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6-3. 進展

「ところで、『外の動き』はどうなっている??」


 現地に潜ってからは、外界からの情報は完全に途絶えてしまっている状況下にある。

 政治的取引が既に進行している状況であれば、それに応じ作戦内容も変わってくる。


 ……もっとも、当初の目的から大きく逸れることはないだろうが。


 微かな可能性ではあるものの、少しばかり願掛けをしてみたくなる。願わくは相手からの要求期限を、少しでも後ろ倒しにしてほしいものだ。


 哨戒にあたる者たちの動向を窺いつつ、無線越しからの返答に、そう祈る──。

 不思議と思いが通じたか、これまでと違って相手からは即座に返答なく、しばし沈黙してしている。

 ……言葉の詰まり、時折溢れる唸り具合。

 沈黙からの期待から外れた反応には、仕方なしと受け入れた。察するに、面倒ごとが生じたといったところか。

 

「……事態は非常に複雑になった。

 つい一時間ほど前に米国大統領がSNSにて、この事件に関し『政府はテロリストからの要求を受け入れるべきだ』とコメントを投稿している。

 同時にかの国と蜜月関係にある議員を複数名、名指しで批判している」

「──大きく出たものだな。

 たしかに『彼』であれば、それぐらい躊躇うことなく言ってのけることは容易に想像できる」


 日頃自身の考えを示すのが彼のスタンスか、必ずといっていいほど一日に一回はツイートが上がる。そのコメントにはマスコミ業界は嬉々として飛びつき、世間の反応を取り上げては『お茶の間』を騒がしていた──。

 それは当該国だけに限らず、この国においても同様で、世界を牽引する大国の長の言葉ひとつひとつには関心を示さずにはいられないのだろう。


「彼のコメントは即座に世界全体に報道され、その動きあって間もなく当の議員本人たちからは『事実無根であり、誠に遺憾いかんである』と発している。

 また、彼らと関係を持つ相手国においても正式に米国に対し非難声明を出し、大統領の安易に発した発言は大国の長に就く者としては品位欠けるものであり、コメントの撤回と謝罪を要求している」


 相も変わらず──か。

 かの国からいえば、誹りを受ければ撤回を求めることはごく自然な流れ。

 だが、近年におけるかの国の動向はたしかに目に余る。それは米国、周辺諸国、もちろんこの国においても──。

 その動きの中核に携わる個人に釘を刺したくなるのは当然の流れと言えようか。


 ……しかし、『これ』は今回の蜂起と関係があるのか!?

 米国と、かの国との摩擦は間接的にもこの国へ影響を与えるだろうが、これは依然からも継続していて、再熱しているだけのように思える。

 『繋がり』があるように感じ取れはしないのだが……。 

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