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運命の兄弟シリーズ

シスコンな兄貴が友人に「妹を頼む」の一言を伝えるまで

作者: 仲仁へび



 俺の妹の話をしよう。

 何?

 興味ないだと?

 ふざけんな!


 そんなに可愛い俺の妹に興味がないだと。

 貴様、それでも人間か!

 は? 見た事ないから可愛いかどうか分からん?

 確かにそうだったな。

 すまん。


 で、俺の妹の話だ。


 名前はな、朝山和沙っていうんだ。

 可愛い名前だろう?

 どことなく和風で古風な響きがして、俺の妹にぴったりとは思わないか?


 何?

 見てないから分からない?

 くっ、確かにそうだったか。

 とにかく、可愛い俺の妹の顏に姿に容姿にぴったりの名前なんだ。


 それでだな。


 俺の妹は世界一かわいいんだ。

 世界一だぞ。

 なのに、何で誰も俺の妹の魅力に気が付かないんだ(真顔)。

 これが世界の心理だというのに(真顔)。


 その心理に気が付くまでの俺は愚かだった。

 物心ついた頃の事だったかな。あれは。


 あいつが小さかった頃に俺が転んだ事があったんだ。

 その時あいつは「にいに、大丈夫?」っていって、ぶつけたところを一生懸命さすって「いたいのいたいのとんでけー」ってしてくれるんだ。

 何て心優しいんだ。


 他にもまだまだあるぞ。

 あれは幼稚園に通い始めた頃だったかな。

俺の後ろをちょこちょこついてくる和沙があんまりにも俺から離れないもんだから……大きくなったらお嫁さんに行って他のクソ野郎の所にいかなくちゃいけないんだぞって話したら、「かずさはおっきくなったらお兄ちゃんのおよめさんになるの」って。

 何て純粋無垢なんだ。

 

 ほかにもまだまだ……。


 ごちそうさま?


 馬鹿野郎っ!


 まだ全体の一パーセントにも満たないんだぞ。

 そんなにまだあるのか、だって?

 当たり前だろ!!

 喋っても喋っても物足りねぇよ!


 一体あんたは何がしたいんだ?


 そんなの決まってるだろ。

 それはだな。


 えーと。

 うーん。

 あー……。


 うむ。俺にも何でこんな話をあんたにしてるのかちょっと分からなくなった。


 おいおい大丈夫か、急にずっこけたりして。

 そういう病気か?


 あんたのせいだよ、……って俺のせい?

 何言ってるんだよ。


 それでだな。


 あいつが小学生になった時にこんな事があったんだ。

 あいつは誰にでも女神でも優しく、天使の様に愛らしい容姿だったから、クラスメイトの女子からやっかみを受けた事があったんだ。


 あの時の俺も愚かだった。

 和沙が朝登校する時に毎日暗い顔をしていた事に気が付いていたのに、これも妹の成長のためと……。くっ、あの時強引に聞き出していれば。


 結局、俺がいなくても友達の手を借りて解決できたらしいけど、今でもあの時の行動を悔いているんだ。


 あいつは健気で頑張り屋さんだから、一人で抱え込んでしまうところがあるんだよな。


 そういうわけだから、あいつが困っているのを見かけたら、さりげなく助けてやってくれ。


 うん、つまりはそういう話だ。


 結論に至るまでが長ぇよ、だって?


 仕方ないだろ。

 和沙の魅力を話してる間に、何の話をしているのか忘れたんだから。


 ああ、なんて和沙の可愛さは罪作り……。


 おい待て、まだ話は終わってな。




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