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【書籍化決定】スナイパー・イズ・ボッチ ~一人黙々とプレイヤースナイプを楽しんでいたらレイドボスになっていた件について~  作者: 空松蓮司@3シリーズ書籍化
コロニー崩し編

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第130話 オールザウェイ防衛戦

 シキがシラホシ・コピーと格闘している頃、チャチャとイヴは戦艦の修理にあたっていた。


「おーい、チャチャ。資材が足んねぇぞ。どうする?」

「そこらからかっぱらおうよ。この基地、全部の素材が一級品だ。装甲には壁の素材をそのまま使っていいと思う」

「了解」


 ヒューマノイド(シキ・コピー)とソルニャーも2人を手伝う。敵襲も無く、順調に修理は進んでいた。

 だが当然、敵基地の中で平穏は長くは続かない。

 シキ・コピー10機の内1機が、あるスペースガールの手で焼却された。


「……これは外れを引いたかな」


 そう呟き現れたのは、学ランを羽織った黒髪ロングヘアーの少女……格闘ゲームの覇者、カムイだ。


「うげっ。マジかよ……例の格ゲー世界チャンプ」

「ありゃま。こりゃお手上げだ」


 チャチャは修理の手を止め、両手を上げる。


「カムイさーん。私達は非戦闘員で、あなたの相手はできません。どうかここは見逃していただけないでしょーか」


 チャチャが頼んでみるが、


「ならん。弱者はここで果てろ」


 バチィ! とカムイは右手に黒い稲妻を走らせ拒絶の意を示す。

 カムイの両腕はウェイブアームという武装であり、その手の平からは黒い波動を放つことができる。波動の威力は高く、触れれば破壊されてしまう。


「うっひゃ~。まぁそうなるよねぇ」

「まずは貴様から……消えろ」


 カムイはチャチャに飛び掛かろうとするが、


「うにゃあ!」

「!?」


 ソルニャーが爪を光らせカムイの背中に襲い掛かる。カムイは横に飛び、攻撃を避ける。


「主達には手出しさせぬにゃ!」


 さらにシキ・コピーの狙撃がカムイの頭部を狙う。カムイは頭を振って狙撃を躱す。


「面白い。それなりに骨がありそうだ」


 ソルニャー+シキ・コピー9機。

 合計10機の猛攻。カムイはウィングを起動させ全力で回避する。


「明鏡脚」


 ノーモーションの走法で陣形から浮いたシキ・コピーとの距離を詰める。カムイはシキ・コピーの腕を掴んで背負う。


「嵐・風・投・擲!!」


 カムイは体を回転させ、勢いをつけてシキ・コピーを投げる。シキ・コピーは剛速球の如く飛び、飛行していた別のシキ・コピーに衝突し絡みついて落ちる。カムイは落下した2機のシキ・コピーに近づき、右手のひらから黒い波動を広範囲に射出。その全身を爆ぜ飛ばす。


 再びソルニャーがカムイの背中に飛び掛かるも、


飛燕(ひえん)三連脚(さんれんきゃく)


 カムイは飛びあがり、ソルニャーの攻撃を回避。

 そのまま空中で回し蹴りを3度放ち、ソルニャーを蹴り飛ばす。


 格ゲーマーの異常な動きを、チャチャとイヴは冷静に分析する。


「ありゃま、凄いね~。あれだけの数を相手に遊んでる」

「くそぉ……ソルニャーがやられたらあたしらの負けだ。応援は呼べないのか?」

「なーんか誰とも連絡がつかないんだよねぇ。シキっちょはともかく、後2人はなにをしてるやら。シーナっちはもしかしたら通信遮断エリアの付近に居るせいで通信阻害されてるかも」


 イヴは苦い顔をし、口笛を吹く。ソルニャーは口笛に反応し、1度カムイから距離を取った。


「仕方ない。――ソルニャー! 秘密兵器使ってよし!」

「秘密兵器!? なになに、なにそれ!」


 ソルニャーは不安そうにイヴの方を見る。


「し、しかし主殿……アレを使えば、ソルニャーは……マスコット担当からお色気担当になってしまうにゃ!!」

「構わない! 許可する!!」

「うにゃ~……やるしかないかにゃ」


 ソルニャーは四つん這いになり、毛を逆立てる。


「うにゃにゃにゃにゃ……!!!」


 ソルニャーの全身から稲妻が発せられる。


「ほう。面白い。何か奥の手か?」 


 カムイはソルニャーの邪魔をせず、その顛末を見届ける。


「にゃにゃにゃにゃにゃにゃ~~~!!!」


 ソルニャーがフェニックスの炎を纏い、変貌する。


「おおおっ!? アレは……!」


 火炎を散らし、現れたのは――人間。

 身長はソルニャーと変わらない(130cm)ものの、その(かたち)は人。しっかりと胸のある女性だ。


 迷彩柄のビキニ水着を着ており、頭には迷彩柄の帽子。猫耳は健在で、帽子を突き破っている。手も猫の手のままだ。背中にはバズーカ砲とアサルトライフルをクロスさせて背負っている。


 のほほんとした表情だった猫型とは一転、ツンとした顔をしている。


「ふん。人の姿になってなにが――」


 ソルニャーは一息でカムイとの距離を詰める。


「ぬ!?」

「ふにゃあ!!」


 ソルニャーはレーザーの爪を出し、カムイに斬りかかる。カムイは飛んで避けるも、その右腕に爪の痕を付ける。ソルニャーは背中のバズーカを抜き、エネルギーで構築された砲弾を空中のカムイに向けて放つ。カムイは両手で砲弾を包み、波動で封殺する。


「……やるではないか」

「マスコットを捨てた今、ソルニャーには強いことしか価値がないにゃ」


 イヴはソルニャーの動きを見て、にやけ顔を作る。


「アレがソルニャーのセカンドタイプ、ソルニャー・萌っ娘モードだ!!」

【読者の皆様へ】

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