IN THE WELL ~井戸の中~
【日本国憲法】
13条 すべて国民は、個人として尊重される。生命、自由及び幸福追求に対する国民の権利については、公共の福祉に反しない限り、立法その他の国政の上で、最大の尊重を必要とする。
奈落の底、薄暗い光が底に届かず、湿った壁面からは冷たさが伝わってくる。静寂が支配し、深い孤独感が漂う。
暗闇が心を包み込み、絶望の気持ちが広がる場所である。
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学生の頃からか、いつも奈落の底に居るような感覚があった。
どうやって這い上がればいいのか、検討も付かない。
就職してからはその感覚が余計に顕著となった。
頭の中がぐちゃぐちゃになり、脳が煮えたぎり、どうしようもない感覚に襲われた。
安寧の地はないのか。
いつもそう思っていた。
最近、若い頃に観ていた洋画ドラマの映画俳優の方がお亡くなりになった。
元々、私にとっては遠い国の画面の中の方なので、実感も湧かないが、私よりは若かった。
私もいつか暗い奈落の底に堕ちることになるであろう。
しかし、その時、その瞬間まで生きてやる。
そして、人生とやらを楽しんでやる。
井の中の蛙、大海を知らず。
大海をどうしても知りたいとは思わないが、それでも、何かしらの生きた証を遺したい。
しかし、生まれてから死んでいく。ただそれだけのこと。
一瞬の瞬きにも満たないほんの僅かな時間
梅雨の最中、そんな事を思った連休最終日であった。
尊敬する手塚治虫先生がお亡くなりになったのが60歳であるが、果たして私はそこまで生きられるかな。