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タイトル未定2024/08/13 00:11

 私とエイダは『風属性』の魔法科の受講教室に到着した。


階段教室に入ると既に大勢の女子学生たちが集まり、あちこちでお喋りに花を咲かせていた。

中にはまだ友人がいないのか、1人で待機している女子学生たちの姿もある。


「すごい大人数ね……驚きだわ。一体何人ぐらいいるのかしら?」


「そうね、恐らく100人以上はいると思うわ」


「100人……」


エイダの言葉に何か胸騒ぎを感じて周囲を見渡してみた。


「クラリス、辺りを見渡してどうかしたの?」


「え? う、うん。空いてる席は無いかと思って探していたの」


「そうね……あ! あの席が空いているみたいよ」


エイダは真ん中の列の席を指さすと、一列だけ空席になっている。


「エイダ、それじゃあの席に座らない?」


「ええ、いいわよ」


2人で空いている席に座ると、エイダが興奮した様子で話し始めた。


「やっと念願の授業を受けられるんだわ。この日をどんなに夢見てたことかしら」


「そんなに楽しみにしていたの?」


「当然よ。『ニルヴァーナ』大学がこの大陸一番魔術科の授業レベルが高いのだから。私ね、将来は魔術協会に就職したいのよ」


「え!? ど、どうして!?」


魔術協会という言葉に思わず動揺してしまう。


「そんなに驚くことかしら? 魔術協会に入れば……」


そのとき。


「あら? あなたは確か……クラリスさんじゃないの?」


不意に声をかけられ、振り向くと見知らぬ女子学生が私を見下ろしていた。彼女は

3人の女子学生を引き連れている。


「え、ええ。そうですけど……」


「私達に何か用かしら?」


エイダが女子学生に尋ねる。


「用という程のものではないけれど、この間魔術の属性検査で唯一光の属性だったでしょう? だから印象に残っていたのよ。でも……まさかこのクラスで一緒になるとは思わなかったわ」


何故か、この女子学生から敵意のようなものが感じられる。


「先生からは光の属性クラスは無いので、好きなクラスに入って良いと許可を貰えたの。だからこのクラスに入ったのだけど?」


「ふ〜ん、そう。まぁ、どこのクラスに所属するのも構わないけれど……余り目立つようなことはしないでちょうだいね」


「え……?」


あまりにも突拍子もない言葉に戸惑ってしまう。


「何よ、それは一体どういう意味なのかしら?」


エイダが女子学生を睨みつけた。


「別に、言葉通りの意味よ。……行きましょう」


女子学生はフイッと向きを変えると3人の女子学生を連れて行ってしまった。


「……全く、入学早々男を引き連れて歩くなんて」


去り際、私に聞えよがしの言葉を残し……。


女子学生が私達から離れていくとエイダが口を開いた。


「何よ、今の人。感じ悪いわ。きっとクラリスに嫉妬しているのよ。あんなの気にする必要は無いわよ」


「え、ええ……」


頷くも、女子学生の言葉は納得できた。1人の女子学生に4人の男子学生が張り付いていれば、目立つのは当然だ。

あの人達はみんな、私を監視しているだけだと説明出来ればいいのに……。


その時、女子学生たちがざわめき始めた。


「突然どうしたのかしら……あ!」


出入り口の方を見つめていたエイダが突然驚きの声をあげた。


「どうしたの? エイダ」


「クラリス……落ち着いて扉の方を見て……」


「え?」


エイダに言われるまま、出入り口を振り向き……驚きで目を見開いた。


「そ、そんな……どうして……」


私の目に、リオンとロザリンが教室に入ってくる姿が映し出された――



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