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12-4. エピローグ

 なにも咎められるべきは彼らだけではない。少なからず、この私においてもそうと言える。


 『なんのために戦っている!?』


 組織に従事していた頃は国益のためにと身を粉にして任務を果たしてきた感はあった。

 ……ただ、国の在り方には疑問を抱きながらも何か行動を起こしたことはなかった。

 たかだか一兵卒に何が出来る?? なにより組織の規則からもそれは制限されている。 

 それを言い訳にして、これまで考えることさえも捨て置いてきた。


 それがあの――、対して歳の差も感じさせない私の前に立ち塞がった彼は、それを真っ向から逃げ隠れ出来ない状況下に私を追い込んで突きつけてきたのだ。

 敵対する私に、銃口を向けて――。

 向き合わせ、嘘・偽りを一切認めない、事の本心を暴き出そうとして。


 ……いったい、なんのために??


 同時にあのときには、不覚にも懐かしい感覚に襲われた。

 立ち塞がった者はかつての、俺自身が深く言葉を交わした相手ではなかったのにも関わらず。顔はおろか声・容姿さえも異なっていた。

 それだのになぜか、その者にあの人を重ねてしまっていたのだ。


 いったい、なぜ!? なにより彼は既に故人である。


 単に聞き覚えのある言葉フレーズに気が動転してしまっただけなのだろうか。

 ……過去と紐づいて想起させたのかもしれない。

 『葉隠』、『武士道』しかり。思い返せば、彼から薦められて聖書も読み始めてもいた。

 目の前に差し迫った死に対し『転じる者』がいるなかも、自ら信念を貫き通し散っていった者たちの生き様に美学を感じていたあの人であればこそ、同じことを口にしていたのかもしれないと。 


 ……もしかすれば、あの言葉は振るいにかけていた?? 内心迷う私自身に対して、この先も進んでいける覚悟、信念はあるのかと。

 ただそれも全く異なる第三者からの言葉となれば、また違う意味合いを持つのかもしれない。

 いまとなってはもはや、どういった意味合いであったのかさえ分からない。


 除隊したいまでも昨日のことのようにはっきりと鮮明に思い出される。いや、追体験フラッシュバックさせられているというのが適当か。

 いまも私の目の前に彼が現れ、突きつけ詰問してくるのだ。


 『なんのために戦っている!?』 

 いや――『なんのために生きている!?』と。


 この言葉は、ある意味では私にとって呪縛となった。

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