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5章 13 6年ぶりの再会

 リオンが部屋を出ていくと、私は再び1人になった。


部屋には外鍵が掛けられているので、私はここから出ることは出来ない。


『ごめん。この部屋に鍵を掛けるようにロザリンに命じられているんだ。もし破れば……両親まで酷い目に遭わされてしまうから』


部屋を出る時のリオンの言葉が脳裏に蘇る


「ロザリン……酷すぎるわ。おじ様とおば様まで巻き込むなんて……」


リオンはもう大学へ行ったのだろうか?

外の様子を見る為に、窓に近づいた時。


ガチャガチャと鍵の開く音が聞こえた。


「!」


緊張して振り向くと扉が開き、思いがけない人物が部屋に現れた。


「……突然部屋を訪ねて申し訳ない」


躊躇いがちに部屋に入ってきたのは……。


「お……」


思わず、「おじ様」と口にしそうになって言葉を飲み込む。


「君をこんな目に遭わせてしまって本当にすまなかった……ロザリンに見張られていたので、今までここに来ることも出来なかったのだよ」


おじ様は苦しそうな顔で謝ってきた。


「い、いえ……」


おじ様に会うのは6年ぶりだったが、あまりにも姿が変貌していたので一瞬誰なのか分からなかった。

顔はやせこけ、青白い。細かいシワが刻まれ、実年齢よりもずっと年上に見えた。

ここまで容姿が変わるなんて……余程苦労をしてきたのだろう。


「ロザリンは今日、リオンと大学へ行った。クラリスさん。すぐにここから逃がしてあげるよ」


「え? 逃がすって……」


まさか、私を助けるためにここへ来たのだろうか?

それにリオンの話ではアンディたちに助けを求めると話していたのに?


「逃げるのなら、ロザリンがいない今のうちだ。さぁ、屋敷の外まで案内するから」


おじ様が手招きする。


「ですがそんな勝手なことをして大丈夫なのですか? もしロザリンに知られれば、ただでは済まされないのではありませんか? それにこのことはリオンは知っているのですか?」


もしかして、途中で計画を変更したのだろうか? しかし、おじ様は首を振った。


「リオンは……このことは知らない。だが君はそんなこと気にする必要はないよ。悪いのは全て私達なのだから。それなのに無関係な君を巻き込んでしまった……その責任はいずれきちんと取らせてもらうよ。とにかく今は逃げなければ」


無関係……。

本当に私は無関係だと言い切れるのだろうか? 私がリオンの魔力暴走に干渉したために、話の流れが変わってしまったのに?


「あの、リオンのお母様はどうされているのですか?」


ふいにおば様のことが気になった。


「妻は……ずっと体調を悪くしてしまってね。あまり部屋から出られないのだよ」


おじ様は顔を伏せて答える。

けれど、それは当然の話なのかもしれない。あのおじ様が、6年前とは見る影もなくやつれて、実年齢よりもずっと老けて見える。それだけロザリンに苦しめられてきたのだろう。


「だったら、尚更私は今逃げるわけにはいきません!」


私はきっぱり言い切った。


「え? 逃げるなら今しかないのだよ? 一体君は何を言い出すのだ?」


「私が逃げたら、お二人は今以上に酷い目に遭わされるに決まっています! だから私はここに残ります!」


「クラリスさん……」


おじ様は信じられないと言わんばかりに私を見つめる。


リオンは今夜、アンディたちに協力をお願いして私を助け出すと約束してくれた。

信じるのだ、リオンのことを。そして……みんなを。


――その時。


「おじ様! 一体ここで何をしているの!!」


鋭い声が部屋に響き渡り、2人で同時に振り向いた。


そこには怒りの形相を浮かべたロザリンの姿があった――





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