6-4. 進展
「──また時を同じくして、テロリスト相手にではなく、政府に向けて非難を発する組織も現れた」
「テロリスト相手にではなく、か??」
「そうだ。
……『GNN』という環境保護団体に聞き覚えはあるか??」
「ああ。世界的にみても代表的な環境保護団体のひとつ、だったか」
「そうだ。後発とはいえ、いまでは世界自然保護基金=WWFに次ぐ大規模な国際組織となっている」
「その組織がなぜ、国を非難する??
……ましてやテロリスト相手にではなく」
「それは彼らの活動方針に『合致』するからだ──。
彼らの活動は、動植物含め地球全般にかかる包括的な自然保護を目的としている。
そのひとつに原子力発電の永久放棄を掲げている」
「……なるほどな」
設立自体はスリーマイルが始まりだったと記憶している。
それからのチェルノブイリ、福島第一原発事故。昨今ではロシア侵攻によるウクライナ原発。
ほか、中国においては国際基準に適合しない『不十分な処理水の海洋放出』──。
……軍事業界においては、各国で用いられている原子力空母の存在も大きい。
これらだけを考えてみても環境的負荷を強いていることはまず間違いない。それに拍車をかけるかのように、今回起こった蜂起は原発の危険性を再び全世界各国に知れ渡らせる契機となって、より『浮き彫り』にさせた──。
……声を発するには十分過ぎる舞台に非難は必至であったというわけ、か。
「これに賛同する環境保護団体も続々と現れている。
それは過激派だけに限らず、穏健派と言われる組織までもがな。
すでに日本国内、世界では駐日大使館前でデモ活動が展開されている。
ひいては、大きな世論形成に至ることだろう」