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【書籍化決定】スナイパー・イズ・ボッチ ~一人黙々とプレイヤースナイプを楽しんでいたらレイドボスになっていた件について~  作者: 空松蓮司@3シリーズ書籍化
コロニー崩し編

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第123話 ∞アーツ起動

 すでにメーティス軍に加入したと思われるプレイヤーは全員クラスを犯罪者へと変えられている。

 シキが戦ったカムイやソニックはもちろん、目に見えるメーティス兵は軍警によって次々とクラスを変えられている。たとえクラスが変わって無くとも、軍警の装備は基本的にクライムガンと同じ特性を持っているため倒してしまえば投獄(終わり)だ。


 エーギル海の戦いはオケアノス軍優勢、サザンフォード島の戦いはメーティス軍優勢。どちらも防衛側が優勢だった。オケアノス軍が防衛に戦力を割いているため、当然の流れだ。



「伝わるでしょうかこの熱気! オケアノスの命運を賭けた激戦が繰り広げられています!!」



 エーギル海の上空には多数の報道ヘリが飛んでいる。

 その内の1機、特に素早い報道ヘリには目をキラキラに輝かせたアナウンサーが乗っていた。


「現地実況はこの私、『くじら』が精一杯やらせていただきます! 運転手はお決まりの可愛い可愛い『いるかちゃん』です! ……それではいるかちゃん! 一発芸をどうぞ!」

「えぇ!? あ、あの……えっと……()()()のコメントは()()()? なんちゃって」

「はい! それでは状況の説明に移らせていただきます!」

「2度と私に振らないでねくじらちゃん!!」


 これ程に大規模な戦闘、当然インフェニティ・スペース全体が注目している。

 空も戦場なため、流れ弾で次々と報道ヘリは撃墜される。しかし、このくじらが乗っている報道ヘリは上手く弾幕を避けていた。この報道続行能力があるゆえにくじらの『ざっぶーん!☆実況』のチャンネルは不動の人気を誇っている。


「現在エーギル海の戦いはオケアノス軍がかなり優勢です! このままメーティス軍は撃退されてしまうのでしょうか!」


 その時、いるかの報道ヘリが影に包まれた。


「え……?」


 クジラは空を見て、目を剥いた。


「あ、あぁ……!?」


 巨大な戦艦が頭上を飛んでいたのだ。

 しかも1機ではない。20機以上はいる。


「飛行する戦艦……!? それも大量に!?」


――飛行艦隊。


 メーティス軍が打ってきた最初の一手。

 報道ヘリはすぐさま飛行艦隊から離れる。


 飛行艦隊は空から大量のミサイルを投下。オケアノス軍の艦隊は頭上からの攻撃に対応しきれず大破していく。


 さらに、


「アレを見てください! メーティス軍の戦艦から次々と戦闘機が飛びあがってきます!!」


――航空母艦。


 航空機を搭載し、打ち上げることに特化した戦艦。海上で航空基地の役割を果たす戦艦だ。


 メーティス軍は最初から海上の勝利など目指していなかった。メーティス軍の狙いは、空中戦。

 オケアノス軍はオケアノスの地理的特徴から海戦が強い。前哨戦の時のように指揮系統が麻痺しているならともかく、六仙が管理している海戦では勝ち目はない。たとえソニックがメーティス軍を指揮しても善戦すらできない。ロゼッタは前哨戦で得た情報を元に、海戦は思い切って諦め、海上戦力を空戦援護に全振りした。


 空に戦場を移したのは英断である。オケアノス軍の空軍は並レベルだ。


 だが、その手を予見できなかったオケアノス軍でも無い。対空武装も多数積ませているし、戦闘機も揃えてきた。しかしそれでも空中戦はメーティス軍が優勢。エーギル海の空がメーティスの機体に侵食されていく。


「戦いの行方は何処(いずこ)に!? 一旦CMです!!」



 --- 



「誤算だな」


 オケアノス軍・領海管制塔。

 その管制室で六仙はモニターを見ていた。モニターには戦場全ての情報が羅列している。


「想定以上の数です」


 隣ではネスがレーダーを使い、敵戦力を割り出している。


「数だけじゃない、質も想定以上だ。ウチのコロニーでは見ない素材が使われている。ちっ、きっとPPP(ピーピーピー)の仕業だな」

「アシアに残している戦力も投入しますか?」

「いい。僕が行こう」


 六仙が立ち上がると、管制室の兵士たちは歓声を上げた。


「リスクが高いです」


 ネスだけは場の雰囲気に流されず、六仙に忠言する。

 六仙が落ちた状態でコロニーの核である世界樹に触れられればオケアノス軍は敗北だ。六仙は出張っていい存在じゃない。


「止めるかい?」

「止めません。ただ、時間制限はつけさせて頂きます。――5分で戻ってきてください」


 ネスが計算した、戦況を変えるのに十分な時間。


「了解だよ。留守は頼むよ、ネス君」


 六仙はネスのおでこに口づけをし、管制室から出た。ネスは表情こそ崩さないものの、顔を赤くさせる。


 六仙はそのまま艦隊の中心にある装甲艦に向かった。


 装甲艦の甲板にたどり着いた六仙はポケットに手を突っ込んだまま、戦場を眺める。


 いつものスーツ姿、肩に掛かった軍服。マリンブルーの長髪が潮風で揺れる。太陽を遮る敵飛行艦隊を見上げ、オケアノスの王は不敵に笑う。


「始めようか」


 六仙は右手を開く。


(インフェニティ)アーツ……」


 六仙の手元に、手の平サイズの機械のキューブが現れる。

 キューブには『∞』の文字が浮かんでいる。


「起動」


 呟き、キューブを握りつぶす。

 弾けたキューブが稲妻となり空間に走る。稲妻が空間を開き、中から武装が出現する。


 六仙の手には体躯の倍の長さの狙撃銃が形成される。

 さらにバレットピース・アタックピース・シールドピースの()()()()()を併せ持つ子機が212基形成される。


 武装の展開が終わると同時に、システムボイスが轟く。



『∞アーツ――【軍神(ぐんしん)Legion(レギオン)。展開完了』

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