572話 【必殺技の100倍のノーモーション攻撃にびびる視聴者たち】
ないない。
ノーネームさんの好きな言葉。
ダンジョンとかで、食べられそうになった人を助ける魔法。
完全には無理だけど、かなり助けてくれてるって言ってたすごいやつ。
けども、この人たちが今、どのくらいこの状況を理解できてるかって言うと……んー。
「……ノーネームさん、説明してくれますか?」
「ないない?」
首をかしげるノーネームさん。
どうやら彼女も内心はめんどくさいらしい。
ならしょうがない、おしゃべりが好きな彼女に任せよう。
「リリさ――んは寝てたんでした。なら今はこれで我慢してください」
リリさんは女の子だから気遣いとかできて、この人たちの気持ちを教えてくれるんだけども……寝ちゃったんだからしょうがない。
もう、肝心なときにはすやすや、要らないときには元気いっぱいなんだから。
リリさんも寝てるんなら、もう諦めてもらおう。
事実だけ伝えてあげとけば、後はなんとかなるだろうし。
「は……え? 10年……いや、でも、生きて……!?」
「お、お待ちを!? 詳細を――」
「えっと、まずあのティラノさん倒さなきゃなので、後で良いです?」
僕は、こっちを見たまま固まっている巨体を指さす。
「お? お、おう……?」
「そ、そうですね……?」
さすがの彼らもやっぱり軍人さんだ、優先順位は分かっているらしい。
「じゃ、そういうことで」
「じゃ」
そもそも僕は口下手だからね。
るるさんとか相手にしてると「なんで?」ってのを何回も繰り返されて大変だった記憶があるし。
やっぱり僕は男なんだ。
男の中でも、しゃべるのは苦手なタイプなんだ。
特に最近はずっとしゃべりすぎてて心がへとへとなんだ。
【ハルちゃん……】
【説明放棄しないで】
【草】
【こういうとこで上位存在メンタリティ出るんだよなぁハルちゃん】
【普段、どれだけ人に寄り添ってるのかって良く分かるね】
【あー】
【しかもさっきまでお酒飲み散らかしてたのに、今はもうケロッとしてるし】
【※リリちゃんは真っ赤な顔して気絶してます】
【かわいそう】
【かわいそう】
【でも幸せそうな寝顔だから……】
【草】
【体力は残り11%……多少回復されても、戦艦の砲撃は続いてるし、航空部隊もまだ残ってる……なんとかなるか?】
【また今のやべー攻撃来たら、今度こそ……】
【だよなぁ】
【あーあ、巡洋艦までみんな動き止まったり消火作業したり主砲吹っ飛んだりしてるよ】
【やべぇ】
【※駆逐艦が10、一瞬で消し飛んだのを忘れないでください】
【ひぇっ】
【じょばばばば】
【これ、ノーネームちゃんが居ない世界だったら……】
【あの、駆逐艦って1万トン近くあるんですけど……】
【ここから見る限り、半分くらいは旧式の駆逐艦……てことは逆に、古くても頑丈ってことだもんなぁ】
【ミサイル前提の新しいのとかに比べて……なはずなのに】
【あそこで何故か無傷の駆逐艦とか陽炎型だもんなぁ】
【数キロ離れたレーザー攻撃だし、波の上下とかで運良く回避できたのかな】
【さぁ?】
【けどあれ、1940年……80年前のじゃねぇか】
【まぁ中身は実質新造艦だし】
【でも、小型艇とはいえ軍用の船が一瞬でとか……】
【※この攻撃、ノーネームちゃんが両腕と両脚で1回ずつ受け止めてました】
【すごい】
【え、でも、威力は段違いなんじゃ】
【エネルギー量】
【×100】
【ふぁっ!?】
【こわいよー】
【100倍の攻撃とかやべぇな】
【その100分の1でもやばい定期】
【特大のダンジョンボスが数分チャージしての通常攻撃の100バイトか】
【それを腕とか脚のロスト、しかも復活できる程度で済むノーネームちゃんって】
【だって神様だもん】
【ノーネームちゃんを称えよ!】
【ドンドコドコドコ】
【照】
【かわいいいいい】
【かわいいいいいいいいいいい】
【かわいいいいいいいいいいいいいいいい】
【草】
【久しぶりに見たわ、この流れ】
【絶望しか無かったはずなのに涙出てきたわ】
【それな】
【世界を護ってくれてる女神のノーネームちゃんがじきじきにコメントしてくれることで安心できる……なんて素晴らしい配信なんだ……】
【あの、ハルちゃんは?】
【大丈夫大丈夫 上位存在メンタリティーでへっちゃらな気にさせてくれるよ】
【草】
【それはそう】
【うん、俺たちもあれくらい気楽に……いや、そんなことしてたら大怪我でないないされるわな……】
【※ハルちゃんは特別すぎる幼女なので真似しないでください】
【はる】
【推】
【草】
【もちろん推すけど草】
【ノーネームちゃん、腕と脚がないし、抱っこしてるリリちゃんも寝ちゃって動けなくって暇なのかおしゃべりになってるね】
【けどやっぱハルちゃんが最重要なのね】
【始原もそう思います】
【ショタよ!!!】
【しっしっ】
【草】
【今は邪魔だぞ姉御ォ!】
【さりげなく久しぶりの姉御】
【ハルきゅんはやっぱり生えてるなって思って】
【そんなの聞いてない】
【どっか行け】
【ひどい! 開示請求するわよ!!】
【草】
【姉御? 今そんな状況じゃないの 構ってる余裕ないからお仲間と遊んでなさい】
【草】
「おうえん」「したの【☆☆☆☆☆】→【★★★★★】」「ぶくま」「おねがい」




