6-6. 進展
「──もはや当該国だけに留まらない話しになっていることは分かった」
「いまや全世界が注目している事件だ。
この事件を機に、アジア圏政治の覇権が決まると言っても過言ではない──。
しかし、その中心に座す政府は各国からの干渉を受け、まったく動けない状況下にある」
「……なんとも情けない限りだな。自分の国でありながらも『舵取り』を、周りからの目・声を伺わなくては決めることが出来ないとはな。……いつからこの国は『属国』となったんだ??」
ある国による領空海侵犯は日常茶飯事になり、当たり前のように遺憾砲のみを放ち続ける政府。そして、外資による『領土侵略』も『寛容に受け入れている』と聞く──。
……彼らには『国を担うという意識はない』のだろうな。
「──話は変わるが、テロリストに関わる情報を手に入れた。
今回のテロには、どうやら施設に融通を利かすことができる内通者が加わっていたらしい」
「だろうな。内通者なくしては占拠など出来ないはずだ。
こちらも、あらかじめ施設内を自由に出入りできるマスターキーを支給されて大変助かっている」
加えて、当該原子力発電施設を設計、管理する会社からの全面的なサポートも受けている。相手の監視モニターに観測されるのを防ぐのに、監視カメラの配置、セキュリティーホールの情報もかなり助かっている。
……政府からの要請があったとはいえ、図らずも関わってしまった彼らもまた責任を感じているのであろうな。
「爆破予告までは、残り十二時間を切っている。
C4については限られた時間内に処理する必要があるが、闇雲に処理しようにも無理がある。
……一種の賭けに近いかもしれないが、彼らの要求を踏まえれば、彼ら自身とて蜂起とともに心中するつもりはないはず──。
仮に起爆させたとしても、それは比較的ダメージの小さい部位。せいぜい『脅し』程度であろう。さきの爆発物の設置がまさしくその一例だ。
こちらから場所を指示する。
君は急ぎ現場に急行し、事に当たってくれ」
「了解した」