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5章 14 手に負えない狂女

「ロザリン……な、何故ここにいるんだい? リオンと一緒に大学へ行ったんじゃなかったのかい?」


ロザリンに尋ねるおじ様の声は震えていた。


「それはこっちの台詞よ! 何だか嫌な予感がしたから、忘れ物をしたと言って戻ってきたのよ! ここで一体何をしていたの! まさかその女を逃がすつもりだったんじゃないでしょうね!?」


ズカズカとロザリンは部屋に入ってくると恐ろしい形相で睨みつけてきた。


「そ、それは……」


「違うわ。私が部屋で大きな物音を立ててしまったから、この方が様子を見に来たのよ!」


私は咄嗟に声を上げた。


「大きな音を立てた……? 一体部屋で何をしていたのよ! まさか逃げ出そうとしていたわけじゃないでしょうね!?」


「いいえ。そんなことしていないわ」


首を振ると、ロザリンはとんでもないことを言ってきた。


「そうよ、お前は絶対に逃さない。光の属性を持っているのだから治癒魔法が使えるはずなのよ! 私の火傷痕を治すまでは絶対にここから逃げられると思わないことね! だけど……そうね。リオンが大学へ行っている今のうちにお前の監禁場所を変えることにするわ。私しか知らない場所にね」


「え……?」


思わずその言葉に反応してしまった。

そんな……リオンは今夜私をここから逃がしてあげると約束していたのに?


私の顔色が変わったことにロザリンは気付いたのだろう。


「何よ! その顔は! 文句でもあるっていうの!?」


「いいえ、無いわ。ただ、何処に移されるかと思っただけよ」


感情を殺して返事をした。


「ふん、それは着いてからのお楽しみよ」


「待ちなさい、ロザリン。一体、この人を何処に連れて行くつもりなのだ!」


するとおじ様が焦った様子でロザリンの腕を掴んだ。


「離してよ! また指輪で苦しめられたいの!?」


ロザリンは乱暴におじ様の腕を振り払うと、指輪を向けた。途端に指輪は怪しく光だし、おじ様の首に赤い光の輪が浮かび上がる。


「ぐぁ……」


おじ様は苦しそうにうめき声をあげ、膝をついて首を抑えた。その顔は呼吸が出来ないためか、真っ赤に染まっている。


「やめて! ロザリン! 死んでしまうわ!」


私はロザリンに飛びかかると、腕を抑え込んだ。


「何するのよ! 離しなさいよ!」


ロザリンは叫ぶと、指輪を私に向けてきた。


「ロザリン、私にはその指輪が効かないことを忘れたの?」


「くっ……!」


悔しそうに唇を噛みしめると、ロザリンは指輪のはめた手を振り下ろしてきた。


叩かれる!


思わず目を閉じた時。


パンッ!!


部屋に乾いた音が響き渡るも……私には何も起きない。恐る恐る目を開けると、おじ様が私の前に立ちはだかっている。そしてその顔は赤くなっていた。


「彼女に手を上げるのはやめなさい、ロザリン」


おじ様は静かな声でロザリンを注意する。


「私に命令しないで! 誰のせいでこんな顔になったと思っているのよ!」


「そ、それは……」


ロザリンの言葉に、途端におじ様の顔が苦しげに歪む。

酷い……こんな風にロザリンはハイランド家の人々を脅迫してきたんだ……。


私がロザリンの顔の火傷跡を治すことが出来れば、ハイランド家の人々を救えるのに……!


私は自分の両手を握りしめ、決意を固めた。


そして、この決意が後にとんでもない事態引き起こしてしまう――





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