征拳(せいけん)』が、真っ向から押されるのは初めてだ……!」


 両者の武器の間で爆発が起き、2人は爆風に飛ばされて距離ができる。


「いいねぇ! 神堂カムイ!!」

「やはり、闘争はこうでなくてはな……!」


 クレナイの主武装は大剣『インフェルノ』と両足に装備した『フットサーベル』。

 カムイの主武装は波動を出す両手『ウェイブアーム』と鎖付きの刃を出す『ブレードチェーン』。


 クレナイは射程のある武器を持たないが、カムイは射程6mのブレードチェーンがある。間合いで言えばカムイの方が有利。

 しかし、カムイはブレードチェーンを使わなかった。なぜならブレードチェーンは『捕まえる』ための武装。カムイの得意な近距離戦から逃げる相手に使うモノだ。


 クレナイはそんなものを使わずとも自ら突っ込んでくる。この相手に対し、6mの距離を保ってジリジリとチェーンで削る戦法を取るなどカムイのプライドが許さない。


 両者共に、近接戦以外興味なし。


「クレナイよ。貴様は強い。だが我との相性は最悪だったな!!」


 クレナイはまっすぐと突撃する。


「最高の間違いだろ!!!」


 クレナイの突撃はカムイの残像を穿った。


「なに!?」

「真・明鏡脚……」


 モーション無しで高速移動するカムイの移動技。

 人は無意識に相手の予備動作から相手の次の動きを読む。だがカムイの真・明鏡脚はその動作が無い(厳密にいえば限りなく少ない)ため、相手の読みを空振りさせて反応を遅らせる。今のクレナイにはカムイが数m間隔で瞬間移動しているように見えている。プロアスリート以上の常人離れした動体視力でも無ければまず初見で反応はできない。


 カムイはこの技でクレナイの背後を取る。


「ちっ!」


 クレナイは背後の気配を拾い、すぐさま振り返る。


「近距離しかできない貴様に負ける気はしない。この距離で最強は我だ!!」


 左手を出すカムイ。大剣を振りかぶるクレナイ。先に対象に触れるのは間違いなくカムイの左手だ。

 カムイとクレナイ……2人は同時に笑った。


(あめ)ぇ」


 クレナイは振り返り様に足を振り上げ、足裏から出したサーベルでカムイの左肩を斬り裂いた。

 カムイの左腕が、落ちる。


「足の、剣……!」


 フットサーベル。カムイは知らない、クレナイのもう1つの武器だ。


「とった……!!!」


 クレナイは追撃の大剣を振るう。


「高出力モード!!」


 クレナイの大剣が赤く迸る。斬撃の威力が大きく上昇した。ウェイブアームで防ぐことは不可能。

 カムイは動きを止め、残った右手で手刀を作り、ゆっくり息を吐いた。


無心(むしん)流々(りゅうりゅう)


 クレナイが大剣を振り下ろすと、カムイはそれを波動を纏った右手で受けた。


「馬鹿が! それじゃ受け止められ……」

「受け止めるのではない。受け流すのだ」


 カムイは蝶を迎え入れるような柔らかい手つき大剣を受け、そのまま外側に流した。

 クレナイは剣と手が触れた瞬間に自身の握力が消えたような錯覚に陥った。己の力を、完全にカムイに掌握された。


 これがカムイの強み。格ゲーの世界から持ち込んだ異種武装で相手の常識の裏を衝く。


「我が愛用するキャラ、『無心堂(むしんどう)数臣(かずおみ)』のカウンター技だ。相手の技を受け流し、顎を蹴り上げる」


 カムイは足を真上に上げ、クレナイの顎を蹴り上げた。


「効く……なぁ! オイ!!」


 クレナイは受けた攻撃の勢いを活かし、体を縦回転(サマーソルト)させる。


「ほう……!」


 クレナイは足裏の剣でカムイの左眼を縦に斬った。


「やるな!」

「やっべ!」


 クレナイは無理な体勢からのサマーソルトのせいで着地に失敗する。その隙を逃すカムイではない。カムイは全力で加速し、波動を纏った貫手にて、クレナイの胸を貫いた。


「……さすがだぜ」

「惜しかったな。スラスターの勢いをあと少し抑えていれば、我の追撃を喰らうことは無かっただろう」


 クレナイはデリートされ、すぐその場に復活する。


「かーっ! 負けた負けた!」


 クレナイはさっさと観客席に帰り、ツバサの前の椅子に座る。


「ツバサ。ありゃ文句なしだ。逃す手はないぞ」

「ワシも同意見じゃ」

「ウチに入る条件は3人抜き。それを変える気はないよ」


 ツバサはフィールドに降り、大盾――アイギスを6枚展開する。


「ようやくだな」


 カムイは体を修復させる。


「さぁってカムイちゃん。1つ聞くけどさぁ」

「なんだ?」


 ツバサは見下した笑みを浮かべる。


「手加減は要るかな?」

「――笑止!!!」

【読者の皆様へ】

この小説を読んで、わずかでも

「面白い!」

「続きが気になる!」

「もっと頑張ってほしい!」

と思われましたらブックマークとページ下部の【★★★★★】を押して応援してくださるとうれしいです! ポイント一つ一つが執筆モチベーションに繋がります! 

よろしくお願いしますっ!!

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
ツギクルバナー スピンオフ『シスター・イズ・バーサーカー』もよろしくお願いします。
― 新着の感想 ―
二人とも心底楽しそうにバトってそうですなあ。 >プロアスリート以上の常人離れした動体視力でも無ければまず初見で反応はできない。 しれっとかつ上限なく上がり続けるシキの株であった……
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ