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【2巻予約受付中・25/10/20発売】TSしたから隠れてダンジョンに潜ってた僕がアイドルたちに身バレして有名配信者になる話。~ヘッドショットロリがダンジョンの秘密に迫る配信~  作者: あずももも
24章 11年前と、僕たち

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634話 流れ出す記憶/録

ぎゃあぎゃあ。


しばらく様子を見たけども、おじゃるさんの部下たちは――隊列から離れようとする個体がないどころか、どんどんと奥から集まってきて増え続けているみたい。


僕の上の鐘、結構なサイズのはずなんだけどな。


「……これ見ても、退かないんですか。怖くは……ああ、君たちは本体ってのが安全な場所にあるからへっちゃらなんですね。危機感はないけどHPが0になるまで全力で戦えるし、損するのは予備の体だけ。ずるいけど被害を出さない、一方的な戦いには最適なんだ」


やっぱりすごい魔王さんとあって、そのすぐ近くに居る兵士さんたちも並大抵じゃない。


「……あ、なるほど」


僕は――彼らからは言葉が届かないけども、言葉がないなりに考えているイメージとか感情がダイレクトに伝わってくるから、納得した。


「神族――ノーネームさんとか僕の仲間が封じ込めるダンジョン? へー……の中でポップするモンスターたちって、みんな同じシステムなんだ」


言葉と形になっていない、彼らが生み出されたときから備え付けられている本能。


それを、パズルみたいに組み合わせて僕なりにつなぎ合わせてみると、


「……こっち側の魔力を吸って予備の体を生成して侵略するから本体は無事だし、ダンジョンの魔力の濃度が濃いほどに強くなれるし、倒されてもその魔力が結晶化した魔石になるだけで0に戻りはするけども、マイナスの投資にはならない……時間と労力以外は。数を打てば当たるし、上振れたら……へぇ」


例えるならそれは、無尽蔵で補充される遠隔操作ロボットに――乗りもせず、無人機で無関係な遠い土地を征服するもの。


あるいは自分のコピーを作って、自分は安全なお家でお酒でも飲みながらそれを操作して「ゲーム」感覚で侵略行為を働くもの。


いや、完全にゲームとしか認識していないかもしれない。


「だって、予備の体――侵略用ユニットが壊れても本体はぴんぴんしてるんだから。だから、ダメだったらまたやり直せば良いだけで、運良く現地の弱い個体を倒せたら、その土地ごと魔力で染めて魔界にして自分の領土にできる……なるほどなぁ。他の世界に侵略して領地を広げるって意味では、コスパってのが良いやり方なんですね」


【えっ】

【!?】

【ハルちゃん!?】


【待って、ハルちゃんの様子が】

【前にもこんな感じの……普通じゃない状態に】

【もしかして、記憶を思い出そうと――】


僕の中に入ってくる情報。


それはあまりにも膨大で――僕は、頭上に展開する魔法陣を制御する以外には、それを咀嚼することしかできない。


「たぶん、これは支配者層であるドラゴンさんたち――魔王さんたちが、細かく命令しなくてもダンジョンとかを通じて時間経過でたくさんの世界を征服するために埋め込まれた情報。


どんな動物でも――いや、虫さんでも植物でも微生物でも、環境に適応して進化ってのをしていく。

正確には必ずしも優れた造りになるわけじゃないけども――生存戦略は、磨かれる。


僕たちの世界だって、たまたま魔力で生きる存在が居なかったから太陽光と二酸化炭素と酸素、他の生物のエネルギーを奪い合う競争社会なんだ。


その原動力が魔力っていうもので、それで育っていった生態系が――魔力がたくさん浮いてるのに手つかずな世界を発見する術と、そこへ到達する術を獲得した。


それが、魔王さんたちの侵略。

たぶん、そういうことなんだろう。


で、その過程で出現したのが『魔族』。


魔力を生命エネルギーとする生命体、その中でも知性を獲得した個体。

彼らは増殖し、繁栄し――やがてその世界の資源を食い尽くしそうになった。


だから彼らは話し合い、探して別の世界を発見し、渡り歩く魔法を開発した。


――でも、現地の生命体……同じ魔力で生きるそれらや、魔力以外という弱すぎるエネルギーでしか育っていないそれらに対する意見が、真っ二つに割れた。


『弱肉強食は世の常なんだから、強い自分たちが好きにして良い。もっともっと自分たちを強く増やしていこう』って思う人たち。


『無秩序な暴力は、いずれ自分たちをも破滅させるし――なにより、ただ蹂躙されるだけの立場になって考えたら、とてもそんなことはできない。あまりにひどくて――かわいそうだ』って思う人たち。


彼らは、侵攻を始めてから明確に対立した。


その最初の犠牲になった世界――守り切れなかった世界に居たのは、僕たちにそっくりな、『人間』。


『本来なら特別な力を持たず、魔力への適性も保たない、たまたま環境を利用して進化できた生物』。


その、壊滅する姿――その姿に心を痛めた魔族の人たちが、やがては『神族』となり、いろんな世界の人たちと協力して『魔族』へ抗う無限の戦いを初め。


そして、つい数千年前に『最終決戦』があって……『魔族』を統べる魔王たちもほとんどが壊滅的なダメージを受けたけども、『人』の他にも味方をしてくれてた『魔族』や『モンスター』たちをまとめる神族たちが絶滅したから――――――けほっ」



あれ?


「………………………………?」


僕、喉がからからになってる。


「けほっ、けほっ……のどが……んくっ」


なんでだろ……魔力がいっぱいなのに、疲れてる?


「おうえん」「したの【☆☆☆☆☆】→【★★★★★】」「ぶくま」「おねがい」

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― 新着の感想 ―
数千年前……スケール感が宇宙サイズだし、壊滅的なダメージを受けた魔王たちが回復完了しててもしてなくてもおかしくなさそうだなぁ 侵略者側の時間以外のリソース消費無しで侵略対象のリソース使ってアバター作っ…
なんたる淘汰な連鎖よ…それで今の現状に至ったのか
まだその時ではない
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