556話 おもしろいお兄さんたち2人と出会った
「ユアハイネス、軍用機が接近して参ります」
「普通に名前で良いですよ」
「そんな……恐れ多い……」
【イスさんがたじたじ】
【ハルちゃん専用の執事さんだからね】
【女神を乗せてるともなると緊張もするよな】
【イケオジが2まわり年下の美少女にお熱なのは少女漫画の基本だろうが!! 静かに見ていろタコ助!!】
【ごめんね】
【いいよ】
【うわぁ急に落ち着くな!?】
【草】
【この配信、急に発狂するやついるよな】
【んで一瞬で仲直りするかないないされるかってな】
【ネットだけじゃなくリアルがみんなこうして仲直りできたら良いのにね】
【ノーネームちゃんっていう絶対権力がいるからこそだがな】
【ああ、地上地中地下海空どこにいてもないないしてくるからな……】
【あー】
【「めっ」してくれる人が居ないとエスカレートしちゃうからね】
【ノーネームちゃんがジト目で叱ってくれる……ふぅぅぅぅぅぅ】
【草】
【ま、まあ、ダンジョン出現以降はほぼ戦争もないから……】
「?」
戦闘機に乗ってる人たちがずいぶん近づいてきて……なにか、手を動かしてる?
「なんて言ってるんでしょう」
「識別信号は送ってきていますが」
「ないない?」
「速度を落として、何かを伝えたいようですが……?」
「――――――…………」
あれ?
「……というか……さっきみた戦闘機じゃ、ない……?」
「確かに、形状もけっこう違いますね……」
「プロペラがありますな……ヘリの役割がある代物です」
【あっ】
【マジだ!?】
【え、てかこれって……】
【国籍マーク――まさか!?】
【赤と白と青のは合衆国のだけど、赤と白だけのは――】
きぃぃぃ――。
さらに別の飛行機がそばに来て――2機揃って、僕たちの前で停止。
ホバリング。
うるさいけど、まだ我慢できる音量で。
「ほへー、羽が、こう……変形しましたね」
「へんけい」
「変形するメカって良いですよね」
「いい」
「む……私も時間をいただければそのような変形を」
「や、イスさんはイスさんで良いと思いますよ」
「ふんす」
「ああ、多用途の戦闘機……ですね。私も詳しくはありませんが」
【VTOLか】
【オフプレイね】
【なるほど】
【ニュースで見た】
【海難救助とかで見たことある】
【けど、それがハルちゃんたちに……?】
――ぱかっ。
僕たちにいちばん近づいてきて止まった2機のガラスが開き――パイロットと思しき人たちが腰を浮かせているらしく、顔がひょっこり――あ、マスク外した。
「あれ、大丈夫なんでしょうか」
「んむ」
まぁ僕たちが息できてるんだし、そういや忘れてたけども普通の人間なリリさんも、いやいやそれ以前に子供たちのときもみんなへっちゃらそうだったから良いんだけども……そういや、高いところって息がしづらいとかあったんだよね。
でもまぁこのくらいなら高いビルの屋上くらいの高度だし、風が強い以外は大丈夫なのかな。
………………………………。
……2機の飛行機に、パイロットさんが2人。
よく見るとその横に他の人たちが乗ってるけども、多分操縦を任されたんだろう彼らは、僕たちをちらちらと見てくるだけ。
そしてパイロットらしい人たち――片方は短い髪の毛だから別に良いけども、もう片方はロン毛のお兄さんで……髪の毛が顔にひっついてすごいことになってるね。
あ、両手で必死に顔から引っぺがしてる。
大変そうだね。
分かる、髪の毛長いと大変だよね。
………………………………。
あれ?
そういや僕はなんともなってない?
こんなに長くなってるのに?
「ユアマジェスティー、気流を制御して快適性を重視しております。無酸素状態でも魔力の尽きるまでは酸素も含め快適です」
「どうでもいいですけどやっぱ呼び方は統一してくださいねイスさん、気になるので」
「……スクラップになりましょうか?」
「どうでもいいのでもうちょっと近づいてくれます? ぶつからない範囲で」
【草】
【草】
【ハルちゃんが怒った】
【違うぞ、ちょっと気になったんだぞ】
【まぁハルちゃんってば、大抵のことはどうでもいいし……】
【けどそうだよな、リリちゃんが乗ってる状態でアクロバティックな機動しててもなんともないもんな】
【ハルちゃんもノーネームちゃんもリリちゃんも髪の毛長いけど、そこまでばさばさしてないもんね】
【また髪の話してる……】
【大丈夫大丈夫 ダンジョン産の技術での植毛技術進んでるから】
【11年前から俺は自信がついたんだ】
【草】
「………………………………」
「………………………………」
びゅうびゅうと風が吹き荒れ、きぃぃぃんとエンジン音のする機体の上。
海の上、高い場所。
そこでしばし、僕たちは見つめ合う。
「………………………………」
「?」
「――ええと……どのような表現でご挨拶を申し上げたら……と言いますか、英語が通じるのかどうか……かといってラテン語は苦手科目で……」
真面目そうなパイロットさんが、何かを言いかけてもごもご。
「あの、僕――――」
「普通に分かりますよ」って言おうとした僕へ――
「うひょー! ロリ女神とか死ぬ前に1度見たかったぜー! マジで漫画とかみたいにめっちゃかわいいロリ幼女だな! あ、漫画とかみたいにやっぱこの見た目で何千歳とかロリババアとかだったりするのか?」
「?」
え?
この人、今、何言ったんだろ。
えみさんみたいなこと言った?
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