12-2. エピローグ
除隊した理由はいくつもある。
身を削って遂行した任務であったにも関わらず、誰にも迎え入れられることなく、以降、孤立させられたことが大きかったのかもしれない。……親しく言葉を交わした者たち。司令をはじめとした作戦に従事していた者たちとさえ、会うことも連絡することも絶たれてしまって。
報道された事件の内容は事実と大きくかけ離れたものとして世の中に伝わっている。水面下で動いていた米軍の動員が決め手となって鎮圧されたと表向きに発信されていた。
……如何にも大統領が好みそうな虚偽に仕立て上げられている。
『持ち上げること』には薄々勘付いてはいた。
が、すべてをすべて納得は出来ず、やり切れない思いに駆り立てさせられる。虚しく感じさせられるのは、それが対外的なものに留まらず内部においても一貫されていたことに尽きる。あたかもあの作戦自体がなかったものとして扱われて。
そもそもなぜ、内部においてもそれを隠す!? 当事者にさえ、その意味も伝えず。
蔑ろにされている事実、孤独は、空虚感となって日に日に心のうちを占めていく。
自身の記憶さえ疑わしく思わせ悩ませていった。
そこからの人間不信に陥っていくのは容易かった。
決め手となったのは彼の者の言葉だったのかもしれない。
『なんのために戦っている!?』
……未だに脳裏から離れることはない。
少なくとも自身の矜持と思えた支えは全くと言っていいほどに崩れてしまっていた。
いったい、なんのために戦ってきたのだと。
それでもなんとか再起を図ろうと、当時作戦に司令の立場で従事していた者に接触を試みたが、すんでのところで自身の行動は監視されていたか拘束されてしまう。
『待て。待ってくれ。俺はただあの作戦の全容を、そして伏せているその意味を知りたい。当事者である俺にはそれを知る権利はあるだろう。誰にも口外しないと誓う。だから教えてくれ』
両腕を拘束されて連行されるなかも必死に抵抗して、目の前の作戦中親しく言葉を交わした彼に訴えかけた。
俯く彼はそれに哀れみを感じたか、一言だけ零す。
『国家機密』だ』と。
このとき、心のなかで何かが折れた気がした。
そのさきはじつに早かった。
辞めるにあたっては執拗に引き留められはしたが、迷いはなかった。
その留める言葉さえも自身たる『私』を顧みての言葉でなく、情報漏洩を恐れての言葉だったように思えたからだ。手元に置き、情報漏洩管理したかったところか。
未練は全く以って、なかった。
辞めたいまにおいても、その判断は正しかったと深く感じている。
……まわりに溶け込んでいるようではあるが、たしかに組織からの『付き人』はいて、常に私の動向を監視していたからだ。
なにをやっているんだか。おまえたちが警戒するようなことはする気もない。とうに興味も失せた。
心境としては、もはや国がどうなろうとどうでもいい。
すべてを捨てて、どこか遠くに行ってしまいたい。そんな気分だった。




