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トイレのピエタ  作者: 庚子睦月
8/10

お花摘み

01

アツコ/ピエタを連れて走り出しながら天使の言葉を思い出している。

天使「もしもの事があってあのトイレの近くにいたならトイレに飛び込めば、このキャンバスから抜け出せます」


02

アツコ「だったら今すぐにでもトイレに飛び込めば…」

天使「いえ、トイレに飛び込むと異次元空間に放り出されて、次にどこに出ていくのか分かりません」


03

天使「異次元空間はとても不安定で危険です。だからこれは最終手段です」


04

天使「トイレに足から飛び込めば体は細くなって吸い込まれるのですぐに流すレバーを引いて下さい。レバーを引かないと異次元空間から抜け出せなくなってしまいます」


05

アツコ「分かったわ、だったら二人だけにしか分からない秘密の言葉を決めておこうよ」

天使「それは良いですね」


06

アツコ「そうねぇ、トイレだから"お花摘み"」

天使「お花摘み?」


07

アツコとピエタ/野を駆け下りトイレの近くまで走って来た。


08

ベルセル/アツコがピエタを連れてトイレに向かっている事にようやく気がつく。

「奴め、何を寝ぼけているのだ!」

/ピエタに怒り、天使を抱えたまま空高く空中から左腕を大きく振りかぶるとトイレ目掛けて腕が伸びて行く。


09

天使/ベルセルの動きに気づくと直ぐに胸に刺さったベルセルの爪を振り払う。

ベルセル「おのれっ!」叫ぶ


10

アツコ/トイレに着くとすぐに蓋を開け息が上がっているピエタを抱えトイレに押し入れようとする。

「君がまず入るのよ!」

ピエタ「やめろ!そんな事をしたら…」


11

アツコ/ピエタを頭を抑えてトイレに押し込み吸い込まれたのを確かめる。


12

アツコ/トイレに吸い込まれながらレバーを引く。

その直後、ベルセルの左拳がトイレを破壊する。


13

ベルセル「しくじったか?」


14

天使/ベルセルの爪から解放されて空中を落下していたが突然消滅する。


15

天使・アツコ・ピエタ/雲の中のような明るい異次元空間で3人が彷徨い強い風に翻弄されている。


16

天使とアツコ/急接近して二人が互いに手を差し伸べるもあと少しで届かない。


17

風が吹いて二人を引き離す。

天使「アツコさーん!」

アツコ「天ちゃーん!」


18

アツコとピエタ/二人を黒い霧の様な烈風が飲み込み気を失い落ちて行く。


19

滴る水の音、冷たい石。

アツコ/目を覚まし体中に痛みが走る。床の石畳が冷たい。

「ここは、どこなの?」

/傍らで冷たい研ぎ澄まされた瞳でじっとあらぬところを見つめているピエタに訊ねる。


20

ピエタ/頭上高くに微かに光が差し込んでいる方を見上げて「ここは悪魔の王宮にある井戸の底だ」と冷たく言い放つ。


21

アツコ/愕然とする。

「ああ、なんでこんな悪魔のせいで、こんな酷い目に遭わなくちゃならないのよ!」


22

ピエタ「さっきまでの勇ましさは何処に行ったのさ」と皮肉る。


23

アツコ/ピエタの皮肉を無視して井戸の光の差す方に向かって「天ちゃーん!助けてーっ!」


24

その瞬間井戸の上から水が大量に流れ込んで来た。

アツコとピエタ/立ち上がり上を見上げて驚く。

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