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7-6. 目論見

 ところで、政治の世界では『清濁併せ飲む』という言葉を耳にする。


 それを口にする者は、来る者を分け隔てることなく器量の広さを示しながら、その者たちの言わんとすることを広く受け入れ施策に反映させていくというのだが──。

 

 その結果が、いまのこの国の姿なのであろう。


 内閣にモノ言う政党、派閥、その方面で力を有する者たち。

 彼らの前での『八方美人』であろうした姿が、すべてを中途半端に──。そしてらわれ拘束され奪われていることに、まるで気づいていない!?


 いや、失礼──。気づいているのであろうな。

 では気づいていながらも、なぜその道を行くのか??


 『民主主義』においては『数こそが全て』だからである。

 これに依らなければ、自身の思い描く施策を実現できない!!


 多くの議員がそう豪語する。

 ──が、蓋を開けてみれば、実際はそれに属している限りは集合体の『軋轢あつれき』により身動きが取れなくなってしまっていて、思い描く施策を実現できずにいる。

 

 ……掛ける言葉もない。


 詰まるところ、利権・パワーバランスを崩さず現状維持できる者──。

 いや、違うな。

 自ら考えることも決断することも出来ない木偶でくがそのくらいに座すのは宿命であって、きたるべき者が『彼』であったのは当然の結果といえよう。

 なんともお粗末なこと、この上ない限りである。




 さて、ひと通りの形式張った挨拶を終え、ひとり壁際に移動しては背を預け、場を静観する。


 宴自体も終盤に差し掛かっている。

 変わらず楽し気に、そして甘言に魅入られた男女の姿には苛立ちを覚える。

 ……全体を巻き込むだけ巻き込んで、自身の身だけを案ずる『自分ファースト』な姿勢はじつに頂けないものだ。

 自身の業はせめて背負うべきであろう。

 彼らの語る高尚な考えのもと引き起こした事態であれば、それは自身で責を受け持つべきである──。例え、それが『タダ乗り』しただけであっても。

 すべてを有耶無耶に、直視せず、押し付け、逃げおおせる姿は獣畜生となんら変わりはしない。


 場を離れたのは、ひとえに品位の欠片さえ見て取れるものない彼らの姿には我慢ならなかったに尽きる。

 ──欲する『場面』が達せられたいま、これ以上は付き合い切れんな。


 そのとき視線を外した先に、窓際で三人ばかり話し込んでいる者たちを見かけた。

 彼らもまた自身の身を案じ、今後の『身の振り方』を気にしているのだろうか──。


 ……ん!? 

 不思議にも向こう一帯だけが他のモノと異なる、張り詰めた空気が形成されているように思えた。

 なんだ??

 

『……本当に、これでいいのだな??』

『──ああ、問題ない。功労者たる『彼』には最大の賛辞を贈りたい』

『よくもいう。……世話になったな』

『ああ』


 微かに聞こえてくる言葉には、少しばかり違和感を覚えた。


 そもそも、ここに集った者たちは誰も『首領』の存在を認知していながらも、それが『誰か』を知らされていない。

 それはここに集う幹部たち──。その一人である私もそうである。

 それが、あの三人からは振る舞われたカクテルに酔い痴れることなく素面しらふで話し合っており、そば耳を立てればその内容があたかも『これからの幕切れ』を話しているように思えて仕方なかった。


 あの三人のうち、誰かが──。


 言葉尻だけで、そう捉えるのは早計か??

 それを抜きにしても、気になるのは『功労者』と評する『彼』の存在。


 ……誰を指している??


 どちらにせよ、手持無沙汰になってしまった以上は終わりまで居心地も悪い。

 少しばかり湧いた興味に浸るのも良しとは思える。

 なんなら、ここで彼らと関係コネクションを作るのも良いのかもしれん。


 時間潰しに軽い気持ちで彼らに声をかけようとしたところ、都合タイミング悪く司会者からの閉幕に遮られてしまう──。

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