5-3. 波紋
少なからず、いま直面している『原発の脅威』は蜂起した者たちが取り上げた『議員たち』によって生じたのは明白。この二つは従動的関係にある──。
議員という『根底にある問題』を解くことが出来ない限り、今回運よく回避できたとしても、第二、第三の蜂起が起こる可能性は否定できない。
それは彼らの姿、彼らを通して映し出された行政に鬱憤を抱く者が多くいることはたしかで、むしろこれをきっかけに断続的に起こる可能性を秘めているからだ。
そう考えたとき、思い浮かぶのは『彼らの待遇──』。
現在の我が国における国会議員の平均年収は2,500万円越え──。
……議員のなかでは株式運用している者たちもいて、その副次収入を併せると、7億5,000万円と驚異的な数字を叩き出している者もいる。
ちなみに、国民の平均年収は450万円程度。
……カップ麺の存在を知らず──、そもそも買い物をしたことないとモノ言う彼らの金銭感覚は『国民代表』と称するにはあまりにもズレ過ぎていることが、この一言からしても十分に分かる。
衆参議員総選挙時に多くの二世が立候補するのは、金銭的恩恵に加え、『振る舞う姿』だけで事足りてしまう、そんな『おいしい職種』に我が子にも被らせたいと願う親心があってのことだろう。
……もちろん、本人の意思もあるのだろうが。
さて、そんな彼らの待遇だが、他国と比較したとき見事、世界1位の水準に達する。
一例に、米国では17万4,000ドル。円に換算すれば、約2,000万円弱──。
テレビ端末に映る彼らの働きぶりにしては高すぎると思えてしまうのは私だけだろうか!?
仮に、彼らの働きかけが社会的意義あるものと捉えても、その恩恵を享受した者は国民全体からはあまりにも少ないように感じる。
……少なくとも私が思いつく限りでは、悲しくも財務省主導の税率上昇だけ──。泣きたくもなる。
なにより思うのは、我が国の約3倍の人口を抱える米国より議員数が抜きんでている事実には疑問を感じるしかない。
──地域密着の、きめ細やかな住民サービス提供実現には人手を要するというが、単に能力がないからではないか!?
これらのことを踏まえれば、せめて比例選挙区という民意の反映されにくいものについては、一刻も早く辞すべきである。
現に、一般選挙区で落選した者が比例区にて復活当選した事例が多く確認されている。
ゾンビ議員と、面白おかしく取り上げ揶揄している話しを巷では聞くが、民意が反映されない、あからさまな事例ではないか!!
いよいよと、国会中継に向き合うことに限界を迎え、席を外し、ふと何気なく外の景色を眺める──。
再び吹雪き始めるなか、校舎正面の玄関口近くでは、これから現地入りしようと待機している自衛隊員の姿が目に映った。
……震えている。
現場の冷え込みによるものか──。
それとも、先行き見えない現状に不安を感じているのか──。
先行きが見えない状況下には率先して議員が動き、政府を動かしていくものと考えるが、いまの現況を見る限りでは、それも期待できそうにない。
……少なくとも、いまの私には『祈る』ことしかできない──、か。
自身の無力さに悲しくもなる。
ただただ、車両に乗り込む隊員に対しては、無事に戻ることが出来るようにと祈りつつ、視界から外れるまで彼らを見送った──。