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5章 9 狂気のロザリン

 え……? あの指輪は一体……?


「あんたもリオンと同じように苦しめてやる!!」


ロザリンが私に向って指輪をはめた手を私に向けた。


「よせ!! ロザリン!!」


リオンが叫ぶと同時に指輪が赤く光った。


「アハハハハハッ!! ほら! どう!? 苦しいでしょう!? 生意気にも私に命令するからよ!」


ロザリンは高笑いするけれど、リオンのように首が締め付けられるようなことはなかった。ただ、首の後ろの刻印が熱を持ったように感じられるだけだ。


私が苦しむ様子を見せないからだろう。ロザリンが焦り始めた。


「な、何よ……何であんたは平気でいられるのよ! まさか指輪の力が効かないの!?」


「ロザリン! 指輪を外すんだ!」


リオンがロザリンから指輪を奪おうとしたとき。


「うるさい!!」


再びロザリンがリオンに指輪を向けると、途端に彼は苦しみ始めて床に崩れ落ちる。


「ウッ……クッ……」


「そうよ……本来なら、あんたもリオンと同じように苦しむはずなのに……何故、平気でいられるのよ!」


私に背を向けながらロザリンは叫ぶ。

そんなことを言われたって、私に分かるはずもない。


床に倒れたリオンの顔は苦しみに悶えている。あのまま指輪を向けられ続けたら……!


「やめて!! リオンはあなたの婚約者なのでしょう!? 死んでしまったらどうするの!」


するとロザリンの肩がビクリと跳ね……指輪をはめていた手を下ろすとリオンの首に浮き出た赤い輪が消えていく。


「ゴホッ! ゴホッゴホッ!!」


床に倒れたまま、首を押さえて激しく咳き込むリオン。


「リオンッ!」


彼に駆け寄ろうとしたところを、ロザリンに激しく突き飛ばされた。


「キャアッ!」


ドサッ!


勢い余って床に倒れてしまう。


「う……」


痛みで呻くと、ロザリンが怒鳴りつけてきた。


「リオンに近づくんじゃない!!」


痛みに顔を歪ませてロザリンを見上げると、何を思ったか彼女が自分の黒いヴェールを剥ぎ取った。


「!!」


その顔を見て、私は言葉を失う。

月明かりに照らし出されたロザリン。顔に出来たケロイドはそれは酷いものだった。水ぶくれのような後が顔面に飛び散っている。特に酷いのは唇部分で、火傷で腫れ上がった唇は完全に閉じることができなくなっている。

左目の上の部分も紫色に腫れあがり、半分ほどしか開いていない。その顔はあまりにも痛々しかった。


あんなに酷い火傷だったなんて……。

驚きのあまり、目を離せずにいるとロザリンが言い放った。


「どう? 酷い傷でしょう……? 私がこんな醜い顔になってしまったのは、そこにいるリオンのせいよ!! 医者は私の命が助かって良かったと言ったけど、どこが良かったのよ!! こんな顔になるくらいなら、いっそ死んでしまった方がマシだったわ!! 両親だって、私を恐ろしい物を見るような目を向けてくるのよ! それで全ての責任をハイランド家に負わせたのよ!! この家の奴らを苦しませてやるんだから!!」


「そ、そんな……」


リオンは辛そうに俯いて話を聞いている。

だけど、元はと言えば誕生パーティーで火災を起こしてしまったのはロザリンが渡した魔力増強のブレスレットを渡したことが原因なのに?


けれど、そんなことは口が裂けても言えない。何故私がそのことを知っているのだと怪しまれるに決まっているから。


「あんたには私の苦しみが分からないでしょうねぇ? そんなに美しい容姿で男たちをはべらしているのだから!」


「キャアッ!!」


いきなり、ロザリンが床にうずくまる私を踏みつけてきた。ぎりぎりと靴のヒールが身体に食い込んで、痛くてたまらない。


「や……やめろ……ロザリン……」


まだ呼吸が苦しいのだろう。それでもリオンは必死に止めようとしている。


「だけど、私は運が良かったわ……光の属性を持つあんたに出会えたのだから。この私の火傷痕を治すのよ!! それが出来るまでは、絶対にここからだしてやるものですか!!」


ロザリンは私を踏みつけたまま、言い放つ。


こうして私は……ハイランド家に囚われることになってしまった――


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