550話 リリさんはおちゃめ
びーっ。
まぶしい光が、僕たちのすぐ近くを包み込み続ける。
【……けど、長くね?】
【ながいな】
【髪の毛が?】
【また髪の話してる……】
【神の話だよ?】
【お前ら……】
【そうじゃなくって時間の方】
【遠距離+高威力でこの時間か】
【レーザーが真横通ってるからな】
【こわいよー】
【太陽かな?】
【まーだ画面が真っ白】
【ハルちゃんたちの酒盛りが、そんなにムカついたのか……】
【そら真剣に戦ってる目の前でどんちゃん騒ぎされたらぶち切れもするわな】
【草】
巨体からのビームは、すぐには途切れない。
そして――追尾してきてる。
「けど、イスさんの機動性と回避力のおかげで、まだ大丈――――――」
「――ないない」
――ぎぃんっ。
「ノーネームさん!?」
「済まないレディー! 『回避行動を先読みされた』!」
「ないない」
ノーネームさんの黒い魔力が、僕たちを包んでいる。
「イスさんの結構ランダムな動きを先読み……まさか、モンスターが偏差射撃を……!?」
「離脱します! 捕まってくださいませ!」
「はいっ! ノーネームさんもしっかり!」
「ないな――」
――きぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃんっ。
真下に――真上に、真横に真正面に海が。
さっきまでとは違い、余裕のない回避。
僕もそうだけども、リリさんも体を丸めて――ノーネームさんをかばうようにイスさんの機体にへばりついている。
【おろろろろろ】
【ろろろろろろ】
【飲んでたお酒、ないなった……】
【ばっか、ハルちゃんの配信はトイレでろろろろろ】
【草】
【意外と余裕あって草】
【酔い止め……酔い止め、どこ……?】
【かなり全力で逃げてる】
【ノーネームちゃん……】
「――振り切れました!」
「ノーネームさ――!?」
「ないない」
どうやら撃ち尽くしたらしい恐竜さんから距離を取るものの、
「ノーネームさん……脚が……」
「ないない」
「……ごめんなさい」
「んむ」
【ああああああ】
【ああああああ】
【ノーネームちゃんの足がぁぁぁ】
【かわいいあんよが!?】
【ひぇっ】
【痛々しい】
【のにへっちゃらな顔してる……】
【この感じ、痛覚とかないか、すっごく弱いんだろうけど……】
【両手両脚が……】
【そうまでしても、ハルちゃんのことを……】
――ずきっ。
胸が、痛い。
手も足もなくなっちゃった、ノーネームさんを見ると……守ってくれたはずなのに、見えないところが――すごく、痛い。
「……ごめんなさい、ノーネームさん」
「申し訳ございません、レディー」
「へいき」
「……ノーネーム様は、私がこちらで抱きしめてたままでも?」
「はい、お願いしますリリさん。……これ以上は」
ふぃぃぃぃん。
通常の速度に戻ったイスさんの上で――ノーネームさんは、もう歩けもしなければ手も使えなくなっていて。
「………………………………」
「だいじょぶ」
「じかん」
「はえる」
「……そう、ですか」
【マジ!?】
【良かったぁぁぁぁ】
【ああああああ】
【良かった……良かった……】
【そうだよな そうじゃないと、こんな落ち着いてないよな】
【そっか、ハルちゃんもノーネームちゃんも神族?ってのだから】
【モンスターとかみたく復活できるのか】
【あー、うちの国に居る魔族もそんな感じだもんな】
【確か、肉体失っても魔力さえあれば復活できるとか】
【魔力生命体だけど人の見た目になってくれてる感じなのか……?】
【そらマジモンでガチ上位存在な神様だし】
「………………………………」
「ないない?」
ノーネームさんは、もう、何もできない。
手も足も無くって――黒い服の裾がぱたぱたと揺れているだけ。
「……ハル様、今回のは敵の方が上手だったからのことです。先ほどの私の発言は気にされず……」
「はい、分かっています。ありがとうございます」
――恐竜さんは、強い。
「あれは……このあたり一帯、丸ごと飲み込んだくらいの規模のダンジョンのボス……そのくらいの強さ……」
「とくじょう」
いろんな世界を知ってる彼女が特上って言うんだ。
あのときの魔王さんと同じく、こんなに強いのはそうそう居ないはず。
――つまりは、これをなんとかできたらこの地域はかなり安全になる。
「……分かりました。イスさん、次の攻撃までにダメージを与えます。近づいてくれますか」
「御意」
――次の攻撃は、きっと、回避できない。
そしてまた攻撃されて――今度こそ、ノーネームさんは。
「だから、次までに倒さないと」
「まりょく」
「……はい、ちゃんと節約しますね」
僕も、ノーネームさんに心配させてる。
だから、ちゃんと魔力も――問題ない範囲で使っての、戦闘をする。
「もう、心配はかけさせませんから」
「……ん」
【ハルちゃん……】
【なんか、凜々しい……?】
【ハルちゃん、成長したね】
【ロリ女神様でも成長するんだ】
【成長しないで】
【分かる】
【お前……】
【永遠のロリ枠はあのちょうちょで良いだろ!】
「ハル様?」
「はい、なんですかリリさん。僕、今から光の矢で――」
現状、まともに使える――ノーネームさんが心配しない範囲なのは、最大出力が光る弓矢。
だからそれを使おうとしたけども、
「……こほんっ。実は私、先ほど市民の方たちからスナイパーライフルとか対戦車ミサイルとかバズーカとかいただいてきました!」
「は――えっ」
え?
まさか、っていう気持ちで、ノーネームさんを抱っこしてるはずのリリさんを振り返ると――
じゃらっ。
そこには――「明らかに空間を歪曲している」、山と積まれた遠距離武器の塊がこんもりと、リリさんが座ってた真横にみっちみちと。
………………………………。
どやぁ、と、イスさんの上で寝てたときに使ってた毛布を両手に嬉しそうなリリさん。
羽をぱたぱた、興味津々なノーネームさん。
……リリさん、君って意外とおちゃめだよね。
◆◆◆
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