11-9. 対面
「現況を鑑みれば、憲法の改正はしなければならないだろうな。
『隣国』含め、『北からの来訪』はそれに現実味を帯びさせている。当然それに伴う『核保有』も必要だ。
ただそれに舵を切れば、平和立国としての立場もなくなる。これまで以上に戦禍に巻き込まれる可能性も当然ある。
……世界的な国際組織もこの国の動きを危惧してか、牽制にと世界で最も誉高い『平和賞』を送っている。
じつに見事としか思えん。憲法改正へ動き出そうとしていたなかで軍備活動の抑制にと、よくもやるものだ。
いまや国内に限らず、全世界がこの国の在り様を注視している。どう、転じていくかをな」
「おまえの言い分では、この国に核を持たせたいと思っているのか??」
「残念ながら、な。
起因している隣国の脅威は紛れもなく媚中派が創り上げたといっても過言ではない。
過去を振り返れば、経団連を巻き込み経済特区進出からの経済支援、技術提供。最近では資源、土地までも差し出し『怪物』にまで仕立て上げた。いまでは全世界を脅かす存在にまでなっている。
これを創り出した責任がこの国にある以上、武装は必須だ。
……だが。
平和立国であり続けることを私は願っている」
「なぜ、そう考える??」
「──この国は既に血を流し過ぎた。……これ以上はさせてなるものか」
核保有の必要性を説きながらも、それを否定する相手にここではじめて『人間らしさ』を感じた。
平和立国として続けて願うものの、周囲を囲う諸外国を前にしてはこの国はあまりにも無防備過ぎる。いまもまた政府公認の工作員が続けて送り込まれ、国は国のために意思決定できず、搾取され続けている。
諸外国からの暴力に歯止めをかけたい。しかし暴力に暴力で訴え出れば、それこそ引き返すことも出来なくなる。泥沼から抜け出せなくなる可能性もある。後戻り出来ず、ますます盛んになって、かつての軍国主義に陥る可能性もある。
なにが正解かは分からない。
答えを決定づけることが出来ていない彼の者の問題提起は、恐らく誰もはっきりと解くことが出来ないであろうな。




