子供だましにもほどがある
昔、こんなお説教を聞いたことがあります。
「天国と地獄では、同じサイズのテーブルがあり、その幅は三メートルです。
各人、同じ食事が出されて、目の前に並べられます。
そして、そこには各人に三メートルのお箸がセットで用意されています。
あなたなら、どうやって食べますか」
子供は正直だ。思った事をすぐ口にする。
「お箸を折ります」
「お箸は絶対に折れない素材です」
「手づかみで食べます」
「手づかみは禁止です。食事ぬきになます」
……
そこで説教者は言う。
「天国では、長いお箸でお互いの口に食べ物を運ぶのです。みんなが幸せです。しかし、地獄では、自分が食べようということばかり考えて、全然食事ができないのです」
……とまあ、互いを思いやるべし、という話になるわけですが。
「先生、そんな長い箸を使ったら、相手の目や喉にささっちゃうよ!」
「うんうん、危険だよー」
「それに、人気者だけたくさんおかずをもらって、人気のない子には行かないかもね」
「そうだそうだ」
「そもそもそんなテーブルを考えたヤツって性格悪すぎるよな」
「きっと悪魔だよ! 悪魔しか思いつかない拷問だよ!」
……とまあ、収拾がつかなくなるのでした。
遠い日の子供時代の思い出でした。