11-4. 対面
「なにをいっている?? そもそもなぜ、米国が主体的になって発案する??
それだけじゃない。それに乗っかる各方面で力を持つ者たちの目的も見えてこない?? 彼らの動機はなんなんだ??」
「イメージ戦略に尽きる」
「どういう意味だ??」
「ほんとになにも知らされていないのだな。……ある意味では『扱いやすい』」
とぼける青年に苛立ちを隠せない。
しかし、指摘されていることに、それを否定できる材料はない。……手痛くも感じる。
「今回の演習舞台である、この『原子力発電施設』が全てを物語っている。
ときに我が国においては、技術力に定評ある『原子力発電技術』を世界相手に外交してきた。その過程で原子力発電の世界シェアを大きく占める会社を取得したことは、それを大きく加速させた。
そして、いまではかつて米国家予算の倍以上に企業価値があると噂された鉄鋼会社を買収しようとしている。
全ては米国起源の、輝かしい栄光が海向こうの島国に渡されようとしている。これを相手側の立場から見たとき、どう思うか」
「……つまらん妬みだな」
「そういうものだ。特に米国では、いま大統領選を控えている背景もある。
彼らの思惑としては、かつての強い米国を取り戻すことにある。その取っ掛かりには製造業界首位に再び返り咲かなければならない。同時に世界に向けて、この国に対する不信感を煽らせ『負のイメージ』の定着、切り崩していく必要がある。
また返り咲くにも『旗印』は必要だ。その旗印には世界の名声さえも我が物としたほどの『象徴』が打ってつけである。……渦中のそれを買収成立させるわけにはいかない。
彼らの、今回の演習を通して欲した目的はそこにある。
それを体現させる舞台に、この国、原子力発電施設が選ばれた」
「そんなことはあり得るのか!? 米国といえど、そこまでの大胆な内政干渉は出来ないはず!?」
「では、ふたつばかり聞かせていただこう。
米国大統領の『習性』をこれまでみてきて、どう思った??
一方でこの国の『千鳥じみた歩き様』を、どう捉える??」
大統領に対しては、かつての強い米国を取り戻そうとしている発言が耳に残っている。
それを裏付ける、外に対しての強気と思える大胆な関税。隣国と跨る湾に対し大統領令による自国名への改称。機能不全に陥っている国際組織の脱退。
多くも多い国々に対してはもちろん、国際機関までさえ誘惑し侵し犯し尽くした、東アジアに巣食うかの年を経たへびに対する牽制。
……彼の怒涛の勢いにはいくつか疑問に感じるところはある。
しかし根底には自国を想う考えがあって、むしろ清々しくさえ感じるまである。
対して、この国においてはどうか。
奴のいうように『在るべき姿』を見失い彷徨っている。
媚中派、親露派、親韓派、親米派、その他多数──。
自国を第一優先に掲げることない勢力が蔓延っている事実は、それだけ付け込まれ介入され奪われ続けている実態を痛烈に物語っている。
今回の事例でいえば、米国からの要請を受け親米派が大きく働きかけたというところだろうか。
……悲しくも納得させられる。




