630話 【朗報・ノーネームちゃん、見捨てられる】
【ハルちゃん、かわいいけど普段からローテンションで男の子っぽいしゃべり方だし、雰囲気は中性的だよね】
【ショタ……】
【はいはいそうだね】
【姉御が勢いなくて草】
【だから男の子だったとしても人気は出ただろうけど】
【こういうところはやっぱり女の子か】
【この口調でも言い寄られてるからなぁ】
【もう何回も狙われてるからねぇ】
「……っと、この隙に」
貯まった魔力を矢に変換して――しゅいんっ。
「えいっ」
ひゅぱっ――――――どがぁん。
「案外脆いなぁ、あの檻」
【草】
【ふぁっ!?】
【えいっ(すげー攻撃】
【ハルちゃんが強すぎるのでは?】
【なんかここにきて魔力が回復してるハルちゃん】
【あの……衝撃エフェクトがとんでもないことに……】
【周囲のドラゴンたちが巻き添えになるレベルの余波】
【もしかして:怒りでパワーアップ】
【草】
【ありえそう】
【女神とかいう謎種族だし】
【雄に求愛されて迫られて拒絶するときの雌特有の強さがここに】
【やはり自然界において雌は強し】
【自然界では雌が許さないと雄は悲しい目をするだけだからね】
【自然界では雌が許さないと雄は物理的に子孫を残せず無駄死にするからね】
【自然界なら基本的に子孫を残せる雌とは対称的だからね】
【力関係とか、なんなら体のサイズも頑丈さも雌>雄なんだよなぁ】
【ハルちゃん is goddess】
【こんなに男の子っぽい話し方でも、本能はやっぱ女の子なんだなって】
【女神様って大変ね】
【ショタよ!!】
【はいはい】
【しっしっ】
【ショタなのに……】
【どうした姉御】
【今回はやけにしつこいな姉御】
【ないないされろ姉御】
【逮捕されろ姉御】
【草】
【怒濤の姉御ディスで草】
「……えいっ、えいっ」
ここはボーナスステージだ。
なにしろ目の前の檻の中からすごい量の魔力がこれでもかと飛んでくるし、それを僕の羽が勝手に吸収してくれて食べ過ぎなくらいだし、だから光る矢も無尽蔵に魔力を込めて撃てるし。
『朕の大切な球がぁぁぁ!! 止めるでおじゃぁぁぁ!! ――ええい、もう良い! 者共、かかれぇ!! 女神の無事は問わぬでおじゃあああ!』
『させぬ! 姫にご褒美をもらうのは私だ……泥棒猫め』
『じゃあかしい、このドラゴンの面汚しがぁぁぁぁ!!』
――どごぉん。
ちらりと見てみると、遠くでドラゴン大乱闘をしている2人。
「ノーネームさん」
【!!】
――ひょこっ。
僕は――いつの間に戻ってきたんだろ、胸元から顔を出して懇願しているノーネームさんへ、告げる。
やっぱ今のは演技だったんだね。
【!?】
【!?】
【!?】
【ノーネームちゃんが生きてた!!】
【え? じゃあさっきのは一体……】
【わかんにゃい……】
【まさか、残像……】
【草】
【朗報・ノーネームちゃん】
【もしかして:落ちたフリ】
【えぇ……】
【同情引こうとしたら思ったより冷たい目で見捨てられて、出るにも出られなかった……?】
【草】
「ノーネームさん。くっころさんと協力して、おじゃるさんを倒して。んで隙を見て、くっころさんを倒してきてください」
【!?】
【待】
【無理】
「無理なんですか? じゃあもう期待しないので静かにしててください。しゃべらず動かず、ただじっとしてるだけなら許しますから」
【!?!?!?!?】
がさっ……ぱたぱたぱた。
ノーネームさんが、いつにない動きで羽ばたいていく。
……これくらいせっつかないと動かないんだね、君……。
【速報・ハルちゃん、まだまだ怒ってる】
【むしろ今までが優しすぎた】
【始原もそう思います】
【草】
【誰もが思ってたよね……】
【本当に毎日、セクハラしかしてなかったからね……】
【うん……ハルちゃんが許してるからこそ許されてただけで……】
【それにしても……ハルちゃんのジト目が本気で……】
【分かる】
【ふぅ……】
【あれ?】
【もしかして:ノーネームちゃん、余裕がない】
【あったらいつも通りに許されるムーブしてるもんなぁ】
【セクハラってね、時代の価値観とともに許されなくなるんだよ】
【それがたとえ女の子同士でもね】
【片方が嫌がってたんならダメなんだよ】
【それはそう】
【ノーネームちゃんさぁ……】
ごぉっ。
どぉん。
2匹が――相当に離れたここから見ても、おじゃるさんがでっかい山、くっころさんが……でっかいビル程度のサイズ。
そんな2匹が――最初からかなりの魔力を込めたブレスで、他のドラゴンさんたちを巻き込みながら戦い始めている。
ブレスを始めとしていろんな魔法が、すごく大きな花火みたいに乱舞していて綺麗。
まるで花火大会の〆のでっかいのだね。
けども……あのままじゃ。
【許】
【泣】
ぴこぴこ。
彼女自身は小さすぎて既に見えなくなったけども、目の前に彼女の懇願が届く。
……しつこいなぁ、君も。
「ノーネームさん。許してほしいんですか?」
【土下座】
「要らないです。どうせ形だけでしょ?」
【草】
【見破られているぞノーネームちゃん!!】
【謝り倒すしかないぞノーネームちゃん!】
【謝って許されるか……?】
【ハルちゃんは懐広いから、誠心誠意謝ればなんとか……?】
――ああは言ったけども、僕の気持ちはある程度は許している。
一応で、言うことを言えば僕は満足するタイプなんだ。
るるさんへも、はぐはぐしてくるのに文句を言ったなら、すぐに諦めの境地にたどり着けてたし。
でも、それはそれとしてがんばってもらわないとね。
大丈夫、どうせさっきみたいに魔力さえあれば復活できるんでしょ?
魔王さんたちとおんなじなんだから、がんばって削ってきてね。
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