564話 合同連合艦隊だって
「それで、今のはなんです? 援軍ですか?」
「あ、ああ――じゃなくて、はい! 今のは――」
「このバカの故郷が何十年前に製造したバカみたいな兵器をバカみたいに魔改造して発射されたバカみたいな兵器と、そのバカに対抗してうちの国のバカな政治家共が国威だなんだとバカみたいな予算をかけてバカみたいな改修を重ねすぎたせいで、もはや永遠に最新にし続けるバカみたいな負債となり果てた、以後維持費だけでバカみたいな負担になっている兵器による砲撃です……あ、天罰下すなら合衆国ではなくこのバカ共のちっぽけな島国の方へ。こいつらの方が先なので」
「なんだと!? ていうかバカバカ言い過ぎだバカ!」
「はいはい、怒ってませんから。どうどう」
「……! 天の遣いとは、かくも……!」
「俺、国に帰ったら神社に行くんだ……」
ほんと仲良いね、この人たち。
ほら、それぞれ彼らの後ろに乗ってる人たちが困ってるみたいなくらいにはさ。
男同士のこういう関係って良いよね。
僕?
本しか興味なくって読書仲間くらいしか居なかったけど?
や、別に寂しくなかったし、今も寂しくはないけどさ。
うらやましいなぁとは思うけどね。
【草】
【バカバカ言ってて草】
【否定できねぇ】
【せ、戦艦を護衛するための空母って艦種も艦種で金食い虫だから……】
【無駄にあの海上要塞4隻作ったからうちの国もカツカツっていうね かっこいいけど】
【対抗した合衆国は6隻も作っちゃったからもっと大変っていうね かっこいいけど】
【そんで廃艦にすることなく無駄に改良重ねて、お互いに毎年議会が嘆くくらいの遺産になってるのは事実なんだよなぁ】
【で、でもかっこいいから……】
【かっこいいけどさぁ……】
【お互いに「すごいもの作ったけどこんなに高価すぎるもの壊されたくない」って理由で戦争回避できたから……】
【かっこいいけど、中身とか実質全部作り替えてやっぱお金かかってるんだよなぁ】
【ま、毎年の演習での興行収入……あっても大赤字だけどね……】
【ま、まあ、このタイミングで役に立ってるから……】
「それで、援軍なんですか? どのくらいの?」
「――はい。合衆国陸軍から合流したパイロットにより、最低でも西海岸の壊滅を知り。そして天使様の存在を確認してから全速力で駆けつけました」
「あ。あの人たち、海の方行ったんですね」
ゾンビの群れをばかすかやってたとき「えぇ……」って顔してたもんなぁ……怖がられなくて良かった。
あの人たちが連れてきてくれたんだね。
……僕たちが敵認定じゃなくて良かった。
「――こほん。神様だか天使だかはともかく――大和・布、合同連合艦隊――ただ今到着しましたってな」
やんちゃさんなパイロットさんが、びしりと敬礼をする。
【ふぁっ!?】
【合同連合艦隊ぃ!?】
【え、援軍!?】
【マジで!?】
【あれマジで戦艦の砲撃かよ!?】
「なお、今の攻撃は我が合衆国の所有します戦艦の16インチ砲、及びこのバ――大和国の所有します戦艦による52センチ砲――貴女たちへの爆風を考慮し、その模擬弾を撃ち込んだものです。……それでも湾の海底ごとえぐり取るはずの威力が、わき腹をえぐる程度とは。あのガッドなジーラのように見える化け物は、やはり悪魔でしょうか」
きりりとしたパイロットさんも敬礼。
……僕もした方か良いのかな?
【16インチ砲と52センチ砲て】
【まさか最初の実戦が西海岸だったとは……】
【遠すぎてまだ見えないけど、近くまで来たら圧巻だな】
【だって世界最大の戦艦が何隻でしょ?】
【魔力切らしてるハルちゃんへの援軍として心強いな】
【あれ?】
【「やまと」とか「ふ」ってどこの国よ?】
【は?】
【え?】
【お前、それ分からないとかどこ出身よ?】
【それより、だ 確かにホノルルに艦隊が……って話があったけど】
【え? もう来たの?】
【あの日のあたりに合同軍事演習があったんだったか】
【その艦隊がってこと?】
【でも、ホノルルから西海岸って】
【最短でも――あ、そっか 最大船速なら3日くらいで】
【それでも間に合わなくね……?】
【なぁにこれぇ……】
「あ、でも無理じゃないですか? ここからホノルルって何日もかかる気がしますけど」
「……さすがは神様か、何でもお見通しなんだな」
「だから神ではない! 天使――様と言え!」
「じゃれあいは後にしてくれます?」
「「じゃれあいなんかじゃ――ないです!」」
ハモってるじゃん。
【草】
【おもしれーやつら】
【けどナイスだぞハルちゃん!】
【そういやこの配信もさ、よく考えたらガチの女神様プレゼンツなんだから、普通はどのコメントも敬語とか最大級の経緯と丁寧さを込めて書き込まないといけないよね】
【草】
【草】
【うわぁ急に正気に戻るなぁ!?】
【まぁ……ねぇ……?】
【う、うちの国は宗教とかちゃんぽんだから……】
【だからと言って生きてる神に対して「かわいい」――は言うか……でも「えっち」――も言うか……あれ? 盛大に不敬?】
【言うか……】
【言うね……】
【草】
【草】
【うん……多宗教の悪いとこだね……】
【ちゃんと敬意はあるんだよ? 他のとこに比べたらもうミジンコとかそんなもんだし、八百万も居るからとっかえひっかえ浮気ばっかしてるし、手当たり次第に輸入をして勝手に崇めてるけど】
【草】
【不敬極まりなくって草】
【ごめんなさい】
【ゆるして】
【でも好きなの】
【分かる】
【草】
【OK】
【ふぁっ!?】
【!?!?】
【速報・少なくともノーネームちゃん的にはOK】
【やったぁぁぁぁ!!!】
【祭りじゃあああ!!】
【草】
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「おうえん」「したの【☆☆☆☆☆】→【★★★★★】」「ぶくま」「おねがい」




