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11-2. 対面

「そのままの意味だ。見事、『台本』通りに演じ切ってくれたことへの最大の賛辞を贈りたい」

「ふざけているのか!? これには『実弾』が装填されている。『上』からはお前たちへの処遇は言及されていない。いつでもお前を撃つ用意が出来ている」


 銃口を前面に押し出し、相手に向け強調する。

 この場を支配しているのは俺自身であって、お前の命は俺の裁量に委ねられていると。

 しかし当の本人は『どこ吹く風』か、気に留めることもなく平然としていた。

 

 こいつ、 狼狽えることなくなぜ平然としていられる!? 例え、軍事経験を積んでいようが恐怖心は生じるものである。ハッタリか??


「ときに尋ねるが、この棟内に潜ってから仲間と連絡が取れないのではないか??」

「それはお前も同じであろう。お互い孤立したこの状況下に誘導した狙いとやらを聞かせてもらおうか」

「残念ながら、その見立ては外れているな。私はいまでも連絡をとろうと思えば出来る。

 この施設一帯は緊急時の備え、そして精密機器が揃っている観点からも遮蔽、通信妨害は行っていない。

 では、なぜ君に限って連絡が取れないのか──」

 

 奴の言葉が正しければ、外部とやり取りが出来ると言う。俺自身と同じ環境下にいて、それはないはずである。ただの虚勢か?? 張り合うにもなぜ、張り合う必要がある??

 奴との問答を続けている間も続けて作戦室に呼び掛けるも、やはりない──か。


「答えはじつにシンプルだ。蜂起そのものが仕組まれた『演習』だったからに尽きる」

「……なにを言っている」

「もっとも、『調整』には骨が折れたものだよ」

「どういう意味だ??」


 室内を照らす唯一の光源たる月は再び厚い雲に覆われ、明かりは閉じ、床に投影された影は消えていく。


 ようやく、この暗さに順応し始めたか、ある程度に空間把握もし易くなった。相手の顔まで認めることは出来ないが、輪郭程度は捉えることが出来る。

 相手を見定め、続けて銃口を向けて情報を引き出す。


「今回の演習は、比較的経験の浅い新人を焦点に当てたものだった。特に『VR』演習のみ履行した兵士に特化した内容となっている。

 ……『名もなき部隊』に属する君からみて、粒ぞろいの経験者が多くいるなか自身が大抜擢されたのは疑問だっただろう?? 」


 ……こいつ、なぜ国の機密情報を知っている!? 

 俺自身の情報はもちろん、世間に対し徹底的に伏せている『部隊』の存在を。


「君も知っているとおり、この国には『各方面で覇権を目論む隣国』、『北から伸びる猛々しい手』により幾度も国難が押し寄せてきている。

 それへの自衛組織として、いくつも部隊編成され『きたる有事』に備えている。

 だが、その『有事』も近年においては変化しつつある」

「……静かな侵略か」


 いまや形骸化はしてはいるが、国際連合という組織がある以上、相手は大々的に火蓋を切ることはない。集中的制裁が下り『デフォルト』に至らせる可能性があるからだ。

 では、『ある歴史的一時』を拠り所として、いまある相手国を掠め奪うためにはどうすべきか。


 『戦わずして、相手に勝つ』とはよく言ったものである。


 我々の国において、『水源地』はもちろん物流の拠点となる『港』、『空港』、そして、守備の要である『自衛拠点』近辺はほぼほぼ隣国により買い占められてしまっている。加えて、国内全域には彼ら独自のコミュニティーが形成されるようになってしまって、事実上の治外法権化が加速してしまっている。

 このなかで、かの国の主席が国防にかかる有事と『号令』を下せば、間違いなく国内の主要施設は手に落ちることだろう。

 それを裏付け足る事実に、媚中派が政界中心に渦巻いてしまっている点。外務省はじめ議員会館・宿舎には一般人とは言い難い中国籍の女性が出回っていた事実はそれをたしかに証明している。それに対し個人しかり非難なく『国として』容認している事態もそうだ。……最近では国政選挙に帰化一世が出馬する話しも聞く。


 紀元前に活躍した孫子の教えがこれほどまでに脅威になるとは思わなんだ。


 意外にも、地理的に近い『親日国』よりもこの国がさきに奪われるのかもしれない。

 そして囲碁の如く、囲われてしまった親日国もまた抵抗虚しく簒奪さんだつされるのかもしれない。


 この事実・危険性を知ってなお、『雲の上』と称される者たちには『将来を憂う』思いはない。

 彼らにとっては国防より目先にある自身の生活が重要だからだ。


 ……もしくは隣国に『弱みを握られ』引くに引けない状況下にあるのかもしれない。

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